シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

東京都市大学付属中学校

2024年12月掲載

東京都市大学付属中学校【国語】

2024年 東京都市大学付属中学校入試問題より

(問)下の(A)〜(E)には上下左右と組み合わせて漢字を作ることができる共通の部首が入ります。その部首の説明として最もふさわしいものを下の①〜⑩からそれぞれ一つずつ選び、番号で答えなさい。
(注1)同じ番号をくり返し使うことはありません。(注2)組み合わせて成り立つ漢字はすべて小学校までに習う字です。(注3)同じ意味を表す部首は形が異なっていても同じと見なします。

東京都市大学付属中学校【国語】問題図

  • ⓪ 気持ちや心の動きなどに関するもの。
  • ① 建物やその中、その付属物などに関するもの。
  • ② 神や神がもたらす幸い・災(わざわ)いなどに関するもの。
  • ③ 道や町などに関するもの。
  • ④ 水やその状態などに関するもの。
  • ⑤ お金やそれにかかわる行い・状態などに関するもの。
  • ⑥ 衣服やその状態・動作などに関するもの。
  • ⑦ 米や麦などの実りなどに関するもの。
  • ⑧ 草や草で作るものなどに関するもの。
  • ⑨ 身体の各部やその状態などに関するもの。
  • ⑩ 女性や親族などに関するもの。

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この東京都市大学付属中学校の国語の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答

(A)5 (B)3 (C)7 (D)9 (E)2

解説

(A)(A)には「貝(かい・かいへん)」が入ります。上から時計回りに「財」「貧」「資」「貨」ができます。昔、中国で貝が、通貨として用いられていたことから、「貝」はお金などに関する漢字に多く用いられています。

(B)(B)には「彳(ぎょうにんべん)」が入ります。上から時計回りに「往」「徒」「律」「待」ができます。「彳」が「行」という漢字にも用いられていることを思い起こすと、町や道に関連する部首だと見当をつけることができるでしょう。

(C)(C)には「禾(のぎへん)」が入ります。上から時計回りに「秋」「移」「種」「秒」ができます。「禾(のぎ)」という漢字には、稲やわら、穀物といった意味があります。これが転じて、「禾(のぎへん)」には豊かに穀物が実るといった意味が含まれます。

(D)(D)には「月(にくづき)」が入ります。上から時計回りに「胃」「背」「肥」「肺」ができます。「月(にくづき)」が身体を意味する部首になったいきさつについては、「肉」という漢字がだんだん変化して「月」になったという説があります。

(E)(E)には「示・礻(しめす・しめすへん)」が入ります。上から時計回りに「社」「禁」「祖」「祝」ができます。「示」という漢字は、神をまつるときに使う祭卓(お供え物などを置く高い台)などが起源とされ、「神」をはじめ、神事にまつわる漢字に多く用いられています。

日能研がこの問題を選んだ理由

四つの漢字の一部分が示され、それらに共通して組み合わせることができる部首を考えます。

設問に取り組むことを通じて、部首の意味はもちろんのこと、部首として形が異なっていても、同じ意味を持つものがある(例えば、【例】の「りっしんべん」と「したごころ」)といった部首の性質に目が向きます。漢字の意味を構成する部首について理解が深まり、子どもたちの学び方のヒントになるとともに、漢字が誕生した昔の中国の文化、個々の漢字の意味や成り立ちにも関心が広がるきっかけになる問いと言えます。

このような理由から、日能研ではこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにしました。