シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

春日部共栄中学校

2025年06月掲載

春日部共栄中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.文章を作り、発信し、評価し合う中学3年間。自分の意見を言えるようになってきた

インタビュー2/3

数学の授業も、生徒の反応がよくなっている

どのあたりに積極性の高まりを感じますか?

遠藤先生 一番、実感が湧くのは授業です。私は数学科です。数学はどうしても「はい、教科書を開けて」「では、問題を解いてみようか」という授業になりがちで、その積み重ねが多かったのですが、ここ最近は、Chromebookで調べることができます。生徒が興味を持ってくれるので、こちら側も「ただ定理を覚えてもつまらないよね」と。「なぜ、これが成り立つのかな」「なぜ、これを使うと便利なのかな」そのあたりのことを授業でやると、非常に反応がいいので、それが結果につながってくれるといいなと思っています。「底辺×高さ÷2は知っているよね。これから公式が15~20個ぐらい出てくるよ」などと言うと、「どれとどれ?」「どこで教わるの?」と、先のことを聞きたがる生徒もいます。いつも面白い反応が返ってくるので、幸せです。(学習を)求める生徒たちには、どんどん学ばせたいと思います。

授業に活気があるのはいいですね。

遠藤先生 興味関心を持つ姿勢を引き出し、身につけさせるには、挨拶励行と同じように、早いうちにハッパをかけることが大切です。そのあたりを、中学生のうちに正しておかないと、困るのは生徒たちなので、中学の3年間はいろいろなことをしています。

中村先生 今、私は中3の担任をしています。この学年は「プログレッシブ政経コース」より、「IT医学サイエンスコース」のほうが、各クラス約10人ずつ多くなっています。男女比も差があり、「プログレッシブ政経コース」は男子が10人ずつ、「IT医学サイエンスコース」は女子が10人ずつ、多くなっています。
中3はコース制を導入した最初の年なので、割と文系・理系というイメージで入学している傾向があります。でも、「プログレッシブ政経コース」にも数学がすごく好きで、数学を頑張りたい、プログラミングをやりたい、という生徒もいます。また、「IT医学サイエンスコース」にも英語に興味があって、英語を学べる大学に進みたいという生徒もいます。コース別の活動は少し違いますが、お互いに刺激し合っています。

国語科/中村 麻衣先生

国語科/中村 麻衣先生

世界のリーダーを育てたい。そこでコース制を始動

コース制にした背景を簡単に教えていただけますか。

遠藤先生 もともと本校では、「世界のリーダーを育てたい」というテーマを掲げてきまして、本物に触れさせてあげたいと……。昔から講演会を実施し、多方面の方々に来ていただいて、そこでレポートの作り方を学ばせていただくこともありました。
翻訳家の方、NHKに出演されている気象予報士さん、春日部市で育った脳科学者など、著明な方々のお話を聞くことで、生徒たちのきっかけ作りをしようと、いろいろなことに取り組んできました。しかし、実際にそれらがどうつながっていくか、1回整理したほうがよいのでは?というタイミングが来ました。
20数年前に、中3全員をカナダに連れて行った時期もありました。英語が苦手な生徒も全員ホームステイしてもらいますと。それが逆によかったわけですが……。周りの学校がグローバルを押し出し、探究活動を押し出し、といった状況を見て我々としても、せっかくやってきたものをもう1回整理し直して、仕上げたのが、コース制です。

コースを作る際に、教科の先生方に求められたことは何かありましたか。

遠藤先生 教科というより、個人に委ねられている部分が多いと思います。コースを分けたことで、たとえば「IT医学」の子たちは、数学が好きだから、数学で困る子がいても少数ですが、「政経コース」の子たちは金融に興味を持って、大学は経済系に行きたいと言ったら数学が必要になります。力を入れるとしたら、「政経コース」に対して、より丁寧に授業に取り組み、考えさせる時間をもう少し作ろうかなど、教科として「実際どう?」と話をして、意見交換をしたり、個人的にもそのあたりを考えたりしながら授業をやっています。

中村先生 2年の区切りごとに、コースの変更は可能です。ただ、中3の生徒たちの中には、コースを変えたいという生徒がいませんでした。ですから、そのまま持ち上がりました。

