シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

国府台女子学院中学部

2025年04月掲載

国府台女子学院中学部【国語】

2025年 国府台女子学院中学部入試問題より

(問)A「~代」(代金)と、B「~料」(料金)は、どちらも何かに対して支払われるお金のことですが、厳密(げんみつ)には違いがあります。次の例をよく考察し、あとの①・②の説明はA「~代」、B「~料」のどちらの説明と考えられますか。
「~代」の説明と考えられる場合はA、
「〜料」の説明と考えられる場合はBと答えなさい。

(例)A「~代」(代金)
・切手代 ・テキスト代 ・部屋代 ・お品代 ・お茶代

(例)B「~料」(料金)
・入場料 ・授業料 ・送料 ・使用料 ・受験料

① 商品(物)など目に見える事柄(ことがら)に支払われるお金に使われる印象が強い。

② 物として目に見えにくい事柄に支払われるお金に使われる印象が強い。

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この国府台女子学院中学部の国語の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答

① A ② B

解説

設問の中で示されている①、②の説明と、(例)で挙げられているAとBの具体例を見て、ふさわしい組み合わせを考えます。(例)のAには、「切手代」「テキスト代」「部屋代」「お品代」「お茶代」といった、①の説明に該当する「目に見える事柄」が挙げられています。一方、(例)のBには、「入場料」「授業料」「送料」「使用料」「受験料」といった、②の説明に該当する「目に見えにくい事柄」が挙げられています。

日能研がこの問題を選んだ理由

「〜代」(代金)と「〜料」(料金)という言葉の違いに着目する問題です。どちらも支払われるお金を示す言葉ですが、使われ方には微妙な違いがあります。日常でよく使ったり耳にしたりする言葉でありながら、その意味の違いについては、この問題と向き合って初めて意識したという受験生がほとんどだったと考えられます。この問題では、設問の中でそれぞれの言葉の具体例が複数示されているため、受験生は、そこから共通点や規則性を見出していきます。既知の知識だけではなく、その場で考えて課題に取り組むことの大切さも教えてくれる問題です。

「〜代」(代金)と「〜料」(料金)に限らず、日本語には、同じような意味を表しながらも、場面によって使い分けられる言葉が少なくありません。国府台女子学院中学部の入試問題では、以前からこのような問題が度々出題されているため、改めて出題の意図や、受験生の反応の変化を伺いたいと考えました。また、このほかの問題からも、多角的に言葉と向き合うことを通して、言葉の持つ奥深さや可能性を感じることができます。

このような理由から、日能研ではこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにしました。