シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

フェリス女学院中学校

2025年08月掲載

フェリス女学院中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.受験生が解きながら「楽しい」と感じられる問題

インタビュー1/3

まずは出題意図について教えてください。

先生 この問題を出題するにあたっては、受験生が解いて「楽しい」と感じられることを大切にしました。本校では、「自らの頭で考えること」や「自分自身で決めること」を重視しており、受験生の主体性が解答に自然と表れるような問題にしたいという思いから作成しました。

その人らしいユニークさが答えににじみ出てくることを期待しました。

御校には何度か取材をさせていただいていますが、いつもクリエイティビティを求めている気がします。

先生 確かにそうかもしれません。この問題に使われている文章も強いメッセージ性を持っている文章だと感じており、特に「想像力」「空想力」といった言葉が出てきているところは、作問している中ですごくいいなと感じていました。

ですから、この文章を読んで「自分だったらどうするかな?」という、ワクワクが伝わるような主張や考えを書いてくれることを楽しみにしていました。

フェリス女学院中学校 中庭階段

フェリス女学院中学校 中庭階段

自由な発想を重要視する校風

空想力というと、常識の範疇を超えて考える力が求められると思うのですが、御校では常識にとらわれない自由な発想を大事にされているのが如実に表れていると感じました。

先生 本校では「自由」を校風・理念としてもすごく大事にしているのですが、のびのびした自由な環境のなかで自分の頭で自由に考えられる人になってほしいと思います。たとえば、人間は得てして自分の中で内面化している常識や人の目、評価といったものにとらわれがちです。その、とらわれていることから「自由」になるというのはどういうことなのかを、入学してきた生徒と、一緒に考えたりしていきたいと思っています。

入学したての生徒は、何か枠に縛られている感じはあるのでしょうか?

先生 そうですね、もともと本校に入ってくる子は「私は自分で決めたいんだ」「自分でいろいろ考えることが好きだ」「自分の意見はしっかり持っている」といった芯の強さを持っている印象なのですが、周囲の大人の期待に応えたいという思いも強くもっていて、「先生はどう考えているのだろう?」とか「正解は何なのか?」といった枠によって縛られていることもあると思います。入学後にそういった部分から解放してあげることが大事だと感じます。

「論理的思考力」「構成力」「読解力」も必要

この設問の解答で気になったものにはどのようなものがありましたか?

先生 問題としては「どんなテーマで作りますか」「どのようなパビリオンを作りますか」と問われているわけですが、実際のところ文章内には具体的な描写がなされているわけではありません。でも、受験生たちは「具体的に書きなさい」と書かれてあるので、自分で何らかの具体的な描写をしなければいけないわけです。

確かにアイデアは無限にあって、読む相手の目線や常識にとらわれることなく「自分の書きたいことを書いていいんだよ」という問題ではあるのですが、だからこそより一層手堅く書かないと読む相手に正しく伝わりません。また、課題文があるので本文の読解が前提です。

そのため、「いかにきちんと読解ができているか」「そこからどうやって論理的に表現していけるか」がポイントで、それができていないと解答として成立しません。

何をどう繋げて書けばいいのか迷った受験生もいたのではないかという印象です。実際の答案を見られて、問題作成の意図は解答にしっかり反映されていたと感じますか?

先生 ユニークな発想という意味においては少し苦労したのかではないかと思える解答もありました。

ただ、自分なりにテーマ設定をして、具体的にそれがどういうものなのかを描写していれば、「しっかり読解できている」「論理的な思考ができている」「きちんと適切な言葉を選んで書けている」といったことは答案からわかりましたし、「一生懸命考えてその子なりにひねり出したんだな」という、思いが伝わるような良い解答がたくさんありました。

フェリス女学院中学校 図書館

フェリス女学院中学校 図書館

180文字以内で解答を書く難しさ

自分の言葉で常識の範疇を超える空想力を使ったものを書くとなると、考えれば考えるほど難しいですよね?

先生 しかもこれが「180字以内」と難しい字数となっています。40字ぐらいであれば思いつきで押し切れるかもしれません。そもそも2つの文章の読解をしないといけない時点でかなり大変なうえ、具体的に言葉を選びながら描写していかないといけない、論理的に文章を構成していかないとなるとかなり難しかったのではないかと思いました。

「難しい」と思った生徒のほうができたのかもしれませんね。「簡単だ」「すぐ書ける」と飛びついて書きはじめると、求められている深さまで書けない気がします。しっかり読解して論理的にかつ自由な空想力を使って書かれているような、全てが揃った解答はありましたか?

先生 きれいにすごく整っている文章だけれど「自分らしさはどこにあるの?」というものもあれば、発想自体は面白いけれど、「根拠がなく論理的に成り立っていない」というものもありました。でも強みと弱みは表裏一体ですから、入学したあとでじっくり育んでいければ良いとは思いましたね。

インタビュー1/3

フェリス女学院中学校
フェリス女学院中学校フェリス女学院の教育理念“For Others”は、誰か特定の人によって提案されたものではなく、関東大震災後に、誰が言い出すともなくキャンパスに自ずとかもし出され、フェリス女学院のモットーとして自然に定着したものだということです。フェリス女学院では、“For Others”という聖書の教えのもと、「キリスト教信仰」・「学問の尊重」・「まことの自由の追求」を大切にしています。そして、生徒一人ひとりが、6年間の一貫教育を通して、しなやかな心を育み、つねに与えることができる、“For Others”の精神を持った者へと成長することをめざしています。校章には、盾に創設時の校名Ferris SeminaryのFとSの二文字がデザインされています。盾は外部の嵐から守る信仰の力を表し(「エフェソの信徒への手紙」6章16節)、白・黄・赤の三色は信仰、希望、愛(「コリントの信徒への手紙一」13章13節)を表しています。
外国人墓地や歴史的な建造物の多い異国情緒あふれる地域にある、落ち着いた雰囲気の学校です。創立者メアリー・E・ギターがこの地に開学して以来の歴史が、校舎を包む木々などから感じられます。2000年の創立130周年において新校舎建築となり、2014年には新体育館、2015年夏には新2号館が完成しました。中高の図書館には、図書・視聴覚資料・雑誌・新聞などの多くの資料があります。授業の課題制作や調べものや自習のほか、昼休みや放課後にも多くの生徒が利用しています。書庫は開架式で、図書を手に取って自由に選ぶことができます。
クラブ活動がたいへん盛んで、同好会、有志も合わせると約60近い団体が活動しています。中学生では、ほぼ100%の生徒がクラブに参加しています。ほとんどのクラブが中1から高2まで一緒になって活動し、同学年だけでなく、先輩・後輩という他学年との人間関係が築かれています。中3からは、クラブ以外でも、気のあった仲間同士で同好会や有志を結成して文化祭に参加するなどの活動もあります。