シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

大宮開成中学校

2025年09月掲載

大宮開成中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.「場合の数」は苦手意識をもつ受験生が多い

インタビュー1/3

身近な題材「電車」で考えさせたかった

この設問の出題意図からお話いただけますか。

加納先生 今年に関しては、電車に関する問題を全体的に出題した年になっていると思います。大問5番がこの座席の問題で、大問6番が時刻の問題でした。中学に入ると電車はすぐに使うと思います。そういう意味では、受験生にとって身近な題材ですし、身近な物事にも興味・関心を常にもってほしいという意図を持って出題させていただきました。

松田先生 元々大問5番は考えさせる問題という位置付けなんですね。身近な題材であったり。少し昔になるのですが、「ハノイの塔」というゲーム的なものを出したりしています。今年はどうしようかということで、この電車の問題を採用しました。例題は5座席、1問目は6座席、2問目は7座席というように、適度に難易度が増していきます。段々と考えさせられるところも含めて、この問題は第1回入試に適切なのかなと考えて出題した経緯があります。

加納先生 数学科の教員で問題を出し合った時に、電車を題材にした問題の数が多くて、「じゃあ電車で行くか」みたいなところで、今年度に関しては電車の流れがあったような気がします。

松田先生 かっこよく言うと、鉄道の町・大宮だからです。そう言うと、毎年、電車を出すのかと誤解されるかな。そういうことではないのですが……。

数学科/松田 昌志先生

数学科/松田 昌志先生

多くの人が考える「座席」に着目した

すごく自分事になる問題ですよね。こういう法則は皆さんの経験値の中から出てきたものですか。

加納先生 そうですね。法則があるというよりは、座席に座る順番を考えるときに、多くの人が考えるようなことを問題にしたら面白いんじゃないかと思いました。そこで優先順位を①から④まで立てました。そうすると、ただ座るだけとは違う「場合の数」を問えるかなと思いました。たぶん無意識にやっていることだと思いますが、この優先順位を参考にする人が多いのではないかと思います。

こんなに自然に場合の数の条件設定がすっと入ってくる条件の設定の仕方は、なかなかないですよね。

大宮開成中学校 図書館

大宮開成中学校 図書館

席が1つ増えると数が増えて難しくなる

作問には、どのぐらい前から準備されているものなんですか。

松田先生 準備は1年前からしています。1つの入試が終わったら、次の準備に取りかかっていますね。決まった作り方をしていると、どうしても問題に偏りが出てしまうことがあるので、問題を持ち寄ったり、今回のように誰かの意見を参考にして、数人で作ったりと、流動的に問題を作るようにしています。

電車の問題の受験生の出来具合はいかがでしたか。

松田先生 こちらの問題はあまり正答率はよくなかったです。(1)は35.9%、(2)は9.2%でした。もう少し高くなると思っていたのですが、小学生は苦手なのか「場合の数」は下がるんですよね。

席が1つ増えると全然違いますよね。例えば、3つのものを並べる時の並べ方は6通りですが、4つになると24通りに、5つになると120通りになります。

加納先生 一気に数が増えますからね。しかもこの問題の(2)に関しては、場合分けも必要になってくるので、そういう意味でも(1)と比較して、難易度が結構上がっています。

問題を作る先生同士のやり取りの中で、どのような意見が出ましたか。

松田先生 いろいろな意見が出ましたよね。「これだとやっぱり難しいのかな」とか。「例題を用意すれば大丈夫だろう」とか。5席を(1)にして、6席を(2)にするという案も出たのですが、電車と言えば7席じゃないですか。実際にあるものなので、そういう形のほうがいいですし、(1)(2)だけでは簡単過ぎるかなとか。

加納先生 誰かが題材を持ってきて、それに対してみんなで難易度を設定したり、これがあったほうがいいんじゃないかとか話し合いをしているという感じです。

日常の中に学びがある

席の選択をする時の優先順位は、後から出てきた話ですか。それとも、導入で出てきた話なんですか。

松田先生 先に座席の問題でしたよね。座席の問題がまず出されていて、そこからちょっとずつ肉づけしていった形でしたね。

誰でも経験ありそうなことから入っていこうと。

加納先生 みんなが経験あるからこそ題材として、問題としていいんじゃないかというところで選定した上で、それをどんどんブラッシュアップしていくというような形ですかね。

電車の座席だからこそ成り立つんですよね。普通の長椅子だったら面白みがなくなると思います。ただ、小学生は、入試時にはまだ電車にほぼ乗ったことがない人も多いですから。
ピンと来なかった受験生もいたかもしれません。

大宮開成中学校 図書館

大宮開成中学校 図書館

インタビュー1/3

大宮開成中学校
大宮開成中学校1942年設立された大宮洋裁女学校が創設し、7年後に大宮開成高等学校が設立された。中高一貫部が開校したのは2005年。大宮駅からバスで7分、徒歩19分のところに位置する。2016年の新図書館につづき、2018年、新体育館が完成した。
校訓「愛・知・和」のもと、「調和の取れた人間教育」を実践している。中学からの生徒は「英数特科コース」で、中高6年間を見通したカリキュラムで学ぶ。第1ステージ(中1・中2)基礎学力の完成、第2ステージ(中3・高1)では進路意識の確立、第3ステージ(高2・高3)では現役合格力の完成を目指す。
クラスに応じて「アドバンスト演習」で応用力を養成、「スタンダード演習」で基礎力の定着を図る。英語は、中1から高1で「NEW TREASURE」を使う他、ネイティブの先生による英会話、中2はオンライン英会話も導入され、4技能をバランスよく育成する。
校内外行事としても、中2「奈良京都伝統文化研修」・中3「沖縄国際平和研修」などで自己理解・他者理解の姿勢を段階的に養い、高1の「オーストラリア海外研修」で集大成としている。任意参加で「短期語学研修」(中3~高2対象)、「3ケ月ターム留学」(中3~高2対象)なども用意されている。
4月の「フレッシュマンキャンプ・ジュニアキャンプ」は、高2・中1の合同行事で、高2が主体となって親睦を深める。クラブは任意参加だが、ほぼ全員が参加している。高校でのアーチェリー・チアダンスや吹奏楽は、関東大会レベル・全国大会レベルである。中学段階は学校給食で、成長期に必要な栄養バランスを満たしているのはもちろん、郷土や季節にちなんだメニューも用意され、好評である。