遠藤先生 私は今、中2の担任なので、コース変更について時々生徒に伝えていますが、あまり反応はありません。
私立の学校は自分の地元から離れて、いろいろなところから集まって来るので最初は不安です。中1の最初の頃は、友だちができるかどうかで頭がいっぱい、というような感じです。ホームルームでの様子を見ていても、友だちができた子は、どんどん元気が出て盛んになってきます。一方で、友だちができにくい子も、少し様子を見てあげるとできるようになります。

生徒たちは意外と先入観で、自分にはこれ、合わないのでと、やってみないことがあります。でも、私たちとしては、「いや、やってみなさいよ」と後押しするというか、背中を押してみる。それでも断固拒否して、やらない子もいるのですが、やってみると「先生、意外と大丈夫でした」という反応が返ってきて、興味を持ってくれる。「そうだよね」と、そういったことばかりです。そうやって少しでも成長できるのは、中学校というか、やはり私立のいいところだろうと思います。

春日部共栄中学校 掲示物

春日部共栄中学校 掲示物

「あ」から始まる「あのねの作文」で競い合う

2つのコースにより、国語科の先生方は関わり方を変えていますか?

中村先生 全く一緒です。ただ、コース制になってから、校外学習などで外部の方と関わる機会が増えています。内弁慶な子が多いので、自分の言葉できちんと話すといったところは、いろいろな教科で意識して取り入れています。社会科でも、数学でも、グループで協力して問題を解くような授業をします。
国語は文章を読んで考えることが多いのですが、中学は高校より少し余裕があるので、ビブリオバトルという書評大会を校内でやってみたり、「あのねの作文」というのを独自でやったりしています。「あ」から始まる作文を、なんでもいいので自分で書いてきて、クラス内で発表し、クラスの1番を決めて、全体発表をして学校での1番を決めるといった内容です。

「あのねの作文」はオリジナルですか。

中村先生 今、高3を担当している教員が考えたものを代々使っています。あとは、新聞を作ってお互いに批評し合って、これもまたクラスで1番を決めます。

「クリティカルリーディング」もオリジナルですか。文章を批判的に読むといった講座でしょうか。

中村先生 そうですね。一応、発表の中でやっているものですが。評価シートがあって、それにどのくらい当てはまっているか、論理的に考えて、突っ込んで、それに対して答えていくということをしています。

春日部共栄中学校 校舎内

春日部共栄中学校 校舎内

インタビュー2/3

春日部共栄中学校
春日部共栄中学校「自主自律・明朗勤勉・協調奉仕」という三つの校訓に則り、次の資質、能力の育成を目指している。「文武両道」をモットーに、生徒個々の夢の実現に向けた教育活動を展開する。高校は1980年に創立し、中学は2003年に設立された。
2020年度より、中間考査を廃止し、各学期の定期考査を期末試験のみとしている。それに伴い、短い期間で単元ごとに振り返る単元テストを適宜実施しながら、スパイラル学習の中で着実な内容理解と定着を図る。これによってアクティブラーニングや探究活動、部活動や学校行事等の機会を充分に設けることが可能になった。探究活動については、本校独自の探究テキスト「共栄探究BOOK」を軸に、学力に留まらない。総合的な能力の育成やキャリアデザインを行っている。
2022年から2コース制の導入。「政経コース」では、圧倒的な英語力を身に着けることで、国際的な政治やビジネスシーンでリーダーシップを発揮する人材を育てる。ビブリオバトルや模擬国連に取り組む一方、金融教育も行う。「IT医学コース」では、圧倒的な数学力を身に着け、各専門分野の研究者や開発者としてリーダーシップを発揮する理系人材を育てる。プログラミング教育や理科実験の他、メディカル入門講習、メディカル論文講習(高校)も行う。
本物に触れることを重要と考え、自学力を育てる「グローバルリーダーズプログラム」を設定している。第一人者による講演会、英語は毎朝のリスニングや英語検定、国語は文学散歩や文章検定、数学は数学オリンピックや数学検定など、通常の授業以外のプログラムも充実。 中3では、サマーイングリッシュプログラムと、約1カ月にわたる希望制のバンクーバー語学研修を実施している。現地大学の寮に宿泊しながらのESLとホームステイが体験できる。