今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!
品川女子学院中等部
2025年09月掲載

2025年 品川女子学院中等部入試問題より
- 問題文のテキストを表示する
奈良県は日本の古都であり、多くの寺院などの観光資源があるにもかかわらず、観光収入が伸び悩んでいることが課題です。
なぜ奈良県は観光収入が伸び悩んでいるのか、資料1・2より考えられることを説明しなさい。


中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この品川女子学院中等部の社会の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)
解答と解説
日能研による解答と解説
解答例
奈良から短時間で移動できる京都や大阪に宿泊施設が多くあるため。
解説
資料を見てわかることを記述する問題です。資料1では、奈良県が近隣の3府県に比べて極端に宿泊施設が少ないことがわかります。
さらに資料2では、東京から観光地である鎌倉間の移動時間に比べ、京都や大阪から奈良を経由して法隆寺に移動する時間のほうが短いことがわかります。
以上のことから、奈良県内で宿泊せず、より宿泊施設の多い京都や大阪に宿泊する観光客が多いと考えられます。そして奈良県で宿泊しないということは、観光客の消費行動も宿泊時より少なく、奈良県の観光収入が伸び悩んでいる原因になると考えられます。
- 日能研がこの問題を選んだ理由
2020年ごろに大きく落ち込んだ訪日外国人観光客数は、感染症の収束や円安の影響、SNSによる魅力的な情報発信等によって、回復し、2024年には過去最高を記録しました。観光客の増加は、観光客が訪れた地域で消費行動をとることによって、関連産業の売り上げや雇用が増加し、さらに地域活性化につながるというメリットがあります。さらに観光客の側に立って考えると、旅行の計画では、観光資源、宿泊施設、交通手段、予算、地形、気候など、目的地の決定やその場所を訪れるまで、何に魅力や価値を感じて選ぶのかには様々な視点があります。
今回の品川女子学院中等部の出題では、奈良県を題材に取り上げ、観光収入が周りの府県と比べて伸び悩んでいる理由を資料から分析することが求められていました。受験生は奈良県の位置や歴史は今までに学んでいます。問題文にある「奈良県は日本の古都であり、多くの寺院などの観光資源があるにもかかわらず」という言葉からも、受験生の学んできたことを前提とした作問者からの投げかけのようにも受け取れます。特に、歴史的なことから考えれば、かつては都がおかれた地域でありながら「なぜ?」と思う受験生もいたかもしれません。
今回問われている「観光収入が伸び悩んでいること」は、この問題を通して初めて考える受験生が多かったでしょう。また、「近畿地方2府2県における旅館・ホテルの客室数」と「鉄道による地域間所要時間数」の2つの資料もその場で初めて見るものであったと考えられます。そのため、今までに学んだことにとらわれずに、資料から読み取れることを使って考える姿勢が求められていました。
多角的な視点で課題を分析することは社会科で必要な考え方の一つです。この問題のように、新たな資料を使っていつもとは違う視点で一つの問題点を分析することでより立体的に理解ができます。問題を通して、品川女子学院中等部の目指す「自ら社会の問題を発見し、多様な人を巻き込んで、問題解決に一歩を踏み出す人」、が表現されていると考え、日能研はこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにいたしました。