シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

逗子開成中学校

2025年07月掲載

逗子開成中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.自分の考えを人に伝わるように表現していける力をつけさせてあげたい

インタビュー2/3

逗子開成中学の社会科として、「こういうことをやりたい」と思っていることはありますか?

竹田先生 自分の考えを表現する「記述力」を生徒に身に付けさせていくことについては少し課題意識があります。小学生だけでなく中学生、高校生も似たようなところがあって、問いかけに対して、結論だけ書かれたような答案が結構あるのが現状です。

ただ、それは社会科だけでなく他の科目の教員も同じようなことを言っていて、自分の考えを表現する力を身に付けさせる点については、当然社会科でも頑張っていきたいと思っていますし、教科を越えてやっていかなければいけない課題だと思っています。

具体的に教科を越えて取り組んでいるものは何かあるのですか?

竹田先生 たとえば、今中学1年生で新聞の天声人語の要約をさせたりしています。ほかにも、去年高2を教えていた際には、新聞記事を持ってきてそれを要約することをさせていましたし、総合学習などでワークシートを作りそれに合わせて意見論述させたりするなど、自分の主張を主張・理由・反駁・それに対する再反論みたいな形で文章を書いていこうといったトレーニングや取り組みはすでに行っています。

とはいえ、まだまだできることは学校としても社会科としてもあると感じており、もう少し深めていきたいと考えています。

入試問題において1行や2行でなんでもかんでも説明しようとすれば、当然長くなって解答欄に入りきらないですし、一方で結論だけでは不十分ですし、ちょうどいい要素をきちんと取り入れて説明してほしいというのを問いかけからも感じます。

竹田先生 受験生に長く書かせてしまうと採点自体が難しくなってしまいます。小学生なので途中で句読点を入れず一文で書いてしまい、途中で言うことが変わってしまったりして、結果として社会科の力ではない違う力を測っているのではないかという気持ちになってしまうこともあります。そのため、現在ぐらいの文字量で書いてもらうのが適切ではないかと思っています。

まずは何でもいいから考えたことを書くというプロセスも大事ですが、最終的にはそれを人に伝わる形でQ&Aになる形で書けることが求められていくのかなと思います。ですから、作問の際には受験生が端的にまとめられるようにイメージしながら設問を作っていき、そこに少しでも近づいてくれる受験生がいるといいなという期待を持って臨んでいます。もちろん書いてくれることが大前提で、書いてくれたものについては汲み取れる範囲で汲み取ってあげたいと思って採点しています。

記述の採点は、複数の先生で行うのですか?

竹田先生 そうですね。論述は割と一人で見たりすることもありますが、問題によりけりです。

広報部長/秦 健二先生

広報部長/秦 健二先生

門外不出!逗子開成秘伝の「共通ノート」の存在

教科書以外の独自の教材はあるのですか?

竹田先生 中1であれば8クラス、中2以降であれば7クラスもありますので、1人の教員が1学年を全部見ること自体が難しいこともあり、「ここはしっかり教えよう」といった共通のコンセンサスを持つ「共通ノート」を作って生徒に提供しています。

このノートは、教科書の内容や進学を意識する入試で問われているもの、+αで押さえておいてほしいものなどが書かれていて、基本的には教科書での学びをベースとしながら組み立てていけるものとなっています。各授業の担当教員は、この共通ノートを使いながらそこに自分の強みを付け加えて授業をしていますね。

共通ノートは社会科で作っているのですか?

竹田先生 はい、社会科で作っている授業講義プリントとなります。最近は冊子形式で配っていることが多いのですが、たとえば中学生の場合だとプリントを配ってノートに貼ってもらい、右側に授業で教員が言ったことをメモしていこう、といった指導をしています。

秦先生 共通ノートは、生徒からの評判もとても良いです。大学に受かった卒業生の多くが、「社会の共通ノート、あれはやばいですよ」「予備校いらないです、共通ノートだけでいいです」って言っているほどです。

生徒が言うからには間違いない、まさに秘伝のノートですね。非常に気になります。そのノートは世界史・日本史全てあるのですか?

竹田先生 あります。知識を教えていくという意味では、共通ノートに準拠しながら学んでいく、といった形となりますね。

逗子開成中学校 芸術棟

逗子開成中学校 芸術棟

インタビュー2/3

逗子開成中学校
逗子開成中学校1903(明治36)年創立の神奈川県下最古参の男子私立中学校。東京の開成中の分校「第二開成中」として設立されたが、ほどなく独立。中学募集は一時中断したが、86(昭和61)年再開。近年の目覚ましい学校改革の試みは、バランスのとれた学校像の確立を目指すものとして注目されている。2003年(平成15)年に創立100周年を迎えた。
建学の精神『開物成務』にのっとり、「真理を探究し、目標を定め、責務を果たす」ことのできる人材の育成が教育の目標。レベルの高い学問を修めさせると同時に、独自の海洋教育や映像教育、コンピュータ教育等を駆使し、国際社会で活躍すべく、単なる進学校にとどまらない21世紀の新しい教育の創造を目指している。
逗子海岸に臨む校地には、ヨット工作室や宿泊施設もある海洋教育センター、本格的映写機と音響システムを備えた徳間記念ホール、コンピュータ棟やセミナーハウス、研修センターなどの充実した各施設が並ぶ。自習室も完備している。教育環境を見事に整備し、高い塀を廃した開放的な発想から、世界にはばたく人材が育っていく。
逗子開成の授業には演習が多く取り入れられている。問題を解く力や表現する力を、すべての教科・科目で身につけ、バランスのとれた基礎学力を育成している。学年によって教科、レベルは異なるが、習熟度別授業を実施。補習だけでなく、通常授業の効果をさらに上げる「特習」もある。中3から選抜クラスが新設され、学年ごとに入れ替えがある。高2からは文系・理系にコース分けをする。土曜日には各種講座や行事を実施するが、教師、保護者、生徒の好奇心がぶつかり合う土曜講座は世界・体験・達成・地域の4分野100講座以上とバラエティ豊か。
中1の時にヨットを製作するのは有名で、中3までの全員が逗子湾で帆走実習を行う。海洋教育と並び映像教育をも柱とする同校では、年5回映画鑑賞会が行われており、学校にいながらにして名作を鑑賞できる。中3では全員がニュージーランドに。高2の研究旅行はマレーシア・ベトナム・韓国・沖縄・オーストラリアのコース選択制で実施。中2~高2の希望者には1週間のエンパワーメントプログラムのアメリカ研修、カナダ研修、3ヶ月間の短期留学、1年間の海外長期留学がある。また、中1・中2では、校内における異文化英語プログラムなどがあり、語学以外に様々な体験ができる。奉仕活動にも熱心。