シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

山脇学園中学校

2025年10月掲載

山脇学園中学校【国語】

2025年 山脇学園中学校入試問題より

次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。

日本に季節はいくつ存在するでしょうか。一般的には、春夏秋冬の四つが思い浮(う)かぶかもしれません。実は、日本には四季の他に「二十四節気」と呼ばれる二十四の区分があり、さらに「七十二候」と呼ばれる七十二の細かい区分も存在します。たとえば、一月三十日から二月三日ごろは「鶏(にわとり)始めて乳す」と称(しょう)され、鶏が卵を産み始める時期を意味します。また、立春を挟(はさ)んで二月四日から八日ごろには「東風凍(こおり)を解く」という候になります。この頃(ころ)は、暦(こよみ)の上ではすでに春が始まっています。立春後初めての午(うま)の日を「初午」と呼び、全国のお稲荷(いなり)様では祭事が行われます。ふきのとうやさやえんどうなどの鮮(あざ)やかな黄緑色の野菜が旬(しゅん)を迎(むか)え、梅の花もほころび始める時期ともされています。このように、日本では時候の移り変わりがとても大切にされています。

しかし、現在ではライフスタイルの変化や様々な技術の進歩、また温暖化や気候変動により、季節の移ろいを感じることが少なくなってきています。都市部では都市環(かん)境が整備され、気温や天候に関係なく快適に過ごせます。一方、都市空間は画一的になり、同じ種類の野菜が一年中店頭に並んでいます。桜の開花時期は年々早まり、紅葉の見頃は遅(おそ)くなっています。また、地方では担(にな)い手の不足もあり、行事を継(けい)続することが難しくなっています。

それでは、現在において季節の移ろいを感じながら生活することは不可能なのかというと、決してそのようなことはありません。日常生活の中で少し注意を払(はら)い、周囲を観察してみましょう。たとえば、朝の光を以前より明るく感じるかもしれませんし、花壇(だん)に咲(さ)く花やスーパーに並ぶ野菜をよく見ると種類などの変化に気づくことができるでしょう。さらに、  ことで、その季節らしさを生活の中に取り入れることも可能です。重要なのは、自分が日々の小さな変化を見逃(のが)さないことなのです。

(問)  に当てはまる例を自分で考えて書きなさい。

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この山脇学園中学校の国語の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答例
  • 何か一つ植物を育てて観察記録をつける
  • 旬の食べ物(や野菜)を料理する
  • 季節ごとの行事に参加する
  • 渡り鳥の飛来やさえずりを楽しむ
  • 季節の花で押し花をつくる
解説

文章の内容もふまえて、その季節らしさを生活の中に取り入れるには、どのような方法があるのかを自分で考えて記述する問題です。その際に、まず、自分の身の回りで日々どのような変化が起きているのかを思い起こします。さまざまな変化の中で、自然と結びついているのはどのようなことでしょうか。天気や植物の変化、季節を表す言葉、旬の食べ物、五感を使って感じられること、季節の行事、衣食住などを手がかりに、季節らしさを生活の中に取り入れる具体的な方法をさぐってみましょう。

日能研がこの問題を選んだ理由

日本で昔から大切にされてきた「季節の移ろい」に目を向け、それぞれの季節らしさを生活の中に取り入れる具体例を自分で考えて記述する問題です。

かつては二十四節気や七十二候という自然とつながった節目が、人々の生活のリズムをつくっていました。
しかし、現在は、学校や会社に合わせた月単位・週単位でのスケジュールや、祝祭日など社会的に定められた節目の日などが、人々のライフスタイルをつくっています。つまり、自然現象ではなく、人間社会がつくり出した時間の区切りや予定に従って暮らしていると言えます。

現代社会では、子どもたちを取り巻く環境が目まぐるしく移り変わります。そんな中でも、日々の小さな変化を見逃さず、身の回りのものをよく観察することで、季節を感じることがあるのではないでしょうか。この問題に出あった子どもたちは、季節を感じる方法を自分で考えて記述することで、自分のとらえているさまざまな現象と季節がつながっていることを再確認できます。自分と自然とのつながりをより一層意識することができるでしょう。そのことが、自分は現代社会の時間軸だけでなく、自然の時間軸に沿って生きているという、もう一つの感覚を持つきっかけになり、より豊かな人生を築くことにつながるのではないでしょうか。

このような理由から、日能研ではこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにしました。