シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

大宮開成中学校

2025年09月掲載

大宮開成中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.基礎知識や計算力なくして数学は楽しめない。

インタビュー3/3

理系と文系の比率は半々くらい

今、理数系学部に進む生徒さんの割合はどのくらいになってきていますか。

松田先生 意外と半々ぐらいに落ち着いています。進学については、ある程度学年の教員に任せているところがありますので、全体としては半々ぐらいだと思っています。ただ、今の中1、中2あたりは少し違う動きもあるかなと思っています。今の高1の子たちが中3の時に「理系、文系、どちらを選ぶか」と聞いてみたら、8割以上が「理系」と答えました。私が数学を3年間教えてきたので、「理系です」と答えたのかもしれませんが……。34人のクラスで、5人が文系、29人が理系を選びました。今、少し文系に流れているようですが、そんな感じでしたね。

「理系」と言っても、工学系、理学系、医学系などいろいろありますが、どういう方面が多いですか

松田先生 人数が多いのは理学部、工学部です。近年増えているのは間違いなく医学ですね。学校としても医学関係の体験であったり、医学部受験のための保護者会を開いたり、近隣の病院と提携して、体験に行くなど、今年から動き始めたところです。その担当が加納です。

加納先生 8月に中2を連れて病院を見学し、体験をしました。市内にある北部医療センターでは看護体験をしました。中1から高2まで県内の志ある病院が相当の手間をかけて、本校生徒のために様々な研修を用意してくれます。

希望制ですか。

加納先生 そうですね、学年を越えて「医学部を目指したい」「医学部が第1志望です」という生徒だけを集めたプログラムがあるので。中学段階からそういう体験を入れてモチベーションを上げていけると受験や将来にむけて、かなり有利なんじゃないかと思っています。

その担当は、学年ですか。

松田先生 「キャリア教育」という部署でやっています。

そんな体験ができるのも、中高一貫校だからですよね。

数学科/加納 勇輝先生

数学科/加納 勇輝先生

力を入れているプレゼンテーション教育

松田先生 開校以来、力を入れているのがプレゼンテーション教育です。中1は「身近な環境」がテーマなのですが、企業の方に電話をかけて、食品ロスのことについて聞いたり、ゴミ拾いボランティアからいろいろ学んだり、という動きをしています。それを踏まえて文化祭で中間報告。2月の開成文化週間の時に、スライドを用いてまずは学年の前で発表し、よかったチームは一貫部全体の前で発表するという企画をずっと行っています。

今は小学校でもプレゼンの機会が増えていますが、昔に比べていかがですか。

松田先生 パソコン関係に慣れている生徒が多いので、ハードルは下がったかなと思っています。昔は「パソコンの電源はどこですか」というところがスタートだったので、中1にそこを教えるのは正直大変でしたが、今はできる状態からスタートできます。発表もそうですよね。小学校で少しやってはきているので「大宮開成はこんな形で発表していますよ」と見せるだけで、ゴール地点が大体わかるようです。とは言え先輩の発表を見ると「あんなのできないよ」と言う生徒もいるので、「やれるようになるんだよ」という話をすることが多いですけどね。

大宮開成中学校 教室

大宮開成中学校 教室

数学を楽しんでもらえる授業を目指す

2、3年前ぐらいからすごく受験者数が増えています。今後、大学で、あるいは社会で活躍するために、どのような力をつけてほしいですか。

松田先生 私としては、まず数学を楽しんでもらいたいなというところが前提にあります。楽しくいろんなものに取り組めるからこそ力もついていくと思います。もちろん、大学受験に関しても、力を発揮できるのかなと思っています。楽しむためには当然、基礎知識や計算力が必要なので、それは定期的に追っかけていくところです。たぶん2年前もお話したと思いますが、楽しむだけでもなく、ひたすら計算をやるだけでもなく、そこは両方できるようにしていきたいと思っています。

今日お話いただいた入試問題作りにも現れていますよね。

松田先生 ただ、ハードルがこれ以上高くなってもいけないと思うんですよね。

加納先生 私は本校に赴任して3年目になります。私も、自分が楽しく、というところを心がけて授業をしています。まず、教員が楽しんでいる姿を見せていかないと生徒はついて来ないと思うので、とにかく笑顔で楽しく授業するということを大切にしています。そうすると生徒たちも楽しいのかなと思ってついてきてくれるんじゃないかと思うからです。

中高6年間のうち少なくとも5年間は数学を学ぶので、楽しくなくなってしまったら、苦しくなってしまうと思います。中1から先取り学習をしていくので、苦手意識を持ってしまうかもしれません。苦手でも楽しいからやれるという状態にしていかないと、数年後に数学拒否反応が出てしまうと思うので、まずは楽しく数学を6年間やりきるというところを目標にやらせています。それが結局、大学受験にもつながってくると思います。楽しくやっていけば理系を志望する生徒の数もきっと増えると信じて、最後まで一緒にやっていきたいなと思っています。

大宮開成中学校 掲示物

大宮開成中学校 掲示物

教員が同じ方向を向いている。それが校風に

苦手だけど楽しいってすごく大事ですよね。でも実際にはすごく難しいのでは。

加納先生 だから「数学は苦手だけど、授業は好き」と言ってくれる生徒が複数人いることが、とても嬉しいんです。わかりやすく楽しく、というところを目指しています。

松田先生 うまくいくといろいろなことが連鎖していきます。一貫部は血が濃いと言いましょうか、学年を超えての繋がりもあるんですよね。例えば、中3が職室前のホワイトボードで問題を解いていると、自然と中2が興味を持って寄ってきたり、高1が寄ってきて「これ違うよ」などと言ったりすることもよく目にします。共通の教員の話題が出れば、その教員が呼ばれたり、あの先生だったらどう解くのかなというところでその先生が呼ばれたり、ということが自然に起こる雰囲気があります。

加納先生 例えば兄弟姉妹とか、そういうつながりもあるので、学年をまたいで教員が関わることもあります。

自ら学ぶ姿勢を持っている生徒さんがたくさん入ってきているイメージを持ちました。教わっていないことを、自ら目標を持って取り組めるだけでも、素晴らしいことではありませんか。

松田先生 そうですね、今言われて、確かにそうだよなと思いました。でも、入学時からそんなに高いレベルの集団なのかなともちょっと思います。意識はしていなかったのですが、我々の「楽しませる」という取り組みは特に打ち合わせをしてなくても、いろんな教員が同じことを言っていると思うので、生徒の意識が楽しむ方向に向いたり、あの先輩を超えてやろうと思ったりする空気が流れているのかなと、改めて思いました。

松田先生 たとえば職員室前のホワイトボードは人気です。様々な教科の学習に使われますが、そこに数式をガリガリガリガリって書いている時もあります。こうした自ら取り組むような気持を持った生徒が入試を通して1人でも多く集まってくれるのであれば我々も嬉しい限りです。

大宮開成中学校 校舎内

大宮開成中学校 校舎内

インタビュー3/3

大宮開成中学校
大宮開成中学校1942年設立された大宮洋裁女学校が創設し、7年後に大宮開成高等学校が設立された。中高一貫部が開校したのは2005年。大宮駅からバスで7分、徒歩19分のところに位置する。2016年の新図書館につづき、2018年、新体育館が完成した。
校訓「愛・知・和」のもと、「調和の取れた人間教育」を実践している。中学からの生徒は「英数特科コース」で、中高6年間を見通したカリキュラムで学ぶ。第1ステージ(中1・中2)基礎学力の完成、第2ステージ(中3・高1)では進路意識の確立、第3ステージ(高2・高3)では現役合格力の完成を目指す。
クラスに応じて「アドバンスト演習」で応用力を養成、「スタンダード演習」で基礎力の定着を図る。英語は、中1から高1で「NEW TREASURE」を使う他、ネイティブの先生による英会話、中2はオンライン英会話も導入され、4技能をバランスよく育成する。
校内外行事としても、中2「奈良京都伝統文化研修」・中3「沖縄国際平和研修」などで自己理解・他者理解の姿勢を段階的に養い、高1の「オーストラリア海外研修」で集大成としている。任意参加で「短期語学研修」(中3~高2対象)、「3ケ月ターム留学」(中3~高2対象)なども用意されている。
4月の「フレッシュマンキャンプ・ジュニアキャンプ」は、高2・中1の合同行事で、高2が主体となって親睦を深める。クラブは任意参加だが、ほぼ全員が参加している。高校でのアーチェリー・チアダンスや吹奏楽は、関東大会レベル・全国大会レベルである。中学段階は学校給食で、成長期に必要な栄養バランスを満たしているのはもちろん、郷土や季節にちなんだメニューも用意され、好評である。