シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

逗子開成中学校

2025年07月掲載

逗子開成中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.相手の立場や事情を汲み取りながらしっかりと寄り添い配慮のできる人間に

インタビュー3/3

将来的に、生徒さんにはどのように大学に行ってもらい、どんな力をつけてあげたいと考えますか?

竹田先生 社会科としては、当然大学受験に対応できる力をつけてもらいたいので学力は大事ではあるのですが、それ以上に相手の立場を踏まえて話ができる、相手に配慮しながら、かつその人の持つ背景などを踏まえて物事を考えられるようになってくれるといいかな、と思います。

世の中にはいろいろな立場の人たちがいて、いろいろな背景を持っている人たちがいるんだよ、ということを社会科では伝えているので、そういう場面に遭遇した時に、配慮が少しでもできる人間であってほしいです。

あとは、新聞やニュースなどを見たときに「本当にそうなのかな?」と一度立ち止まって考えられる生徒や卒業生を増やしていけるといいなと考えています。そういう考えをするための材料や素材を提供するのが社会科教員としての役目のひとつであると考えています。

逗子開成中学校 徳間記念ホール

逗子開成中学校 徳間記念ホール

知見を広めるための「土曜講座」

授業以外に社会科で特別な授業や行事など何か取り組んでいることはありますか?

竹田先生 たとえば、作文を書いてもらってそれを外部のコンクールに出してみたり、中学3年生の生徒が新聞投書をして社会との接点を持ってもらったり、といった取り組みは行っています。どこかにみんなで行って何かを見学する、といったことは社会科としてというよりも、学校全体で研究旅行などを行っています。

あとは、さまざまな教科の教員や保護者・卒業生などの方々が、「土曜講座」といった幅を広げるための活動としていろいろな講座を開いて生徒に教える場も設けています。具体的には、博物館に行って現物を見てもらったり、最近だとペリー来航の時の絵を素材にして、「この絵からどういうことが読み取れるんだろう?」「この絵は作為されている部分があるがそれはどういうところだろうか?」みたいなことを考える授業を行ったりしています。

過去には医療関係に携わっている保護者の方の協力をいただいて、心肺蘇生を実際にやってみたこともありますし、防衛大の先生をしている保護者の方が原子を見えるような実験をしてくれたり、さらにはカラーコーディネーターの方が講座を受け持ってくれたりしたこともありました。

秦先生 この土曜講座は参加が自由で、生徒の興味を広げるために行っているものです。ですから部活を中心に力を入れている生徒は必要最低限の参加になっています。一方で、土曜講座に興味関心が高い生徒は、年間で20~30講座も受講しています。

逗子開成中学校 土曜講座

逗子開成中学校 土曜講座

社会の語彙力を増やす「用語しりとり」「絵しりとり」

社会はどちらかというと暗記することも重要な科目だと思うのですが、覚えることが楽しくなる秘訣などあれば教えてもらえますか。

竹田先生 よく生徒たちがやっている「用語しりとり」は、楽しみながら用語を覚えることができる、非常に効果的な学習方法だと思います。日本史を学んでいる生徒同士で用語を使ってしりとりをやっていて、「先生、『さ』で始まる事件なんてないですか?」と質問されたりすることがあって、「なんか面白いことやっているな」と思いましたね。

あと、うちのクラスの学級日誌では「絵しりとり」が流行っています。たとえば、燃えている山の前に武将が描かれている絵があって「この山を燃やしている武将は誰だ?」みたいな問いかけがなされるわけです。この答えは延暦寺焼き討ちをした織田信長なので、『が』からはじまる用語をまた別の絵で表していく、そういったしりとりをやって知識を増やしています。

このように、学べる仲間がいて遊び心があれば、意外と楽しく暗記もできるのではないかと思います。

また、公民などの今の日本を知るには小学生向けの新聞なども有効だと思います。話題もかなり豊富ですので小学生でも読みやすいでしょう。社会科は夏以降からかなり伸ばしていける科目だと思いますし、逗子開成では用語を書かせる問題も複数出題していますので、書いて練習して試験会場で再現できるようにしっかりとトレーニングしてもらえれば、10点、20点は伸ばせていけるのかなと思います。

入学する前にどんな風に学んでいてほしいと思っていますか?

竹田先生 小学校の段階ではいろいろなことに興味を持ってチャレンジしてもらいたいと思います。考える体力のある生徒たちが本校を選んできてくれていると思うので、入学後はその力を発揮してほしいです。本校にはいろいろ見聞きして体験しながら自分の考えを深めていけるような子たちがいっぱい来ていますので、そういった仲間同士で切磋琢磨しながら6年間を過ごしてほしいですね。

もちろん入学した際には教員側も精一杯サポートをしていきたいと思っているので、使えるものはうまく活用しながら、いろいろチャレンジして多角的に物事を捉えられるような体験をしてもらえるといいかなと思っています。

逗子開成中学校 グラウンド

逗子開成中学校 グラウンド

インタビュー3/3

逗子開成中学校
逗子開成中学校1903(明治36)年創立の神奈川県下最古参の男子私立中学校。東京の開成中の分校「第二開成中」として設立されたが、ほどなく独立。中学募集は一時中断したが、86(昭和61)年再開。近年の目覚ましい学校改革の試みは、バランスのとれた学校像の確立を目指すものとして注目されている。2003年(平成15)年に創立100周年を迎えた。
建学の精神『開物成務』にのっとり、「真理を探究し、目標を定め、責務を果たす」ことのできる人材の育成が教育の目標。レベルの高い学問を修めさせると同時に、独自の海洋教育や映像教育、コンピュータ教育等を駆使し、国際社会で活躍すべく、単なる進学校にとどまらない21世紀の新しい教育の創造を目指している。
逗子海岸に臨む校地には、ヨット工作室や宿泊施設もある海洋教育センター、本格的映写機と音響システムを備えた徳間記念ホール、コンピュータ棟やセミナーハウス、研修センターなどの充実した各施設が並ぶ。自習室も完備している。教育環境を見事に整備し、高い塀を廃した開放的な発想から、世界にはばたく人材が育っていく。
逗子開成の授業には演習が多く取り入れられている。問題を解く力や表現する力を、すべての教科・科目で身につけ、バランスのとれた基礎学力を育成している。学年によって教科、レベルは異なるが、習熟度別授業を実施。補習だけでなく、通常授業の効果をさらに上げる「特習」もある。中3から選抜クラスが新設され、学年ごとに入れ替えがある。高2からは文系・理系にコース分けをする。土曜日には各種講座や行事を実施するが、教師、保護者、生徒の好奇心がぶつかり合う土曜講座は世界・体験・達成・地域の4分野100講座以上とバラエティ豊か。
中1の時にヨットを製作するのは有名で、中3までの全員が逗子湾で帆走実習を行う。海洋教育と並び映像教育をも柱とする同校では、年5回映画鑑賞会が行われており、学校にいながらにして名作を鑑賞できる。中3では全員がニュージーランドに。高2の研究旅行はマレーシア・ベトナム・韓国・沖縄・オーストラリアのコース選択制で実施。中2~高2の希望者には1週間のエンパワーメントプログラムのアメリカ研修、カナダ研修、3ヶ月間の短期留学、1年間の海外長期留学がある。また、中1・中2では、校内における異文化英語プログラムなどがあり、語学以外に様々な体験ができる。奉仕活動にも熱心。