シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

東邦大学付属東邦中学校

2025年04月掲載

東邦大学付属東邦中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.AIに取って代われない人間になるために「検証力」を身につける

インタビュー3/3

いろいろ時代も変わり、子どもたちも変わってきていると思いますが、理科の先生としてどんな力を育ててどういう人になってもらい、大学そして社会に出ていってほしいと思われますか?

藤原先生 理科の分野だけではありませんが、これからの時代AIに取って代られる部分は数多く出てくると思います。ではAIに代替されない、人間だけが持っている理科的な力はなんだろうか?と考えてみたところ、それは「検証する力」ではないかと思います。

コンピューターでのシミュレーションは当然AIでもでますし、AIでやったほうがむしろ圧倒的に早いです。でも実際にモノを目の前にして、それに対して何か操作を加えて起こる結果を見ることだったり、生き物を観察したりというのも、今の段階では少なくともAIにはできることではないと思います。

ですから実験などを通して、モノに触れて動かしてそこから新たな発見をしたり、新たな疑問を持ったりという検証してそこから何か学びを得る力を、今の子どもたちには身につけていってほしいなと思っています。
レポートを書くのでもネットの知識に頼りすぎているな、と感じるようなレポートはあります。中学生レベルだと、Chat GPTを使って何かするほど使う側のスキルもそれほど高くないと思うので、今後そういった生成AIをうまく活用する力も身につけていってもらえたらいいな、とは思います。

岡田先生 そうですね、生成AIにまったく触れないことの方が難しいかもしれません。感覚的に使うだけでなく、どのように活用すべきなのかを学ぶ必要性もあるでしょう。

藤原先生 これからは生成AIを使った上で、さらにそれを上回っていかなければならないので、生徒にとっては大変な時代だと思います。使ってみてそこに嘘がないか検証するためには、もっと知識が必要ですし、それを信じきったらそこで終わってしまいます。ですから「最終的には自分の頭で考えないといけない」と思ってもらえるようになればいいですね。

広報部長/岡田 美秀先生

広報部長/岡田 美秀先生

実験レポートは自分の目で見たことを書くように指導

理科では実験が多いというお話が先ほどありましたが、実験の中でレポートの書き方など指導されているのでしょうか?

藤原先生 たとえば、考察を書かせる時に「この実験をやってわかることは、あくまでこの実験の中から見えることだけしか書けないからね」といった話をしたりすることはあります。知識として理解したものを「本当にそうなのか?」を検証するために実験することは多いのですが、その実験結果が全然違うものになったのにも関わらず、知識優先で「こうなった」と書いてくるレポートが散見されることもあります。

そういったレポートについては、「あなたが実験をして得た結果はどうだったの?それについて考えようよ」「事前に習った内容と違うなら、どうして違うのかを考えなきゃいけないよね?」といった点を実験後のフィードバックの時間にかなり強調して話しています。

国語の先生でもある岡田先生から見て、御校の理科はどんな特色があると感じますか?

岡田先生 国語で求められる読解力、つまり論理的思考力も問われる設問もたくさんあります。算数における計算力ももちろん問われますし、総合的な実学として本校の建学の理念が最も具現化されている教科だと思います。

藤原先生 大学入試でも、生物分野はすごく読解力が求められます。どの大学も問題文が非常に長いので、何が書いてあるか分からなかったらそれでおしまいというのが入試の世界。難関大学になるほどその傾向が強いので、国語の読解力は重要です。

東邦大学付属東邦中学校 理科実験室

東邦大学付属東邦中学校 理科実験室

理科好きの子に育てるには自然に触れる機会を持つ・料理の機会を持つ

今回問われているような自然に関する問題ですが、都心部に住んでいると地方に比べて自然に触れる機会が多くないと感じています。そのような状況で、子どもたちがこの手の問題を解けるようになるために、親御さんとしてはどのようなサポートをしていけばよいでしょうか?

藤原先生 自然関係だと、親御さんのリフレッシュも兼ねて四季に1回ぐらいはお子さんと一緒に自然豊かな公園に出かけてみるのはいかがでしょうか。春夏秋冬で変わる風景を一緒に見て気づいたことを言い合う時間を取るだけでも、意識はかなり変わってくるのかなと思います。

都会の中でも自然を見るチャンスはあると感じますし、むしろ都内のほうが公園も整備されているので、意外と季節による違いをはっきり感じられておすすめです。

また日常生活の中でお子様自身が試行錯誤しながら取り組める体験、かつ親御さんと一緒にできることを考えてみますと、これは間違いなく「料理」だと思いますね。たとえば、濃度を変えるのにどれだけ溶かしたらいいかといった問題は、料理で人数が増えるので分量をどれだけ増やすかといったものと似ています。

料理をレシピどおりに作るのは簡単かもしれませんが、レシピの分量がご家庭の人数構成とまったく一緒とは限りませんし、「もっと味付けを濃くしたい」「もうちょっとこのパンケーキを膨らませたい」といったことなどを考えていくと、理科の問題を解くのに活きてくるのではないかと思います。

加えて、手先を動かすと脳が活性化されると言われていますので、勉強だけをさせるよりも料理で包丁や箸、さまざまな調理器具を使うことは、子どもにとって実感のある学びになって良いと思います。たとえ失敗しても咎めないでください。そこにも学びのチャンスはあります。親御さんとしては決して叱らずに温かい目で見てあげて欲しいですね。

東邦大学付属東邦中学校 正門

東邦大学付属東邦中学校 正門

インタビュー3/3

東邦大学付属東邦中学校
東邦大学付属東邦中学校建学理念である『「自然・生命・人間」の尊重』は、創立者の額田豊・晉兄弟医学博士の自然観・生命観・人間観に基づいている。「感性」で捉えたものを「理性」に高めて理解できたとき出会える学ぶ喜びを重視する「プロセス重視の学習」を象徴する言葉である。
高1までの授業はリベラルアーツ型で幅広く学び、高2から文系と理系に分かれてより深く学ぶ。主要教科以外の時間も充実しており、たとえば「自分探し学習」。中学では各学年ともⅠ~Ⅲ期に分け、Ⅰ期は校外学習(中3は修学旅行)に関するテーマ学習、Ⅱ・Ⅲ期は学年毎のテーマに沿った学習を進めていく。高校では、提示されたテーマの中から、あるいは、生徒自らが設定したテーマ、このいずれかを選択してレポートを作成。
また、大学付属校としてもメリットを生かした講座も豊富にある。「学問体験講座」は東邦大などとの連携授業で、中学生が参加できる講座もある。医学部志望者には、外科手術体験セミナーまである。部活動も盛んで、中学校で8割強、高校で7割弱が、学業との両立を図りながら元気に活動している。近年、めざましく躍進している部活も多く、東邦生の学びの場の一つとして心身を鍛えている。こうした部活動や、その他にある行事も、生徒達にとっては「自分探しの場」である。