シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

青稜中学校

2025年10月掲載

青稜中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.新たな分類視点や骨格の仕組みを聞いた問題

インタビュー1/3

まず、この問題の出題意図についてお聞かせください。

西岡先生 この設問は、今まで知識として習ってきたことをそのまま吐き出すのではなく、新たな視点で骨格の仕組みに注目してほしいと思って作りました。普段は止まった図として骨格について学習してきた受験生に、実際に動物が動いた時に「なぜそのような骨の作りになっているのか」を考え、静止画から実際に動くところまでイメージを広げてほしい、そこまで深く気付いてほしいと思った問題となります。

また、受験勉強では知識が単元ごとに切り離されてしまいがちなので、この大問を通じて単元のつながりを意識してほしいと思いました。実際の生物は細胞、分類、進化などいろいろな観点から形作られているものなので、それらのつながりについて「こういった視点があるんだ」ということをぜひ知ってほしいです。仮にこの学校にご縁がなかったとしても、この問題によって「なるほど、そういう見方があるのか!」と気付いてもらえていたら嬉しいな、と思って作問していました。

いつ頃から構想を練っていた問題だったのですか?

西岡先生 去年の春頃にプライベートで水族館や動物園に行った時、また本校の理科室で生徒たちが飼育している生物や動物たちを見る中で、ふと「骨格や動きについて問題にしたら面白いかも?」と思ったのが最初の出発点です。

受験生の中には、この問題を解いている時におそらく体を動かしてみた子もいたのではないか?と思いました。実際に入学してきた子たちがこの問題にどんな感想を持っていたのか気になったのですが、何か反応はありましたか?

西岡先生 今年入学した中1の生徒に設問についての感想は直接聞いていません。ただ、自然科学部に新たに入部してくれた子たちを見ていて、今年は特に先輩たちが知識負けしている、勢いに押されるぐらい生物に興味がある子が多いなという印象がありますので、興味を持って解いてくれたのではないかとは思いました。

理科主任/木村 明子先生

理科主任/木村 明子先生

「すべて選び」は完答が基本

設問では「すべて選び」とありますが、過不足があった場合は点数がもらえなかったのでしょうか?

西岡先生 今回は、すべて選ぶということで完答のみ〇とさせていただきました。

木村先生 最近は受験生のレベルが年々高くなっているのを感じています。ですから、選択問題だけだと差がつかなくなってしまっていることもあり、本校では生物に限らず「すべて選びなさい」といった問題を多く出題しています。

知らないことにも持てる知識で解決しようとする生徒が増えている

実際に入学した生徒さんたちは、新しいものに出会った時に、これまでの知識や考え方を当てはめて理解しようとする傾向が見られますか? それともまったく新しいものとして受け止めることの方が多いですか?

西岡先生 たとえば、本校の理科室に初めて入った子たちがそこにいる生物を見た時には、「可愛い」「かっこいい」で最初は終わってしまうのですが、こちらがちょっとしたきっかけを与えると、生徒は自分の持っている知識や、中学受験で身につけた学びをつなぎ合わせながら、「なるほど、これはこういうことなんだ」と考えを深めようとしている様子が見えてきます。

そういう意味ではしっかり知識をつけているのは当然として、未知のものに対しても自分が持っているものでなんとか理解しよう、考えようという意欲はここ数年どんどん学年を追うごとに上昇している印象がありますね。

一昔前であれば「わからない」と投げてしまったり、記述問題や作図問題が出てきた瞬間に「捨て問題」と諦めてしまう生徒も多かったのですが、最近は定期試験などを見ていてもなんとか自分の知っているところまでは解こうとしていたり、作図できないなりにも頑張って考えた形跡が見られるなど、粘り強さや前向きさが感じられる割合も高くなってきました。

青稜中学校 理科室

青稜中学校 理科室

過去に出題された問題が再度問われることも

体の動きは出題文にあるように、「上下」「左右」の2種類に分類されるのですか?

西岡先生 実際は綺麗に分けにくいものもあるのですが、大きな分類としては小学生でも分かるような上下と左右の2パターンです。選択肢も比較的その上下と左右でイメージがしやすいものをなるべく選んで出題しました。

たとえば、ウサギやワニ、ネコ、シカ、イヌなどは日常的になんとなくイメージできる生物ですが、ヤモリやサンショウウオは、受験勉強をしっかり積んできたかどうかが問われる生物です。シジュウカラは数年前に本校で出題しましたので、過去問をしっかりやってきた子は解けたのではないかと思います。

せっかくご縁があって受験していただいたわけですから、ただテストを受けただけではなく受け終わったあとに水族館などを訪れた際には「確かにイルカやシャチ、サメはこうだったんだな」と確認してもらいたいですし、シジュウカラに関しても、「過去問でやったことがちゃんと報われるんだ」と思ってもらえれば出題した意味があったのではないかと思います。

「すべてを選び」という設問で正解は3つとのことですが、間違えた生徒は正解数より少なく答えた人が多かったですか?それとも逆に多く書きすぎた人が多かったですか?

西岡先生 これは断然多く書いた子が多かったです。心理的に「正解は8個中5つぐらいじゃないだろうか」と考えた子がいたかもしれません。特に受験生が一番判断しづらかった(エ)のシジュウカラ、これをとりあえず入れようと入れてしまった子が多かったですね。

逆に正解できていた解答としては、(ア)のウサギのように日常的にもイメージしやすいもので、間違えた子は問題の問われている意味がわからなかったというよりは単にその生物の動きのイメージがつかなかったり、生物そのものが何かわからなかったんだと推測します。

問題自体は、他の生物の先生方と意見を何度も揉んで練り上げたのですか?

西岡先生 そうですね。基本的には一つテーマを基に問題を一度作ってみて、それをもとにいろいろな先生方と「こういうふうに出題した方がいいんじゃないか?」「こういった図を入れた方がいいのでは?」と議論したり、言葉の言い回しを改善していきながらブラッシュアップを図っていきます。

青稜中学校 掲示物

青稜中学校 掲示物

インタビュー1/3

青稜中学校
青陵中学校創立者である青田瀧藏は、昭和初期の経済界の第一線で活躍した経験から、将来の日本にとって婦女子の活躍が大きな力となることを予見し、1938年に私財を投じ「青蘭学院」を品川区の現在の地に創立した。平成7年に、青蘭学院中学校・青蘭学院高等学校から青稜中学校・青稜高等学校に校名変更するとともに中学が男女共学となり、高校も平成9年に男女共学となった。
スピーディに変化する不確実性の時代で大きく輝くには、「変化(Change)を求め、楽しもうとするスタンス」と、そこで何かを生み出すために「挑戦(Challenge)し、熱狂する精神」、また、それだけでなく「社会に貢献(Contribution)し、周囲を幸せにしようとする意欲」が必要とし、「社会貢献を意識し、変化を自ら求め、挑戦していくこと」という3Cを、青稜生の目指すべき行動目標としている。
生徒とじっくり向き合う時間を確保するため、週6日制7時間によるカリキュラムを編成している。中学では手作りの教材や多彩な工夫で興味・関心の扉を開くことや、基礎5教科には時間的ゆとりを持たせていくことを基本に、高校での大学受験対策につなげていく。各種の講習や補習、英語の早期学習などを実施し、つまずき解決や、基礎学力の一層の伸張を手厚くサポートする。中学のテーマは面白さや楽しさとの出会い。高校では、文系では英・国・地歴公民、理系では英・数・理を特に厚くしたカリキュラムを基盤に、5年次(高2)より希望進路別にコースが分かれる。受験科目を中心に習熟度別授業を取り入れ、また、目標校に合わせた選択科目を中心に充分な演習が行えるようになっている。
中1・2に自然教室や有志による東北研修など経験学習も豊富。修学旅行は、中学は広島・京都、高校は沖縄・ポーランドの選択となっており、平和学習を通して視野を広げ人間性を深める。クラブは、自然科学部が大人気。多くの生物が飼育されている。ソフトテニス部や、高校のダンス部は都大会や全国大会レベルの強豪である。