シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

成城学園中学校

2025年06月掲載

成城学園中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.理科に関する実験やイベントも多数展開

インタビュー3/3

成城学園中学の理科の授業の特徴などあれば教えてください。

甲斐先生 本校ではかなり実験を行っています。それこそ授業の半分は実験をしているといった具合で、特に中1は数多く行います。比較的実験道具も揃っている学校なので、そこは大きな特徴だと言えます。

また中3の物理・化学も特徴的です。本校の理科は、中3で理科A・理科Bと2つの流れに分かれていきます。その理由として、高校のカリキュラムとして高1で物理・化学を勉強するのですが、せっかく中高一貫校なのですから中3でも物理・化学を勉強して、高校の理科に繋がるようにしていきます。

それと、中2の夏休み前には「山の学校」といって、70年ほど続いている大事な学校行事が行われます。せっかく山に行くのですから、気圧や天気について詳しく分かっていたほうがより楽しめると思い、直前には天気の単元を学んでおいて、実際に山へ行った際には学んだことを実感できるようなカリキュラムを作成しています。

気圧について、授業で聞いただけではよく分からないという生徒も実際にいます。しかし、山に行った時に頭が痛くなったり、袋が膨張したりした際に、「これ、授業で習ったやつだ」と生徒が言ってくることがあるのですが、その時は「学ばせておいてよかったな」と感じますね。

ほかには「サイエンス教室」といったものがあります。サイエンス教室は学期に1回行っている授業なのですが、これまでに好評だったものとして、栃木のとある場所から岩石を取り寄せて化石を探そう、といった企画を行いましたし、物理の教員が大学時代に専門的に学んでいた内容を、高校生向けに少しアレンジして教えることも行いました。

佐々木先生 サイエンス教室はもともと任意で行っていたものの、だんだんと学校行事的なものになってきた部分があり、企画を考えるのも結構大変です。教員同士「今年はどうする?」と頭を悩ませていますが、生徒はすごく喜んでくれるので、こちらとしてはやりがいを感じます。

成城学園中学校 図書室

成城学園中学校 図書室

理科の実験にはiPadの活用も

通常授業はどのように行っていますか?また、ICTは積極的に活用されているのでしょうか?

佐々木先生 中学生は全員iPadを使っています。使用ルールに多少の制限はありますが、私の授業では出していいよと言っています。顕微鏡越しに写真を撮るのって非常に難しいのですが、生徒はすごく上手に撮影してしっかりと記録に残しています。昔だと写真を撮るのに専念してしまって実習でスケッチなんてできませんでしたが、今は記録に残しつつ写真を見ながら描くことができます。ですから、時間内に描ききれなかった生徒は家に帰ってからも続けて描けますので、iPadは観察に適した道具なのかな、という感じはします。

理科が苦手の生徒にどうやって魅力を伝えられるかが課題

理科を教えている先生から見て、生徒にどういった印象を持たれていますか?

佐々木先生 理科に興味や関心のある子は、しっかりと深いところまで追求してくれているのを感じます。

本吉先生 高1の物理基礎の苦手な生徒もいて、そうした生徒は中3で理科が苦手になっていることが多いです。電気や計算問題を見るとアレルギー的に拒否反応を示している生徒もいますね。その点は今後の課題だと感じています。いくら興味や関心を持つよう生徒に言ったところで、理科の魅力を発信できていなければ、マインドを変えていくのは難しいです。理科という科目は、正しい知識に基づいて正確に教えることが求められると思うのですが、昨今の探究的な考えるタイプの授業を展開すると、あからさまに生徒が拒否反応を示します。

数年前の話ですが、担任した生徒へ「大学に行ってその先どうするの?」と進路の話をした時に、その生徒は将来を考えてではなく、「理科の勉強をしたいから大学へ行くんだ」と言っていたのですが、そういった思考を持つ生徒をもっと育てていきたいと思います。

「大学で何をするのか」の部分があれば、「なぜ理科をやるのか」も自ずとついてくると思うのです。今は進学と自分の興味や関心をかき立てるもの、また我々教員側が提供したいものと、生徒に要求されるものとのアンバランスが生じており、指導するのも難しくなってきているのを感じます。

入試広報部長/本吉 剛先生

入試広報部長/本吉 剛先生

身近なものに疑問を持つ生徒にしていきたい

どんな理科の力をつけさせてあげて、どんな生徒に育ってほしいと思っていますか?

甲斐先生 理科を自分の身近なものとして捉えてほしい、というのは常に思っていることです。授業で教えている時も、できるだけ生徒たちに身近な例を使って説明するように工夫しているつもりです。そういった指導を繰り返すことで、生徒が身近なことに対して疑問を持ってくれるといいなと思います。今は高校の生物を教えていますが、自分が高校時代に習って感動したことを生徒に還元していきたいという気持ちで教えています。

ということは、ご自身が普段されている授業に対しての考え方が、入試問題にも表れているということですか?

甲斐先生 そうですね、実際にそれがうまく反映されているといいのですが。

佐々木先生 私はまだ中学に来てから日が浅いのですが、中学生にはいろいろなことに疑問や関心を持ってもらいたいです。物理の教員なので、当然物理ではない分野は専門外ですが、生徒たちと大きく違う点として、大人であってそれなりの知識もあるので、生徒たちの疑問や質問に何らかの答えを考え伝えていくことはできます。その際に、「~かもね」といった具合にあえて断定せずに答えるようにしています。そうすると、生徒は正確な答えを知りたかったために多少の違和感を持つのですが、そういった違和感、答えがありそうなんだけれども答えが出でこないことに対する違和感に耐性を持つ子が増えてほしいとは思います。

答えを与えてしまうとそこで目的が完了してまって、残念ながらそこでコミュニケーションが途絶えてしまいます。「持っている材料ではこう言えるけれど、はたしてこれって本当なの?どう思う?」といった問いかけに対し、逃げないような生徒を増やしていきたいです。

成城学園中学校 カフェテリア

成城学園中学校 カフェテリア

暗記をする際には「なぜ覚えないといけないのか」を考えること

理科の科目の中には、生物や地学のように比較的暗記をベースとした学習が必要な科目があると思うのですが、暗記があまり得意でない受験生はどうやって暗記をするのがよいと思われますか?

本吉先生 すぐに答えが出てこないというのは当然覚えていないからであって、「知識不足を克服するには暗記作業をしていかないといけないよ、と教える側がどれだけ伝えていけるかでしょうね。

佐々木先生 私は専門が物理なので、「理科なんて暗記科目ではない」とずっと思ってきたのですが、いろいろな科目もやっていく中で、暗記も重要だと思うようになってきました。物理も実は暗記することはあって、問題が解けるのは暗記して知識を付けたからだったりするわけです。生物も同様に、知識が増えることで深い話ができるようになるわけで、発想を少し変えていくといいのではないかと思います。

「なぜそれを覚えるのか?」といえば、その先の仕組みを説明したりするためであり、物理や化学といった計算系のものも実は暗記のもとに成り立っているんだと思ってもらえたら、「じゃあ暗記頑張ってみようかな」と感じられるのではないでしょうか。

これから中学受験で成城学園を目指す受験生に対してのメッセージをお願いします。

甲斐先生 学校説明会でも話していることですが、基礎をしっかりと固めて入試に臨んでほしいです。一般の小学生が知らない知識を問うことはしていないので、基礎知識をうまく活用できる力を身につけておいてもらいたいと思います。それに加えて、日常のニュースなども頭に入れて入試に臨んでほしいですね。

成城学園中学校 校舎

成城学園中学校 校舎

インタビュー3/3

成城学園中学校
成城学園中学校1917(大正6)年、日本教育界の重鎮である澤柳政太郎が開設した成城小学校を原点とし、7年制の旧制高等学校の伝統を継承しています。創立当初から「自学自習」「自治自律」精神を大切にする自由な校風。
中学1年は35名の7クラス編成。英語教育には力をいれており、Global Competence Program(GCP)を導入。全ての生徒が大学に進学することを前提とし、中学では基礎学力をしっかりと身につけます。補習も充実。中学3年の3学期に行われる「選択授業」では、芸術・実技系教科の多彩な講座から1つ選び、週4時間を使って作品製作、発表などに取り組みます。高校2年、3年で「主に成城大学への進路希望」(Aコース)、「主に他大学文系への進路希望」(Bコース)、「主に他大学理系への進路希望」(理数コース)の3コースに分かれます。生徒一人ひとりの幅広い進路へ対応できるサポート体制も充実。探究学習「ゼミナール」では、自分で立てたテーマを視野を広げて掘り下げ発信する力を養います。併設大学進学率は50~60%。難関大学へのチャレンジする生徒が増え、併設大学にない理系(医歯薬系)だけでなく、文系からも多くの他大学進学者が出ています。中学2年で行われる「山の学校」では、北アルプス登山に挑戦。中学1年で行われる「海の学校」では、遠泳に挑戦したり、ライフセービング実習を体験するなど行事も多彩。クラブは、中学ラグビー部が全国大会、テニス(男女)、陸上(男女)は、関東大会レベル。高校では男子ホッケーが全国大会出場。ラグビー、陸上(男女)、女子ホッケーが関東大会レベル。創立100周年を超えて「成城学園第2世紀」を迎えて、伝統の情操・教養教育のもとに、国際感覚、論理的思考力や観察力を持つ人を育てます。