シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題意図

東京都市大学付属中学校

2024年12月掲載

「こんなチカラを持った子どもに来てほしい」
「こんなチカラを持った子どもを育てたい」
私学のメッセージ(=アドミッション・ポリシー)はココにあった!

東京都市大学付属中学校の国語科が求めているチカラとは?

東京都市大学付属中学校/先生
1自分で積極的に学ぶチカラ

常用漢字表2136字のうち、約半分は中高で勉強します。ただ、小学校と違って先生が一つ一つ教えるわけではありません。教科書の文章に出てきた都度覚えたり、漢検のテキストを使ったりしますが、大事なのは自分で積極的に身につける力です。
その際、全く違ったものを1000個覚えるよりは、少ない情報を組み合わせて覚えるほうが楽だと思います。部首は約200個。漢字のほとんどは意味のある部首と音の組み合わせであると言われているので、それがわかっていれば、頭のメモリーはだいぶ 節約できるでしょう。

2知識を活用して文章を読み解くチカラ

小説は人情の機微を描いていますが、言葉ではっきり説明されていません。それをあえて言語化したらどうなるか、というところが問題になります。なお、小説は古いものから最近のものまで満遍なく出しています。
2024年入試では、戦時中の広島を思わせる土地が舞台の問題を出しました。文字上の文章が読めるだけでなく、ある程度、当時の人々の暮らしを知らなければいけません。受験生は歴史を習ったり、平和教育を受けたりしているので、そういうところで身につけた情報も活用して読んでほしいという狙いがありました。

3人の心情や内面を理解しようとするチカラ

韻文を出題している意図は、韻文の表現に触れることも大事だと思うからです。文学史的に見ると古今東西、人の心情や内面は散文ではなく、詩や歌で表現されることのほうが主流でした。日本でも万葉集や古今和歌集のほうが先で、散文は源氏物語の時代からです。しかし、今でも詩や俳句は作られ続けていますし、音楽の歌詞にも心を動かされます。もちろん説明を尽くした表現ではないので、いろいろ補わないと理解できないこともありますが、それをわかるようにするのも勉強だと思います。