シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

成城学園中学校

2025年06月掲載

成城学園中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.基本をしっかりと押さえていれば解けるタイプの問題

インタビュー1/3

最初にこの入試問題の意図をお聞かせください。

甲斐先生 入試では基本的な問題を出題するようにしています。前提として、重箱の隅の知識を問うようなことを目的としていないため、基本をしっかり押さえている子が進学して来てほしいと考えています。

今回の問題ですが、七輪自体それほど身近なものではなく、見たことがある子ども自体少ないと思ってはいたものの、あえて出題してみようと思って出しました。七輪を見たことがあっても、さすがに内部構造まで知っていた子は多くなかったと推測しますが、物を燃やすための道具であるということをヒントに、「酸素が必要である」とか「気体は上にのぼっていく」といった物を燃やすにあたっての基本的な知識さえ持っていれば、どういった仕組みでないと物が燃えないかはわかると思うので、実際には七輪がよくわからなくても解けるような問題になっています。

先生の身近な環境にも七輪は存在しないと思ったのですが、なぜ七輪に目をつけて問題にしようと思ったのですか?

甲斐先生 これは本当の話ですが、焼肉屋さんに行った際にお店に七輪があったのを見て、「七輪に関する問題を出してみてもいいかな」と思ったのがきっかけです。

私自身、七輪の存在は知っていても七輪の内部構造まで知っているわけではありませんでしたので、あとから「そういえば七輪の中ってどうなっているのかな?」と気になりました。ですから、実際に調べる段階で窓がついているのを見て、「なんで七輪には窓があるのだろう?」と疑問に思ったりしながら考えて作問していったという流れです。

佐々木先生 ほとんどの場合、七輪は火がついた状態で出てくるので、これが正しい使い方かどうかを知る経験が大人でもほとんどないですからね。

この問題は、意外と受験生も出来なかったのではないか?と感じましたが、実際の出来はどうでしたか?

甲斐先生 そんなに出来なかったとは感じませんでした。割と解けた受験生が多かった印象はありますね。

佐々木先生 この出題の2問目は記述問題でしたが、1問目の問いがなかったら解くのは厳しかったのではないかと思います。この問題だけに時間が使えるわけではないですので、1問目で「ああじゃないかな?こうじゃないかな?」と少し考えるきっかけを得たことで、2問目が解けた受験生もいたのではないかと推測します。

七輪ですが、小学校3年生での社会科と生活科の授業で知る機会はあるようで、昔の道具の紹介として、教科書に写真が掲載されているものもあるのだそうです。そういった写真を通して七輪を初めて見聞きした子もいたと思いますが、内部構造については入学試験の場ではじめて考えることになった子がほとんどだったのではないでしょうか。

理科/甲斐 亜香音先生

理科/甲斐 亜香音先生

選択肢の作りが非常に秀逸

この問題では、問1の選択肢がとても絶妙であるように感じました。とても練られた選択肢だと思いました。作問するにあたって、中学・高校の生徒さんから何か着想を得たりすることはありますか?

佐々木先生 そういったことも少なからずあります。たとえば、生徒から質問を受けて「なるほど、こういうことを疑問に思っているんだ」と知ったうえで、「何かの問題に反映できないかな?」と考えることはありますね。

小学生であっても、考える材料さえ与えてあげれば解けないことはないと思います。ですから、たとえば問題の前後の構成を工夫したりして解ける問題に作り変えてみたり、「こういう問題に答えられる生徒が欲しい」と思った時には、その問題が成立するように答えに誘導していったりということはします。

七輪のイラストは断面図を描いたものなので、「鉄板ではなく網だと伝わるかな?」といった心配はありました。当然鉄板だと空気が通らないですからね。

教員同士の打ち合わせの際には、「これ空中に浮いてない?」と言われたり、「土が敷き詰めてあってその上に炭が乗っているんじゃないか?」などといった意見が出ましたので、見やすくするためにはかなり労力を費やしました。

成城学園中学校 コリドー

成城学園中学校 コリドー

記述の採点では採点軸がぶれないための配慮を徹底

記述問題の場合、受験生の解答は詳しく書かれているものからかなり粗いものまでさまざまだと思いますが、限られた時間の中で採点するのは大変ではなかったですか?

佐々木先生 記述に関しては、決まった教員が採点を行う一方で、ほかの問題は複数回、数人で採点していきます。この問題は化学分野でしたので、化学の先生が一律で全部採点するようにして、採点の軸がブレないような配慮も行っています。常に評価する基準だけはしっかりと決めたうえで採点していく形をとっています。

本吉先生 この問題の配点が正確に何点だとは言えませんが、全部で50点満点の中20数問出していますので、記述問題であってもそれほど高い割合とはなりません。これが1問5~6点であればわかりますが、実際はそれ程の配点ではないので、この問題ができなかったからといって大きな差がつくほどにはなっていません。

成城学園中学では必ず記述問題が出題されていますが、子どもの言葉で書いたものを見てみたいという思いが強いのでしょうか?

本吉先生 記述問題はずっと2題出題しています。昔は、パッと見て私でも解けるような知識的な問題が結構多く出題されていて、自分の知識と一般常識で解けていた比率が高かったかもしれません。それが少しずつ問題の傾向も変わってきて、記述のような考えさせる問題も増えています。

もちろん「基礎や基本は大事である」といった姿勢は維持しながらも、見てすぐ答えが出せるような問題だけではなく、考えさせるような問題をどれだけ設問に入れられるか。そこは、今後も理科の先生方には考えていってほしいと思っています。

成城学園中学校 物理実験室

成城学園中学校 物理実験室

インタビュー1/3

成城学園中学校
成城学園中学校1917(大正6)年、日本教育界の重鎮である澤柳政太郎が開設した成城小学校を原点とし、7年制の旧制高等学校の伝統を継承しています。創立当初から「自学自習」「自治自律」精神を大切にする自由な校風。
中学1年は35名の7クラス編成。英語教育には力をいれており、Global Competence Program(GCP)を導入。全ての生徒が大学に進学することを前提とし、中学では基礎学力をしっかりと身につけます。補習も充実。中学3年の3学期に行われる「選択授業」では、芸術・実技系教科の多彩な講座から1つ選び、週4時間を使って作品製作、発表などに取り組みます。高校2年、3年で「主に成城大学への進路希望」(Aコース)、「主に他大学文系への進路希望」(Bコース)、「主に他大学理系への進路希望」(理数コース)の3コースに分かれます。生徒一人ひとりの幅広い進路へ対応できるサポート体制も充実。探究学習「ゼミナール」では、自分で立てたテーマを視野を広げて掘り下げ発信する力を養います。併設大学進学率は50~60%。難関大学へのチャレンジする生徒が増え、併設大学にない理系(医歯薬系)だけでなく、文系からも多くの他大学進学者が出ています。中学2年で行われる「山の学校」では、北アルプス登山に挑戦。中学1年で行われる「海の学校」では、遠泳に挑戦したり、ライフセービング実習を体験するなど行事も多彩。クラブは、中学ラグビー部が全国大会、テニス(男女)、陸上(男女)は、関東大会レベル。高校では男子ホッケーが全国大会出場。ラグビー、陸上(男女)、女子ホッケーが関東大会レベル。創立100周年を超えて「成城学園第2世紀」を迎えて、伝統の情操・教養教育のもとに、国際感覚、論理的思考力や観察力を持つ人を育てます。