シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

横浜翠陵中学校

2025年05月掲載

横浜翠陵中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.知的好奇心はすごく大事。ただ、中学3年間は基礎中心。これもまたすごく大事。

インタビュー2/3

まず基本的なところができていてほしい

速さと規則性を必ず出題する意図を教えてください。

菊地先生 分野が決まっている方が、より勉強がしやすいのかなと……。割合が絡む問題は苦手な受験生が多く、かなりできないので、点数を取らせたいという思いはあります。その代わりに、大問2の1行問題のほうでは、食塩水や、特殊算?を使った問題などを出題しています。特に、やはり速さの問題はできないです。本当にできないです。毎年これはできないので、速さの問3までできる受験生がいたら、入ってきてほしいです。

田島先生 速さは、理科でも苦手な子が多いですからね。

逆に言えば、基本的なところができていれば大丈夫ということでしょうか。

田島先生 小学校の時は計算能力と、基本的な面積や角度などの公式、速さも含めて、基本的なことが分かっていれば、いずれ高学年になってそれを応用していくというものなので。まず基本的なところができていてほしいということですね。

菊地先生 大学受験になったとしても、いろいろな分野があって、勉強しなければいけないのですが、大学受験は別にゴールじゃないので。その後を考えた時に、知的好奇心はすごく大事で、6年後にもそういう気持ちを持っていてほしいというメッセージでもありますね。多分、本校の入試問題の最後の問題は、それを受けて(作って)いるような感じです。

入試広報部長/田島 浩平先生

入試広報部長/田島 浩平先生

中学3年間で基礎を徹底。難題に挑む力も生まれる

先ほど、入学した後に数学を嫌いにならないということがすごく大切だというお話でしたが、具体的な工夫をお聞かせいただけますか。

菊地先生 特に中学3年間はなかなか難しいです。基礎の徹底に力を入れているからです。数学科では毎授業、「チャレンジ10」という小テストを実施しています。「これをやるためには、これが必要だよね」と逆算していくと、結局、基本的な計算や知識に戻るので。これならできるよ、というレベルの問題を3年間、徹底してやります。

中3になり、「こんなところに補助線を引くのか」といった、誰もが気づかないような問題になった時に、「それは大事だよ」と伝えるために、中1、中2では基礎の徹底をすごく心がけています。先取りも、あまりしないようにしています。

田島先生 先取りは、原則しないです。とにかく中学時代は基礎基本の徹底が全教科を通じて大事な指導方針です。

3年間やっていくと、どのように成長していきますか。

菊地先生 毎年、学年別(中1、中2、中3)に、校内計算オリンピックを実施しています。200問から300問ぐらいの計算を解く大会ですが。それも、かなり集中してやるようになるので、基礎、土台はできてくるかなと感じます。中3になると、計算能力、因数分解なども合わせて、正確に早くできるようになっていると感じます。その後、高校で難しい問題に挑戦していく時にも諦めず、特に上位者の人は、諦めずにやろうという気持ちが出てくるように思います。

横浜翠陵中学校 自習スペース

横浜翠陵中学校 自習スペース

中3の頃から勉強に熱が入る

中学生の授業では、基礎基本を徹底してやる一方で、入試問題のお話でもありましたように、知的好奇心を大事にしてほしいというところを、授業の中でどのように両立させていますか。

菊地先生 それはすごく難しい……。

逆に、それほど算数が好きではなくてもついて行けるように、算数嫌いにさせない、数学を嫌いにさせない、フォローアップに力を入れているとか?

菊地先生 どちらかというと、そうですね。算数は、本当に嫌いになってしまうと、シャットダウンするので。「こうやればできるんだよ」など、そこは意識して丁寧に教えています。

基礎を徹底して練習できる機会があると、解けるようになってきたなとご本人も感じる。自己肯定感も上がる、ということがあるかもしれないですね。

菊地先生 そうですね。算数がすごく好きで得意な子、すごく計算が速い子が、中学の各学年に5人は絶対います。私は特進コースの担任を10数年やっていますが、外進生が入ってきても、基本的にトップの成績は内進生です。内進生のほうが数学ができるし、よくしゃべるし、とにかく知的好奇心が高い人が多いと思っています。中学で基本を徹底的にやっているので、高校で一気に爆発するというイメージです。

田島先生 中3から高1に上がる時に、「ブラッシュアップレッスン」という名前で放課後に補習授業を行っています。そこでは、「アドバンスコース」と「ベーシックコース」に分けていて、「ベーシックコース」は補習中心の授業、「アドバンスコース」は、数学に意欲をもって取り組む子をさらに伸ばす、発展的な授業を行っています。そこでの1つ目標が、学外の中3生が受ける入試(内進生は学力試験として実施)を一緒に受けて、高得点を取るというところになります。燃える気持ちや、もっと解きたいという気持ちは、そこでかなり養われます。特に中学生は、ライバルが現れると結構燃えるのです。中1、中2まで全然勉強していなかった子が、急に「あれ?」「どうした?」と言いたくなるような子も中には出てきたりもします。「ブラッシュアップレッスン」で火がつく子も、毎年います。やはり高校生になるということが、大きいのでしょう。

横浜翠陵中学校 食堂

横浜翠陵中学校 食堂

インタビュー2/3

横浜翠陵中学校
横浜翠陵中学校1940年、学園創立者の堀井章一先生が示した建学の精神は「考えて行動のできる人の育成」。1986年に校訓「考えることのできる女性(ひと)」を掲げて横浜国際女学院翠陵高等学校が堀井学園3番目の学校として開校した。当時としては先を行く「国際理解教育」と「英語教育」を実践し、現在までの翠陵の教育の土壌が形成された。1999年には中学校を併設。その後2011年には、男子にも翠陵の門戸をあけるべく中高同時に共学化。校訓は「考えることのできる人」、校名は横浜翠陵中学・高等学校と改める。「翠(みどり)豊かな三保の陵(おか)」であるこの環境は開校当時から変わることなく生徒達の成長を見守り続けている。
学びのプロセスを「D・U・T」の三段階に分け、「知りたい(興味)」→「わかった(理解)」→「できた(演習)」のサイクルを繰り返しながら、着実に学力を高めていく。さらに、このサイクルの各段階で細やかな支援を行っている。翠陵グローバルプロジェクトとして、中学3年間をかけて、グローバルな現代社会の課題を設定して、その課題を様々な角度から調査・研究する。最終的にその研究成果をプレゼンテーションする力を磨くことも目標としている。理系プロジェクトとしては、授業とは違う視点から様々な刺激を与えるプログラムを通じて、理系の面白さ、身近さ、奥深さを感じさせます。柔軟な心と頭で受けとめることによって、興味の翼が大きく広がり、将来の自分の姿をイメージできるようになっていく。
高校2年次ではイギリス・シンガポールでの研修制度を設けており、「もっと英語を学びたい!国際関係の勉強をしたい!留学をしてみたい!」という思いを実現。海外教育研修は語学力を磨くだけではなく、世界への視野を広げ、希望進路にも大きな影響を与える。また、セント・ポール女学院(アメリカ)、日本メキシコ学院(メキシコ)、上海市第三女子中学(中国)などの姉妹校・友好校・交流校と親密に交流。各校には定期的に留学生を派遣し、同世代間の理解を深め、今後の国際社会のあり方を考えている。また、姉妹校・友好校・交流校からの交換留学生が来日する際には、在校生から希望者を募り、ホストファミリーとしての受け入れも行っている。
運動部・文化部合わせて20以上の部活動がある。活動は週に4日以内。学業とのバランスを保ちながら充実した活動をしている。部活動によっては高校生と共に活動することもある。中・高6年を過ごす中、集中して長く取り組むことにより、先輩・後輩との信頼関係や絆はもちろん、集団生活からの社会性、礼儀・礼節など心も体も鍛えている。