出題校にインタビュー!
佼成学園女子中学校
2025年11月掲載
佼成学園女子中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
1.先端技術「ドローン」をテーマに空間を捉える力があるかどうかを問う問題
インタビュー1/3
最初にこの設問の出題意図についてお聞かせいただけますしょうか。
二木先生 今回、私はドローンを題材とした2科・4科および英検利用型入試問題の大問3を中心に作成しました。問題内容については何度も検討を重ね、多くの修正を行いましたが、最終的に現在の形に落ち着きました。
ドローンを題材に選んだ理由は、女子生徒が空間把握や図形に関する問題に対して、全体的に苦手意識を持つ傾向があると、日頃の指導の中で感じていたからです。そこで、女子であってもこのような問題に十分挑戦できるのだという期待を込め、適切な出題ができないかと考えていました。
私自身、以前から先端技術に強い関心を持っており、近年話題となっている生成AIなども日常業務の中で積極的に活用しています。今後は学校としても、こうした先端技術を教育活動により一層取り入れていく方向で検討しています。また、高校の総合探究の授業では先端技術をテーマとした探究活動を行い、本校と連携協定を結んでいる複数の大学と協力しながら、高大連携の理系テーマとして生徒に研究させる取り組みも進めています。
具体的には、ドローンやVRゴーグル、3Dプリンター、生成AIなどに生徒が実際に触れ、興味・関心を持てるよう日頃から意識しており、授業の中でも積極的に話題として取り上げています。
今回は、未来の社会を支える技術という観点からドローンを題材とし、三次元的な理解力を身に付けさせたいという意図で出題しました。受験生が図1・図2のように、多面的にさまざまな視点から一つの事象を捉え、考える経験は、社会に出てから日常的に求められる力です。そうした力を育む問題を目指し、ドローンを題材とした会話形式の設問とし、さらに作図を取り入れることが有効だと考え、今回の作問に至りました。
教頭・教務部長/二木 宏明先生
完全正答は10%程度だが部分点も付与している
先生が普段課題に感じていることが問題になるのですね?この問題は受験生には少々難しかったのではないかと思うのですがいかがでしたか?
西口先生 そうですね、正答率に関して完全な形で書けた子は全体の10%ぐらいでした。ビルの手前か奥かという部分を見誤ってしまったり、4と5のビルの高さが同じなので順番を逆にしてしまったりといった誤答が多く見られました。面白い解答としては、ビルをよけて飛ぶように線で結んでいた子もいました。
直線以外の書き込みとかはありましたか?
西口先生 それはなくて、点線で書いた子もいませんでしたし、数字を書き込む子もいませんでした。
問題文はきちんと読んでいるんですね。間違えないように1、2、3…と番号を振っていくとやりやすいですよね。
二木先生 この問題は、大問3番の3問目にあたります。大問3番全体の構成としては、まず1問目・2問目に比較的得点しやすい問題を配置し、最後の3問目にこの作図問題を入れました。
この作図問題を出題した理由は、入試問題の中で「自分の手を使って考え、書く力」を見たいと考えたからです。また、ビルの手前と奥といった位置関係を丁寧に確認しながら、条件を一つ一つ整理して問題を解き進めることができるかを確かめたいという意図もありました。こうした点に注意を払いながら粘り強く取り組める生徒こそ、本校で大きく成長していけると考えています。そのような生徒にぜひ入学してほしい、という思いを込めて作成した問題です。
この問題は何分ぐらいで解けると想定した問題だったのでしょうか?
二木先生 全体の試験時間が45分であることを踏まえ、この大問3は、小問1・2・3をすべて合わせても10分程度で解答できるように意識して構成しました。
正答率10%ということですが、作問段階の予想としてはどのくらいできると思っていましたか?
二木先生 おおむね想定どおりの正答率でした。小問1は多くの受験生が確実に得点でき、小問2はその約半数、最後の小問は10~15%程度、できれば2割ほど得点してくれたらうれしい、というイメージです。
西口先生 「正解者が0だったらどうしよう?」といった不安もあったのですが、正解した受験生はきちんと見えない部分も直線で結べていたので良かったです。
部分点もある問題なのですか?
西口先生 はい。たとえば、1から6までが順に結べているけれども、手前と奥の分類ができずに全て実線で繋いでしまったものなどは部分点をあげています。
二木先生 順番に結んでいくためには一つ一つを丁寧に考える必要があるため、途中までの思考や取り組みを評価するという意味で、部分点を与えました。
佼成学園女子中学校 校舎
何度も推敲を重ねて作り上げた問題
作問中にかなり直しが入ったということですが、そのプロセスを教えていただけますか?
二木先生 実はこの問題は、初稿の段階では、あるベンチャー企業がドローン配送を行うという設定でした。提示された情報や折れ線グラフをもとに、ドローンのスピードやバッテリーの持続時間を推測し、A・B二つのドローンのうち、どちらが実際の配達に適しているかを読み取る内容として構成していました。
しかし、教科会議では「難しすぎるのではないか」という意見があり、差し替えることになりました。これまでにも、円柱を正面・上・横といった複数の視点から捉える問題は出題してきましたが、今回は作図を通して空間を捉えさせる問題へと変更しました。最終的にはこの形で教科会議の了承を得ることができ、無事に出題にこぎつけました。
私は教頭もしている関係から、数学の授業のコマは少ししか持てませんが、自分の数学的なスキルを落とさないようしっかり維持していきたいと思って、入試問題作問にも一緒に取り組ませてもらっています。
受験生は果敢に問題にチャレンジしていましたか?
西口先生 全く書けていない子は2割弱ぐらいでしたが、途中点を上げられる子は2~3割ぐらい、8割ぐらいの子は何かしらの解答を書いてくれていました。
二木先生 この問題自体は、合否に直結することを目的としたものではありません。本校の入試問題は、ここ数年、明確な役割分担をもって構成しています。
具体的には、大問1で計算力を問う問題、大問2で一般的な知識・技能を確認する問題を配置しています。続く大問3では、身近な社会問題や先端技術を題材とした会話文を通して、受験生がそれらにどの程度興味・関心を持っているかを見る問題を出題しています。そして最後の大問4では、パズル型の思考力を問う問題を設けています。
西口先生 昨年度から出題形式を少し変えていて、数年前までは大問5問まであったものを少し減らし出題しています。ですので、受験生には過去問を解く時には注意するようお知らせしています。
佼成学園女子中学校 展示物
「時間をかけて解答してもらいたい」という想いから問題数を減らしたスタイルに
出題形式変更の意図とはどのようなものだったのですか?
西口先生 もともと問題が多く「全ての問題を解ききれないのではないか?」と分析した結果、問題数を減らし、かつ記述もしっかり見ることができるようにしました。
二木先生 せっかく思考型の会話文問題を作っても、時間が足りずに十分考えられないまま解けていない様子を見ると、作問する私たちとしても「もう少し時間をかけてでも解いてほしい」と感じたことが、見直しのきっかけでした。
そこで、あえて問題数を少し絞り、ひとつひとつの問題に対して、落ち着いて丁寧に考えてもらう——そうした意図を込めています。
インタビュー1/3
1954年に立正佼成会を母体として開校した学校であるが、宗教教育は行っていません。「平和社会の繁栄のために貢献できる人間」の育成を教育理念に掲げ、挨拶や思いやりの実践など、日常生活の中で大切にしたい「5つの実践」を重視しています。