出題校にインタビュー!
東邦大学付属東邦中学校
2025年04月掲載
東邦大学付属東邦中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
2.建学の精神である「自然・生命・人間」力を問う問題を出題
インタビュー2/3
理科の入試問題全体の構成についてはいかがでしょう?
藤原先生 入試問題全体としては、基礎的な力は必ず確認したいので、基本的な理科的知識や、計算力・思考力を問う問題を必ず土台に置いています。
本校の建学の精神「自然・生命・人間」は、「自然とは何か。生命とは何か。」という科学(サイエンス)の根源的な問いと向きあう姿勢をあらわしており、そういう探究心の高い子に来てほしいなという思いはあります。ですから、そこに関連するような時事問題や、今回出題したような応用的な思考力を問う問題など「自然・生命・人間」力を問う問題は、例年出題するように心がけています。
また前期試験の場合、後期や推薦に比べると試験時間が長いので、物・化・生・地の各分野からまんべんなくバランスよく出題することを意識しています。
今回は6題構成でしたが。
藤原先生 時々7題になることもあります。「去年こんな感じだったから今年はこうしようか」ということも多少あります。6題で大問が1分野と2分野で3題ずつぐらいとなるイメージで、物・化の割合、また生・地の割合は年によって違ってきます。
先ほど「自然・生命・人間」力というお話がありましたが、これは入試問題でどのように関わってくるのですか?
藤原先生 常々、知識の断片化がよくないと思っていますので、ばらばらに何かを知ったり思考したりするようになってほしくはありません。「自然」に対して関心が高く、「生命」について真剣に考える姿勢をもち、「人間」って何だろう?と自分自身に問う、そういった姿勢を求めているのが本校の建学の精神の内容かなと考えています。
すべてを理科だけでカバーできるわけはありませんが、少なくとも「自然」と「生命」は理科という科目の中で特に意識できる内容だと思っています。ただし、「生命」に関しては中学入試の段階ではまだ早いと思うので、入試問題はどちらかというと「自然」寄りの感じになりますね。
「自然」といっても植物や動物の話だけではなくて、自分の身の回りにあるものすべてが含まれます。そういったものに関心があるかどうかを、入試問題を通じて問うというイメージでしょうか。おそらく国語や社会、英語など他教科でしたら「人間」の部分は出していきやすいと思うのですが、「自然」と「生命」は理科のイメージが強いと感じます。
東邦大学付属東邦中学校 建学理念
実験の機会は多い
入学してきた生徒たちに、「自然・生命・人間」力をつなげていくよう授業やプログラムはあるのでしょうか?
藤原先生 これはアピールポイントでもあるのですが、本校には実験設備が豊富にありますので、なるべく実験をし、自分の目で見て考えてもらうようにしています。講義の授業で学んだ内容について、「本当にそうなるのか」を実験して確認する。すると、講義ではわからなかった・気づけなかったことに気づく。そういう多面的に物事を見て考える力をもっと伸ばしてもらうために、なるべく実験を可能な範囲でしていきたいと思っています。
ただ、私が担当する2分野の範囲だと実験自体やりにくい部分もありますので、その場合は私自身が教材研究等でいろいろ見てきたもの、経験してきたものなどを生徒に話すようにしています。
それと、本校の理科の試験問題では時事問題を毎年出すようにしているのですが、今授業で教えている内容や過去によく話題になったこと、現在話題になっていることなどを必ず授業の中に取り入れるようにしています。
たとえば、免疫(体を守るしくみ)の話をしている時には「新型コロナウイルス流行時によく聞いたPCRって結局何なのか知ってる?」と生徒に聞いてみたり、気象分野を学習している時には「線状降水帯とはどういった現象なのか?」など、生徒の身近にあって普段なんとなく耳に入ってきているのに聞き流してしまいそうな言葉を、なるべく授業の内容と結びつけたりして、今習っていることと現実に起きていることがつながっているんだと意識させるようにしています。
東邦大学付属東邦中学校 理科実験室
理系に強い東邦大学付属東邦中学校というイメージ
御校は入学時から保護者や子どもから理系に強い学校というイメージで受験し、進学していく子が多いと思うのですがいかがですか?
岡田先生 数学や理科が得意だという意識を持って入学してくる生徒は確かに多いように感じます。ただし、入学後もそのままかというと、必ずしもそうとは限りません。中高6年間で幅広くさまざまな学びに取り組めるカリキュラムを実践しています。得意なものも油断せず、苦手なものも臆することなく、中学入学後によいスタートをきる生徒がスムーズに実力を伸ばしてくれています。
藤原先生 数学や理科が好きか嫌いかでいったら比較的好きな子は多いかなとは思いますが、「好きだ」と言う生徒に教えたとしても、必ずしも科学的な思考に基づいて学んでくれるかといえば、決してそうでもありません。「実験をやるのが楽しいことも“理科が好き”の一つの在り方だけど、そこからきちんと考えないとダメだよ」というところまで持っていくのはかなり難しいです。
理科でさまざまな分野へ興味を持っている子は多いですか?
藤原先生 興味・関心が高い子は多いと思っています。夏休みにレポートを書かせたり、学期中の課題としてレポートを書かせたりすることもありますが、「こんなことに興味があるんだ」という意外性のあるレポートを出してくる子は多い印象です。
東邦大学付属東邦中学校 校舎
マニアックな生徒は多いが否定しない校風が魅力
近年の生徒たちの興味・関心事として印象に残っているものにはどんなことがありますか?
藤原先生 今年の冬によく天気予報で耳にしたワードのひとつとして、冬型の気圧配置のときに日本海側で発生する雪雲の帯「日本海寒帯気団収束帯(CPZ:Coastal Polar Zone)」があったのですが、それについて調べてきた生徒がいたのは特に印象に残っています。
あとはそれほど最近というわけではありませんが、寄生虫なんて苦手そうな女子生徒が意外と寄生虫に関するマニアックなレポートを書いてきたり、一方でやんちゃな感じの男子が「雪の結晶がどうやってできるのか?」といった繊細なレポートを出してきたのも比較的印象的でした。
学校全体として見た時には、自然に関する生徒の興味・関心事は以前より薄れていると感じるものの、一部の生徒のマニアックな側面が見られるのは本校の特徴としてあると思います。
そういったマニアックな生徒たちと、先生方はどのように付き合っていかれるのでしょう?
藤原先生 マニアックであることを否定しないことですね。私もマニアックなこと自体は面白いと感じているので、むしろ「いいね」という姿勢で応援しています。おそらく本校の教員がみんなそう思っているのは感じますし、周りの生徒たちも不思議とそういう子たちに対して寛容である気がします。
インタビュー2/3
建学理念である『「自然・生命・人間」の尊重』は、創立者の額田豊・晉兄弟医学博士の自然観・生命観・人間観に基づいている。「感性」で捉えたものを「理性」に高めて理解できたとき出会える学ぶ喜びを重視する「プロセス重視の学習」を象徴する言葉である。