シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

青稜中学校

2025年10月掲載

青稜中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.実体験を交えながらの学びを大事にする青稜中学校

インタビュー3/3

先生方が思っている青稜中学・高等学校の理科の授業の特徴・特色はどんなところだとお考えですか?

西岡先生 中学では、受験を経てある程度の知識を身につけている生徒も多いので、それを実体験や実物と結びつけることを大切にしています。生物は本来実物そのものですので、机上の知識だけで終わらせず体験とつなげて理解を深めるように工夫しています。

中1では、生物の分類や骨格、植物や動物のからだのつくりについて学びます。なかでも植物のつくりの学習では、実際に花を分解して観察することもありますし、本校の近くには多くの樹木が植えられた公園があるので、そこに出向いて散歩しながら「これが〇〇だよ」「葉っぱをよく見てごらん」と声をかけ、生徒と一緒に確かめる授業も行っています。

校外に生徒を連れていくことは多いのですか?

西岡先生 状況にもよりますが、中1では前期の2回ぐらいは校外に出て観察やスケッチをしています。そのような授業を通じて「理科ってただの暗記ではなく、しっかりと実体験と結びつくものなんだ。自分が習ってきたことってこういうことだったんだ」ということを知ってほしいと思っています。

特に観察や実験は大事にしています。たとえば、勉強の都合上「導管」「師管」は綺麗な丸が並んでいる図として小学校で皆さん学んできたと思うのですが、実際はそんな綺麗な正円ではありませんし分かりにくいわけです。これらも観察を通じて「実際はこうなんだよ」と理解してもらえるように取り組んでいます。

とはいえ、割合として観察や実験がそこまで大部分を占めるわけではなく、知識があってこその観察や実験だと思っています。考察したりグループワークで話し合うにおいてもある程度の知識や前提の情報がないと、ただ「すごい」の一言で終わってしまいますので、バランスも大事かなと思っています。さまざまな形で実体験と結びつけながら、その知識の裏側にある過程を生徒と一緒にたどっていくことは重視していますね。

木村先生 本校は中高一貫で高校受験がないため、区切りを意識せずに学びを積み重ねていけます。ただし、高校に入ると学び方も変わっていきます。物理基礎・化学基礎・生物基礎の3科目からスタートし、自分の関心に合ったコースを探していく形になります。その過程で、宿題や課題、小テストをしっかりこなし、成果を積み重ねていくうちに、理科を好きになっていく生徒も増えていきます。その結果、高2の文理選択の際には理系を選ぶ生徒が多くなったように感じています。

青稜中学校 校舎

青稜中学校 校舎

理系を選択する生徒の割合も高め

文理選択率は以前と変わってきていますか?

木村先生 以前は文系7、理系3ぐらいの割合だったのに、今は6:4、学年によっては5:5ぐらいです。昔は理系の中に女子が5~10人といった時代もありましたが、入学している子の男女比も今は半々もしくは少し女子が多いため、文理選択でも女子の理系比率は高くなりました。

西岡先生 現在私は自然科学部の顧問を務めていますが、生物を観察する中で、生徒が「面白い、研究してみたい」と生物を選択するケースは多くなってきました。自然科学部自体に関心を持つ生徒も年々多くなり、入学式の翌日に入部届を提出してくる生徒もいるほどです。ちなみに、全員希望で入れますし、担当生物も完全希望で振り分けています。

最近は生徒の方が生物に詳しいことも多く「この生物は何?」と尋ねると逆に教えてくれる場面もあります。そうしたやりとりの中で、「なるほど、そういう見方があるのか」と、私自身も生徒から学ばせてもらうこともあります。

青稜中学校 校舎内

青稜中学校 校舎内

農業体験、樹海散策、富士山登山などのイベント満載

理科で何か企画されていることなどありますか?

西岡先生 中1と中2で自然教室の行事があります。中1は5月と9月に2回、中2は9月に1回行います。

中1では山梨県での農業体験を行っていまして、5月に種を撒いて9月に収穫しています。収穫するのはじゃがいもやさつまいも、あとは人参などその時に応じた野菜を数種類ですね。収穫までの間は農家の人がお世話をしてくれています。

合わせて中1は富士山の樹海散策にも出向きます。これにはガイドの方がついて、「なんでこの地面ができたのか?」「地層はどうなっているのか?」などその場で解説してもらいます。

また、中2では富士山の5合目から6合目までを往復します。その過程でガイドの方に植物や植生などについて説明してもらっています。

さらに夏休みは希望者のみとなりますが「自然体験セミナー」を行っています。今年はプランクトンネットを持って行って、九十九里の海でプランクトンを採取し、持参した顕微鏡を使ってその場で観察しました。

自然科学部でも毎年夏に長野県・白馬で合宿を行っています。今年は白馬の4~5か所で土を採取し、土の中の小動物の観察や土の分類などを現地で行いました。

青稜中学校 制服

青稜中学校 制服

生徒の学ぶ意欲や好奇心を高める「ゼミ」

探究の授業はどのように行っていますか?

西岡先生 中2・中3対象の「ゼミ」がまさに探究の授業です。ゼミは本校の中学で力を入れている活動のひとつでもあるのですが、時間割に週2コマ90分毎週組み込まれており、全部で十数講座あります。

具体的には、企業とコラボしながらSDGsに関係する内容を深めてくゼミ、美術ゼミ、音楽ゼミ、漫画・物語・古文をいろいろな視点で読み解くといったゼミ、そのほかにもダーツやバドミントンなどもあって、その中から生徒が一つ講座を選んで受講していきます。中2で一講座、中3でもう一つ別の講座という形で一年通して突き詰めていく授業形態です。

青稜中学校 校舎内

青稜中学校 校舎内

「挑戦力」「根気力」を身に付けて社会に羽ばたいてもらいたい

青稜中学の理科として、どんな力を身に付けさせて大学に進んでほしい、また将来の社会に出た時にこういう人になってほしい、といった想いはありますか?

西岡先生 ひとつは本校のテーマにもなってしまいますが「挑戦する力」を身に付けてほしいですね。先ほどの入試問題でも一見すると知らない、分からないことであっても、しっかり腰を据えて考えれば自分が今までやってきたことがつながっている。見方を変えればちゃんと解ける。未知のものに対して諦めずに果敢に挑戦する。自分が持っているものでできるところまでやっていく。さらには挑戦するための題材を自分で発見していく、そんな力が大事だと思っています。

同じ経験や体験をしたとしても、挑戦する姿勢があるのとないのとでは見方や得られるものは全然違うと思います。

木村先生 高3には、めげずに問題に取り組み、投げ出さない「根気力」が大事だと伝えています。最後に伸びるのは粘り強さを持った生徒ですし、社会に出てからも同じ姿勢が求められます。ですから、生徒には「投げ出すな」と言い続けていますね。

西岡先生 中学や高校の間は、日々の生活の中で素直に感じた問題点や「こうなってほしいな」という思いを出発点として、挑戦しながら変えていく経験を積んでほしいと思います。そうした経験を重ねて培った力をもとに、大学生や社会人になった際には、それこそ大きな社会問題やスケールの大きな課題にも目を向けてほしいです。

その際、これからの社会では一つの分野を突き詰めるのも大事ですが、自分が関係ないと思っているフィールドとつなげていくことも重要です。

青稜中学校 校舎

青稜中学校 校舎

暗記は「体験」と結び付けながら覚えるとよい

理科の知識を最低限つけるためにどうしても暗記は避けられないと思うのですが、理科の用語を覚えるのが苦手な子に何かアドバイスできることがあれば教えてください。

西岡先生 私自身普段気をつけているのですが、「理科=暗記」「これ暗記しようね」といった『暗記』というフレーズを絶対に使わないようにしています。ものの名称や生物の名前など、覚えないと仕方がない面もありますが、それをただ文字として覚えるだけになってしまったら、本来の生物ではないですし、本来の理科ではありません。ですので、たとえば葉っぱであれば実物を持ってきて、観察して形がどうなってるかレポートを作ってみるのもよいかと思います。

その単語だけを覚えようとすると、どうしても勉強になってしまって頭に入ってこないので、ただ覚えるのではなく、体験を通じて覚えるのがいいとベストです。絵に描いてみる、自分で授業してみる、などいろいろな形がありますので実践してみてはいかがでしょうか。

最後に青稜中学への入学を希望する受験生に向けたメッセージをいただけますでしょうか?

木村先生 出題者側として、皆さんがやってきたことが無駄にならないように、きちんと何かの形で活かされるように問題を作っているので、ぜひ諦めずに挑戦していただきたいです。同時に問題を解く中で、「こういう視点で生物って見れるんだ」「自分の生活で出てきたものが科学の力を使うとこんな風に仕組みがわかるんだ」ということを楽しんでいただきたい。

本校にご縁があったとしてもご縁がなかったとしても、今後生活する中でふと「そういえばこうだったな」って思える瞬間がきっとあると思いますのでので、ぜひ楽しんでいただきたいですね。

インタビュー3/3

青稜中学校
青陵中学校創立者である青田瀧藏は、昭和初期の経済界の第一線で活躍した経験から、将来の日本にとって婦女子の活躍が大きな力となることを予見し、1938年に私財を投じ「青蘭学院」を品川区の現在の地に創立した。平成7年に、青蘭学院中学校・青蘭学院高等学校から青稜中学校・青稜高等学校に校名変更するとともに中学が男女共学となり、高校も平成9年に男女共学となった。
スピーディに変化する不確実性の時代で大きく輝くには、「変化(Change)を求め、楽しもうとするスタンス」と、そこで何かを生み出すために「挑戦(Challenge)し、熱狂する精神」、また、それだけでなく「社会に貢献(Contribution)し、周囲を幸せにしようとする意欲」が必要とし、「社会貢献を意識し、変化を自ら求め、挑戦していくこと」という3Cを、青稜生の目指すべき行動目標としている。
生徒とじっくり向き合う時間を確保するため、週6日制7時間によるカリキュラムを編成している。中学では手作りの教材や多彩な工夫で興味・関心の扉を開くことや、基礎5教科には時間的ゆとりを持たせていくことを基本に、高校での大学受験対策につなげていく。各種の講習や補習、英語の早期学習などを実施し、つまずき解決や、基礎学力の一層の伸張を手厚くサポートする。中学のテーマは面白さや楽しさとの出会い。高校では、文系では英・国・地歴公民、理系では英・数・理を特に厚くしたカリキュラムを基盤に、5年次(高2)より希望進路別にコースが分かれる。受験科目を中心に習熟度別授業を取り入れ、また、目標校に合わせた選択科目を中心に充分な演習が行えるようになっている。
中1・2に自然教室や有志による東北研修など経験学習も豊富。修学旅行は、中学は広島・京都、高校は沖縄・ポーランドの選択となっており、平和学習を通して視野を広げ人間性を深める。クラブは、自然科学部が大人気。多くの生物が飼育されている。ソフトテニス部や、高校のダンス部は都大会や全国大会レベルの強豪である。