シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

青山学院横浜英和中学校

2024年11月掲載

青山学院横浜英和中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.青山学院大学への進学を意識した授業や連携講座・ワークショップなどを展開

インタビュー2/3

社会科の授業の特徴としてどんなものがありますか?

市川先生 大学進学を考える中で青山学院大学を希望する生徒は7~8割ぐらいいて、割と安定的に入学できる環境があるので、大学に入学した後のことを考えて授業の中でもできるだけ考えさせることを重視しています。

具体的には、知識を詰め込みで学ばせていくのではなく、自由な発想を持ち、考えさせるような時間を大切にしています。そのため、教材としては資料集を使うことが多いです。理由としては、教科書はそれを読んでなんとなく理解したつもりで終わってしまいがちですが、資料集のほうがパッと出てきた内容について考えてみるのには結構使いやすいためです。また、中学のうちから資料集を使って学んでいくと勉強力も増えますので、高校時の学力定着にもつながると考えています。

そうすると中高6年間一貫ではあるものの、大学を含めた10年間を見据えているのでしょうか?

市川先生 もちろん、そこは意識しています。知識はもちろん大事ですが、知識の使い方は非常に問われる素質であると思うので、まずは中高6年間で知識をきちんと使える子になってほしいと思って教えています。

大学では一般入試を通じて知識のある子も入ってきますが、大学側が系属校に期待しているところとして、大学の大切にしている部分を大事にしていける力や、人に働きかけることができる力が、入学した後に必要だと思うので、人と話すことや発表することなどの機会は大切にしてもらいたいですね。

青山学院大学への推薦資格取得者が70%を超えているのは、御校としては目標通りなのでしょうか?

市川先生 進学実績としては、昨年度の推薦資格取得者が73.2%、実際に青山学院大学に進学した生徒は約6割ですので、約1割の生徒が東大をはじめとした国公立大学、その他の私立大学、医学部系の大学を受験しています。

青山学院横浜英和中学校 教室

青山学院横浜英和中学校 教室

中高6年間でMARCHクラスに一般入試で現役合格できる力を身に付けさせる

およそ7割の生徒が青山学院大学に行ける資格を持ちながら、一部の生徒が別の大学を受験するとなると、先生方としても立ち位置が難しいのではないでしょうか?

市川先生 そこは結構難しいですね。ですから、まず一般受験でMARCHに合格できるぐらいの学力をどの生徒にも身に付けさせるようにしていきます。そうすれば、生徒たちのなかで青山学院大学に推薦で入りたい生徒はおのずと入学できるようになっていきますしね。その結果、MARCH以上の実力が付いてより上を目指すという生徒たちがいれば、別途受験指導を行っていきます。いかに高みを目指して勉強してもらえるか、難しい課題もあります。

青山学院大学では、どの学部への進学が人気なのですか?

市川先生 特に国際政治経済学部、総合文化政策学部が人気です。社会系の学部が結構人気なので、そういう意味でも社会科としては教えがいがあると感じています。

青山学院横浜英和中学校 グラウンド

青山学院横浜英和中学校 グラウンド

学部選択のきっかけにもなる「青山学院大学学問入門講座」

現在大学と連携している講座などはありますか?

相田先生 今はオンラインでのみの参加となっていますが、「青山学院大学学問入門講座」というものがあります。オープンキャンパスだと年に1~2回しかないですが、この講座は毎週のように開かれているので、生徒たちの学部選びの基準のひとつにもなっています。

講座は希望すれば誰でも取れるのですか?

相田先生 そうですね。青山学院大学に行く、行かない関係なく多くの生徒が受講しています。それも高校1年生から取ることが可能です。たとえば、経営学部と経済学部のように微妙な違いがあるところも、授業を受けてみることでなんとなく実感することも可能です。

ほかにも、大学側がワークショップを夏休みにやってくれたり、出張講義をしてくれたりしています。青山学院大学側としては理系を伸ばしていきたいという気持ちがあるので、本校からは理系の生徒の進学が少ないのでより連携を深めたいという気持ちがあると思います。

普段の授業の中でChromebookは使っていますか?

市川先生 歴史総合・地理総合の中ではChromebookを使っています。中1だとGoogle Earthや国土地理院の地図などはChromebookだと使いやすいため、その際に使用したりしますね。

ただ、Chromebookに頼りすぎると、Googleで調べてすぐ終わりになってしまい、そこに何も自分たちの要素が入ってきませんし、むしろリサーチ力が落ちていると感じています。Googleで調べたインターネット上の情報をそのまま鵜吞みにして使っている生徒もいますが、それは非常に怖いことに思います。それでしたら、図書館に行ったほうがより確実な情報があるにもかかわらず、「図書館の本の調べ方がわからない」「本をめくって調べるのがわずらわしい」「イライラする」といった生徒は結構多いと感じますね。

青山学院横浜英和中学校 礼拝堂

青山学院横浜英和中学校 礼拝堂

インタビュー2/3

青山学院横浜英和中学校
青山学院横浜英和中学校横浜英和学院は、1880年(明治13年)、アメリカ人宣教師H・Gブリテンによって、横浜山手居留地に創立された。1916年に現在の蒔田の丘へ移転し、100年後の2016年4月より青山学院大学系属校となり、2018年度からは共学校となった。
「キリスト教に基づく人格教育を行う」という建学のもと、今後の社会を、希望と喜びをもって他者と社会に貢献していく人格の育成を、教育方針としている。「神を畏れる」「自立する」「隣人と共に生きる」の3つの教育目標は、キリスト教教育、キャリア教育、グローバル教育として、6年間の教育プログラムの中で具体的に実践されている。
神の前に自立した自己として立つこと。お互いを大切にし、認め合いながら相互理解を深めること。この2つのことを、今後彼らが活躍する社会やコミュニティーで生きていくための準備教育として大切にしており、「自分らしさ」、「私らしさ」を探求し、神から与えられている賜物を用いて、謙虚に自分の使命に生きる人生を志向していく人を育てることを目指す。
青山学院大学との系属校化により、大学出張講義や学問入門講座への出席、渋谷キャンパス、相模原キャンパス訪問、キャリアガイダンスの実施や青山学院大学への系属校推薦など、高大連携事業も年々より確かなものとなっている。
毎日の授業は、プロジェクターとスクリーンで展開。生徒は1人1台chromebookをもち、学びに活かす。講義形式の授業だけではなく、生徒自らが考えてつくる授業を展開しており、総合学習や海外研修報告、英語のレシテーションや各教科の研究発表などchromebookを用いて発表する機会が多くある。
給食があることも大きな特徴。栄養のバランスを考えた温かな食事を、クラスでみんなと一緒にとる。生徒も教職員も同じメニューで、クリスマスのケーキなどの特別メニューが出ることもある。幼稚園、小学校、中学校、高校、職員、1700食以上を管理栄養士と調理員計16名で作っている。