シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

獨協埼玉中学校

2025年07月掲載

獨協埼玉中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.自分の頭で考え、解法を選択できるように6年かけて数学脳を鍛えていく

インタビュー3/3

自主学習システムで文武両道を支援

渡部先生 今は「SLC」という自主学習のシステムを取り入れていますので、その場所では下校時間を超えて自主学習ができます。例えば部活が終わってから、その日の勉強を、その部屋で1時間ぐらいやってから家に帰る生徒もいます。6時間目まで授業があるので、1教科10分ずつでもその日のうちに振り返りを行い、帰宅します。その習慣が身につくと、部活が休みの日もそこでしっかりと勉強して家に帰るといった使い方ができるようになります。難易度の高い学習内容だけでなく、学習習慣の確立も含めて、学校で完結できるような体制を整えているので、そういう意味では学業と部活動の両立がしやすい学校と言えると思います。

部活動を終了後、1時間くらいは自習できるのですか。

渡部先生 中学生は下校時間が17時半ですが、「SLC」は18時まで利用できます。実際には、部活動が17時15分あたりに終わって、その後にその部屋に行くというイメージです。高校生は18時が完全下校、「SLC」は19時まで使用できますので、1時間ぐらいその日のノートの復習をしたり、課題が出ていればそれに取り組んだりしています。

6年間かけて、自主学習の習慣づけができるのは大きいですね。

渡部先生 遠くから通学している生徒が多いので、「部活動が終わって家に帰ると時間が遅くなってしまいご飯も食べずに寝てしまうんですよ」といった保護者の意見も聞きます。それならば、学校で完結して、家に帰ってしっかりと休む。朝早く家を出る生徒もいますので、学校としては生活の中にうまく「SLC」を取り入れて、学校生活や学習習慣の確立に役立ててもらえればいいという思いで進めています。

獨協埼玉中学校 SLC案内

獨協埼玉中学校 SLC案内

参考書を作るという意識でノートづくり

独自教材などは作っていますか。

渡部先生 授業スタイルは担当者により異なります。ノートを中心に行う人もいれば、プリントを中心に行う人もいます。あるいは教科書に沿ってしっかりと進めて、それが完結してから問題集の応用問題に入る人もいますし、その都度、教科書の1単元が終わるごとに「こういう問題もあるんだよ」と説明する人もいます。

同じ学年を受け持っている教員同士で「いつまでにここまでやりましょう」とか、「ここはこう教えましょう」とか、おおまかな打ち合わせをしますが、基本的にはその年の担当者が裁量を持ち、責任を持って進めていく形です。

私は全ての授業をプリントで行います。中学生のうちはノートに書くということも大事だと思っているので、B5判のプリントの上と右側に余白をとって、そこを裁断し、プリントをノートに貼ってノートを作ります。目的は参考書づくりです。参考書と問題集の違いも教えて、「高校の授業に入った時に、そのノートが参考書になるようなものにしていこう」と話しています。

獨協埼玉中学校 SLC質問カード

獨協埼玉中学校 SLC質問カード

数学を学ぶ上で大切なのは〝自分で考えること〟

映像や動画も使われるのですか。

渡部先生 そうです。ただ、それでわかったつもりになると困るので、「映像は最初の1段階をこちらが手助けしているだけで、イメージできることばかりではない」ということも、生徒には伝えています。自分の頭の中で動かさなければいけない問題もあれば、円の大きさを徐々に大きくしていくなどイメージできないような問題も出てくるので、そういう時には、今までやってきた計算であったり、解き方を信じて解いたりすることが必要になります。わかりやすくしすぎてしまうと、テストの時に自分で図を書いて考えようとしなくなってしまうので、導入の部分はやさしくしても、次からは「自分で図を書いてごらん」など、段階を踏みながら、問題によって難易度を上げていくということを他の先生方もしています。

他の先生方にアドバイスをいただいた中で、すごく印象に残っているのが、木を切る時に何を使うかという話です。カッターで木を切ろうとしている生徒に対して「ノコギリやチェーンソーなどを使ってみたら。使い方は難しいかもしれないけれど、その使い方をうまく勉強すれば簡単に切れるんだよ」という例え話がわかりやすいので、効率のいい解き方を勉強しなければいけない時に、よく使わせてもらっています。

獨協埼玉中学校 パソコン教室

獨協埼玉中学校 パソコン教室

志望校が決まったら過去問をしっかり解こう

では、最後に小学生に向けて、算数の勉強の仕方について、アドバイスをお願いできますか。

渡部先生 まず基礎問題の定着がないと、思考力を問うような、応用問題(大問)に立ち向かっていけないので、計算をはじめ定番問題をキチンと演習してほしいです。

あとは、今まで問題を解いてきた中で、「なぜ?」と思ったところをしっかりと振り返ってほしいです。

私が教えていて一番嬉しいのは、図形の問題で「90度に見えました」などと、生徒のほうから気づいたことを言ってくれた時です。合っている間違っているは関係なく、「なぜそう思ったのか?その理由はどこにあるのか?」を大事にしてもらいたいです。その経験がいろいろなパターン的な演習を分類分けする必要がある時に、全体像を掴めるのではないかと思います。

苦手を克服する方法があれば教えてください。

渡部先生 知らなかったというところから、知ることができたというところを楽しめるかどうかだと思います。知識を単純に入れるという作業ではなく、知らないよね、知らなかったよね、という部分を知ることができたところに喜びがあると思っています。もしかすると勉強している受験生の中には、そういった意識ではなく、合格するためなど、その子なりのいろいろなプレッシャーがあるのかなと思うので、そういったものではなく、勉強の最初は「知らなかったことを知ることにある」ということをしっかりと考えながら、取り組んでほしいと思います。

獨協埼玉中学校 校舎内

獨協埼玉中学校 校舎内

インタビュー3/3

獨協埼玉中学校
獨協埼玉中学校1881(明治14)年にドイツを主としたヨーロッパ文化を学ぶことを目的とした獨逸学協会としてスタートし、以後120年間のうちに獨協大学、獨協医科大学、姫路獨協大学、獨協中学・高校を有する総合学園に発展。獨協埼玉高校は1980(昭和55)年に開校。2001(平成13)年に待望の中学校が開校した。
都内と違い、まだまだ多くの自然が残る環境のなか、約8万m2の広大な校地をもつ。300mトラック、サッカー・ラグビー場、図書館棟、和室棟などがある。中学開校に伴い、中学の校舎を新築。普通教室のほか、カリキュラムで使い分ける選択教室が8教室、250名収容のコミュニティルームや、各階の談話コーナーのほか、パンなどの軽食や飲み物を販売する売店や販売機も備えている。
教育方針は、自ら考え、判断し、行動することのできる若者を育てる。中学では、様々な体験を通じて、自分の目でみて確認する「帰納法的手法」を重視している。
併設大はあるが、他大学進学へのウエートが大きい。英語は中1では週6時間、そのうち2時間は外国人教師による授業で、1クラス2分割の少人数制。指名制・希望制の補習が放課後あり、定期考査後や、学期末にも特別補習を実施する。中3で卒業研究発表に取り組む。毎日10分間の朝学習では、読書、学習チェックの2つの内容で行われる。高校の英・数は学年により習熟度別・少人数授業を行っており、伝統のドイツ語は高1から自由選択科目となる。外部進学生とは高2より基本的に混合クラス。
中学のクラブの活動日は週4日で、完全下校を中1は5時半に設定。運動部は陸上、軟式野球部など12、文化部は吹奏楽、演劇部など6、文芸、囲碁・将棋など6つの同好会がある。授業のほか体、心を鍛える総合学習プログラムがあり、中1では地域の農家の協力を得て稲を育てるネイチャーステージ、中2では将来の進路や就業について調べるキャリアステージや、2泊3日アメリカン・カウンセラーと生活する「英語ですごす3日間」を体験するイングリッシュキャンプ、中3では福祉体験などを行うボランティアステージなどが用意されている。学校行事は、文化祭、修学旅行、マラソン大会など多彩。希望者対象に中3はニュージーランド、高校はイギリス語学研修、ニュージーランドターム留学、オーストラリア・ドイツとの姉妹校交流がある。