シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

春日部共栄中学校

2025年06月掲載

春日部共栄中学校【国語】

2025年 春日部共栄中学校入試問題より

次の文章を読んで、後の問に答えなさい。

オノマトペは擬音語・擬態語の言い換えとして使われていますが、じつはそれほど単純なものではありません。浅野編(一九七八)に収められている金田一春彦の解説「擬音語・擬態語概説」によれば、オノマトペは、「擬音語」「擬声語」「擬態語」「擬容語」「擬情語」の五つに分けられます。
たしかに「擬音語」以外に「擬声語」という言い方もあります。「擬音語」は虫の羽音の「ブーン」や爆竹の破裂する「パーン」のような自然界の音を指し、「擬声語」は赤ちゃんの声の「バブー」や鶏の鳴き声の「コケコッコー」などの人や動物の声を指します。声も音の一部ですので、広い意味での「擬音語」は「擬声語」も含むのですが、「擬音語」を狭く捉(とら)え、「擬声語」と区別する方法もあるわけです。
一方、広い意味での「擬態語」は三分類されています。狭い意味での「擬態語」はXのような自然界のものの様子、「擬容語」はYなど生き物の様子、「擬情語」はZなど人の心理や感覚などの内面を描写するものです。

(石黒圭『コミュ力は「副詞」で決まる』より)

(問)XYZにあてはまることばとして適当なものを、次の中からそれぞれ一つずつ選び、記号で答えなさい。

  • (ア)「いらいら」「うっとり」
  • (イ)「りんりん」「がちゃがちゃ」
  • (ウ)「ふらふら」「ぐんぐん」
  • (エ)「ぴかぴか」「めらめら」
  • (オ)「きゃーきゃー」「ちゅんちゅん」

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この春日部共栄中学校の国語の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答

X(エ) Y(ウ) Z(ア)

解説

Xのあとを読むと、「自然界のものの様子(を描写するものです)」と書かれています。選択肢を見ると、「ぴかぴか」(と星が光る)や「めらめら」(と火が燃える)といったように、自然界のものの様子を表すオノマトペとして「ぴかぴか」や「めらめら」が挙げられているので、Xには(エ)があてはまります。

Yのあとを読むと、「生き物の様子(を描写するものです)」と書かれています。選択肢を見ると、「ふらふら」(と歩く)や「ぐんぐん」(と迫ってくる)といったように、生き物の様子を表すオノマトペとして「ふらふら」や「ぐんぐん」が挙げられているので、Yには(ウ)があてはまります。

Zのあとを読むと、「人の心理や感覚などの内面を描写するものです」と書かれています。選択肢を見ると、「いらいら」(している人)や「うっとり」(している人)といったように、人の心理や感覚などの内面を描写するオノマトペとして「いらいら」や「うっとり」が挙げられているので、Zには(ア)があてはまります。

日能研がこの問題を選んだ理由

文章中の複数の空欄にあてはまることばとして適当なものを、選択肢の中から選ぶ問題です。

オノマトペについて書かれた文章では、一般的な「擬音語/擬態語」という2つの区別とは異なる、「擬音語/擬声語/擬態語/擬容語/擬情語」という5つの区別が提示されています。その提示された5つの区分に従い、適切なオノマトペの具体例を空欄にあてはめていくためには、今までに学んだ知識に加えて、文章を読むことを通じてその場で学んだことを活用していく力も求められています。

これは、これまでに学んだことだけにとらわれず、新たな知識を貪欲に吸収していくことを重視しているという点で、春日部共栄中学校の校訓である「自主自立」(視野を広くもち自主的に学びへ向かう力と自らを律し責任をもって思考、判断する力)を体現しているともいえます。

このような理由から、日能研ではこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにしました。