シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

浅野中学校

2025年01月掲載

浅野中学校【社会】

2024年 浅野中学校入試問題より

米は熱帯性の作物ですが、生産量の多い都道府県は北海道や新潟県となっており、この理由としては流通コストや地代(土地の賃料)の影響が大きいことが知られています。下の[図]と[表]は生産場所と作物価格と流通コストや地代の関係性を単純化して示したものです。
必要経費として流通コストだけを考えた場合、100km地点で1kgあたりの利益が最も大きいのは(A)ですが、200km地点で利益が出るのは(B)だけとなります。

問題図

(問)空欄(くうらん)(A)(B)にあてはまる作物としてもっとも適切な組み合わせを、次の(ア)〜(カ)の中から1つ選び、記号で答えなさい。

  (A) (B)
(ア) 白菜
(イ) いちご
(ウ) 白菜
(エ) 白菜 いちご
(オ) いちご
(カ) いちご 白菜

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この浅野中学校の社会の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答

(オ)

解説

市場での販売価格と、流通コストの関係を考えます。

表を使って計算すると、100km地点での1kgあたりの流通コストは、米が100円、白菜は300円、いちごは1000円となります。200km地点での1kgあたりの流通コストは、米は200円、白菜は600円、いちごは2000円です。

この流通コストを市場での販売価格と照らし合わせたとき、100kg地点での1kgあたりの利益は、多い順に、いちご・白菜・米となります。しかし、200km地点で利益が出るのは米だけで、白菜といちごは利益が出ないことになります。

日能研がこの問題を選んだ理由

作物の市場での販売価格と、流通コストの関係を考える問題です。3つの作物について、表をもとに利益を計算していくと、作物の種類によっては、流通コストがかかることで利益が大きく減ったり、利益が出なかったりする場合があることに気づきます。

また、この問題の次には、販売価格と地代の関係を考える問題が出題されています。市場から近くなればなるほど地代が上がるというグラフをもとに、市場からどれくらい距離が離れていないと利益が出ないのかを考えるというものです。

流通コストや地代が作物の販売価格に影響するということについては、学校の教科書などではあまり取り上げられない内容です。ある地域で、ある作物の生産がさかんなとき、気候などの条件が作物に合っているかということに、受験生は目が向きやすいかもしれません。「でも、それだけではない」という新たな視点を、この問題はあたえてくれます。

このような理由から、日能研ではこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにしました。