出題意図
聖光学院中学校
2024年11月掲載
「こんなチカラを持った子どもに来てほしい」
「こんなチカラを持った子どもを育てたい」
私学のメッセージ(=アドミッション・ポリシー)はココにあった!
聖光学院中学校の数学科が求めているチカラとは?
- 1グラフからの数値情報を読み取るチカラ
理科の先生と、「グラフが読めない」「単位に無頓着だ」「単位を変えた瞬間にわからなくなる」生徒が多いという話をしていました。キロの逆数はミリですが、ミリを付け忘れるのです。私の「情報」の授業でも、生徒は回線の速さなどをやたらと気にするわりにキロ、メガ、ギガ(単位変換)がわからない。実態量として理解していないと感じることが多いので、今回の問題の出題意図の一つとして、グラフの読解力を問いたいと考えました。
- 2比の概念を理解し運用するチカラ
力学の前段として速度や加速度の概念を教わるのですが、加速度でつまづく生徒は比較的多くいます。加速度の何がわからないかというと比がわからないのです。私の統計分析の授業で人口と面積のデータを渡したときも、人口を絶対量でしか使いません。人口密度を求めようとしないのです。例えば、中区や西区の商業店舗数の違いを比較検討するときに、絶対数だけで見てしまいがちです。面積で割り算したり、人口で割り算したり、ということをしないで比較・分析することが非常に多いと感じています。比の概念を理解し、運用する力は、入学後に数学を学ぶ上でも、物理や化学をはじめとする数学以外の科目でも理解する上でも重要な意味をもつので、学習に活かしてほしいと思います。
- 3粘り強く丁寧に問題と向き合うチカラ
「統計」の問題で求めるチカラは1から3になりますが、入学後は、図を書く練習や計算トレーニングをたくさんします。「粘り強さ」「丁寧さ」「計算を面倒がらない」ということを大切にしているからです。なぜなら、これらがきちんとできないと、思考ができません。そこに高3で気づいても修正不可能なので、入学後、できるだけ早いうちからトレーニングを積んで、身につけさせたいと考えています。そういう意味で中学入試の段階で求めることと言えば、「計算を丁寧にやる」「きちんと数える」「きちんと図を書く」これに尽きると思います。