出題校にインタビュー!
春日部共栄中学校
2025年06月掲載
春日部共栄中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
1.文章の内容を理解しながら読み進めることが、問題を解くヒントになる
インタビュー1/3
擬容語の正答率が極端に低かった
まずはこの設問の出題意図からお話いただけますか。
中村先生 オノマトペは、受験生にとって馴染み深いものではあるのですが、たまたま自分が読んでいた『コミュ力は副詞で決まる』という本に、オノマトペの分類の話が出てきて、この問題を思いつきました。中学生にも詳しく説明できる子はあまりいません。擬音語と擬態語の違いもあまりわからず、なんとなくオノマトペを使っている子が結構多いので、問題にすれば、擬音語と擬態語の中でも分類が分かれているということを、改めて知ってもらえるのではないか。入試問題にすることで、ちょっと考えてもらえるのではないか。そういう期待を込めて、この問題を出させていただきました。
言葉を細かく、違いを見分けられるくらい敏感になってほしいという意図もありますか。
中村先生 全然知らなくても、文中にヒントが書いてあるので、そのヒントを基に考えればわかるということに気づけるのではないかと思いました。生き物の様子を表しているものは何か。人の心理感覚を表しているものは何か。擬態語なので、音以外のその様子を表すものとしてどれが合っているかということを、ヒントを踏まえつつ考えてもらえれば、知らなくても解けるだろうということは考えました。
出来はいかがでしたか。
中村先生 生き物の様子は低かったですね。正解はウで「ふらふら」「ぐんぐん」でした。イと答えた受験生が多く、虫の声で「りんりん」を選んだのかなと思いました。様子なので「ふらふら歩く」とか、「ぐんぐん伸びる」とか。意図として、前の段落に擬音語の話が出てくるので、擬音語と擬声語で誤答を作ろうと思いました。そこでイを擬音語にして、オを擬声語にしました。前の段落も把握しつつ、この段落を読むと、5つの分類でこれかなというのはわかるのかなと思って作りました。
この空欄の前後だけではなく、前の段落まで視野を広げて読むことが大事なのですね。
中学入試担当委員長/遠藤 裕先生
自分が使っている言葉を考える機会に
『コミュ力は副詞で決まる』は、入試の素材を探そうと思ってお読みになったのか、それともご自身の普段の読書の中でお読みになったのですか。
中村先生 探しつつ読んでいたという感じです。候補の本を何冊か手に取りつつ、自分も興味があるものを選んでいたので。自分の読書兼入試の素材探しです。読んでいく中でこの辺りを見て、これにしようという感じでした。
大人が読んでも面白い新書ですね。
中村先生 割と子ども向けではないものだとは思います。在校生を見ていると、話し言葉と書き言葉がずれているというか、言葉の感覚をきちんと考えてみたことがないという子が結構多いような感じがしていました。入試問題に出すと、後々過去問として掲載されるので、(過去問を解いて)そういうことに触れてから入学してくる子がいたらいいなという思いもあります。略語を使ったり、「ら抜き言葉」「い抜き言葉」を使ったり、いわゆる俗語、「きもい」など、そういった言葉を使ってしまう生徒が各学年一定数はいます。自分が使っている言葉について、ちょっと考える機会がどこかであるといいかなとは思っています。
春日部共栄中学校 校舎内
素材文選びでは、子どもに寄せない
説明的文章と、文学的文章、物語がある中で、選ぶ際に何か大事にされていることはありますか?
中村先生 子どもに寄せないというか……。「読みやすそう」といった点はあまり意識していません。やはり、こちら側の意図としては、読んだことのある文章が読めるのは当たり前だと思うので。初めて出会う知識やテーマの文章に対して、考えようとしてほしいというところがあります。今回のものもそうですが、小学校で詳しく習わないような、教科書で読まないであろうテーマで、そこまで難しすぎない作品を、担当の教員が毎年選んで使っています。
もちろん勉強して入試に臨んでほしいのですが、その場で出された文章を読んで、そこにある情報から「こういうことだな」と考えられる文を使いたいのです。ここにヒントがあるからこういうふうに考えられるよね、という問題が作れる作品を選んでいます。
物語は、やはり話題になったものは避けます。本屋で平積みされている感じの作品は避けて、同じ作者さんでも年代を遡って、受験生があまり読んでいない作品を選ぶようにしています。また、宗教色やジェンダー性が強すぎないものを選んでいます。
今回、大人の主人公の作品でした。その辺は意識していましたか。
中村先生 そこは、あまり意識はしていません。小中高のどれかが主人公のほうがいいかなとは思っていますが、そうではない年もあります。特に縛りはありません。大人が主人公でも、よい作品であれば使いたいと考えています。
他の先生方とは、「これを使いたいけれど、かぶっていませんか」と確認するくらいです。その年度を通して、作者・作品が被っていないかだけを気にしています。特に「この作品よりもこっちの作品の方がいいよね」といったやりとりはなく、問題作成担当の先生にお任せする感じで、やらせていただいています。
問題を作ったら、皆で持ち寄って、お互いに確認し合います。問題が成立していないとか、解答がないとか。そういうことが起きると一番、怖いので、回数を重ねて精査しています。
記述問題では字数の7割以上書こう
やはり記述問題で差がつきますか。
中村先生 そうですね。記述はそもそも書いていない子が中にはいるので。部分点を結構、細かく決めています。とりあえず何か書いてあり、正答の要素があれば、2点をあげるといった感じにはしています。記述問題で点差が分かれることはあります。
いつも解答だけでなく、配点を出してくださいますが、その意図を教えてください。
中村先生 記述は、だいたい6点~8点の配点です。字数の7割以上書いていないと減点になるため、入試の説明会でも「とにかく埋めてください」という話をさせていただいています。きちんと要素が入っていて、字数を満たしているかを見ています。
子どもたちにこういう作品を読んでもらいたいというテーマはありますか?
中村先生 本校がコース制になってから4年目になり、向上心があるというか、「これをやろう」と言ったら乗ってくれる子が増えた気がしています。ですから、知らないことにも前向きになるということは、入学してからも結構、必要になってきます。テーマ的には理科的な文章が出たり、社会的な文章が出たりといったこともあるので、受験生には勉強する上で、いろいろなものに興味を持ってほしいと思います。難しいニュースなどでも、とりあえず知っておく、気にしてほしいというところはあります。
また、学校ではやらない文法や、なんとなくニュース番組を見たらやっていて、覚えているといったこと。中学校に入ってから、「国際政治」を学習するので、国家間のやり取りの話を放送しているから見ておくなど。小学校や塾ではやらないけれど、「なんか知っとくといいかも」といったことへのアンテナをもう少し増やしてほしいとは思います。
春日部共栄中学校 校舎内
生徒たちは好奇心がすごい。いろいろなことに興味がある
中村先生 国語でも発表したり、創作したものをお互いに評価し合ったり、質問したりといった授業をしますが、それに対する積極性が変わってきた気がします。知らないけれど、やってみようかといったところは、あるといいのかなとは思います。
遠藤先生 コース制も、傍から見ると理系なのか文系なのか、という分け方に見えがちですが。我々としては、中学、高校の間は好奇心もすごいし、今の時代だからこそ、こういうコース制をうまく使いながら、これは自分には向いてない、こういうことには自分は興味がないからと、結構あっさり言って通ってしまう。好きなものだけに特化してやれてしまうのではなく、いろいろなところにチャンスがあるよ、と種を蒔いてあげたいし、興味を持ってもらいたいと考えています。
本当にすごいですよ。今の子たちは、いろいろな方向に向いているし、いろいろなことに興味があるし、そういったところでコース制を敷いてから変化があります。本校だけでなく、世の中全体的にも、変わっていっているので、そういう意味で少し賑やかさというか、雰囲気のよさは、学校全体にも出ているように感じます。
インタビュー1/3
「自主自律・明朗勤勉・協調奉仕」という三つの校訓に則り、次の資質、能力の育成を目指している。「文武両道」をモットーに、生徒個々の夢の実現に向けた教育活動を展開する。高校は1980年に創立し、中学は2003年に設立された。