シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題意図

市川中学校

2025年03月掲載

「こんなチカラを持った子どもに来てほしい」
「こんなチカラを持った子どもを育てたい」
私学のメッセージ(=アドミッション・ポリシー)はココにあった!

市川中学校の数学科が求めているチカラとは?

市川中学校/先生
1限られた時間の中で効率よく解くチカラ

本校の入試問題はどの大問も最初の問題(小問1)はそんなに難しくありません。点数を取りやすい問題ですが、例年、時間が足りなくて、後半の小問1に取り組んでいない受験生が見受けられます。「まず全部の問題を見て、解ける問題から解いてくださいね」「大問1から解かなくていいんですよ」と、学校説明会でお伝えしているとおり、まず、すべての小問1を解き、後は自分なりの作戦を立てて臨んでほしいと思っています。限られた時間の中で、いかに効率よく点を取りにいくか、は1つのスキルです。それは大学入試でも必要になるスキルなので、受験勉強の中でも身につけてきてほしいと思っています。

2柔軟に思考するチカラ

数年前から定規とコンパスの持ち込みを許可して、作図の問題を時々出題しています。その意図は、受験生の思考の過程が見えるというか、悪戦苦闘している様子が解答用紙に残るところにあります。今回、コンパスの使用を1回以下とすることで、発想力や柔軟な思考を問えるのではないかと考えました。入学後の数学の授業でも、典型的な問題を解くことより、自由な考え方ができるオープンな問題にみんなで立ち向かい、多様な考え方を共有する、ということを大切にしています。そういう授業スタイルだと、計算では歯が立たない生徒も、自由に意見を述べることができます。みんなで共有することで、計算に自信のある生徒が、考え方を広げる機会にもなっています。

3文章を要約して正しく読み取るチカラ

大問2以降は、どの問題も比較的文章が多く、特に今回の問題は情報を整理することに手間取ったと思います。初めからたくさんのルールを設けようと考えていたわけではなく、考えやすくするということを踏まえて問題を作っているうちに、このぐらいのルールが設定されてしまったという感じです。問題を解く上で、文章を要約して正しく読み取る力がまず必要でした。こうした「ある条件下で考えてください」ということは、数学だけでなく、一般的な社会でもよくあることです。算数や数学で学んだことが、そういう時に役立つことが望ましいので、問題の本質を理解している受験生が点を取れるような問題にこだわって作問しています。