シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

光塩女子学院中等科

2024年10月掲載

光塩女子学院中等科の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.出題される文章は受験生が読んで楽しいものを選定

インタビュー2/3

入試問題全体に関して御校のお考えなどについてお聞かせください。

大津先生 入試問題では総合的な力を見ようと思っていまして、なかでも記述に関しては100字程度または2~3行程度の記述問題は必ず出題しており、本文の正確な読解に基づいた記述問題が出されます。

髙橋先生 今回大問2は随筆に近い内容なので、論説文と随筆という形になりました。

大津先生 第1回、第3回の両方で論説的な文章は出そうと思っていて、あとは随筆と小説とを適宜組み合わせて出題します。決まっているのは、文章を2題出しましょう、そのうち1つは論説・評論を出しましょうといったことですね。

語句に関しては文章題の中で出していくのですか?

大津先生 第2回、第3回はそうしていますが、第1回だけは国語基礎という形で全部選択式のため、語句は独立させています。第1回は「総合」重視の中での国語基礎は基本的な問題で構成されています。

国語科主任/大津 貴寛先生

国語科主任/大津 貴寛先生

入試が終わった後に「また読みたい」と思える文章を出題したい

文章の選定はどのようなものとなっているのですか?

大津先生 入試問題に使用する文章については、ただ内容を理解するのではなく心の琴線に触れるような文章が出せたらいいなと思っていて、特にエッセイなどは受験生の心に響くような文章を出題したいと考えています。

心の琴線に触れる文章とはどんなものをイメージされていますか?

大津先生 受験生が感動までするかどうかはわかりませんが、また読んでみたくなる文章ですかね。

髙橋先生 私はこの学校の卒業生なのですが、受験時に出題された小説文がテストを解きながらすごく面白いと感じまして、受験のあとに本を探して読んだことがあります。そういう伝統が今も続いているのを身近に感じながら、受験を通して始まる学びや楽しみのある文章を選びたいと思っています。

大津先生 今回取り上げていただいた文章は、私と髙橋先生、二人ともが「この文章で問題を作りたい」と思ったほど本当に力のある文章だと感じたものでした。
国語が好きな子もいっぱい受験していると思いますし、書くことにためらいがない子は結構いるように感じます。特に2回、3回で受験しようという子は記述問題をしっかり解こうといった意識があるように思いますので、入学してから文章を書かせてみるとしっかりと書いている印象があります。

光塩女子学院中等科 化学室

光塩女子学院中等科 化学室

入試問題に使用する文章の選定は1学期からスタート

入試問題用に教員の方々がそれぞれ持ち寄ってきた文章ですが、先生それぞれの個性が出ると思います。そこの合意形成もかなり大変に感じますがいかがですか?

大津先生 合意形成はたしかに大変です。1学期および2学期は教科の集まる場で多くの時間を費やし格闘しています。
今年から持ち寄った文章を入試チームで選んでいって、「これを伝えたいからこの文章を出したいんだ」とか「この文章からここが聞きたいからこれを出したいんだ」といったアピールを聞きながら合意形成を取る形になっています。

光塩女子学院中等科 ラーニングコモンズ

光塩女子学院中等科 ラーニングコモンズ

インタビュー2/3

光塩女子学院中等科
光塩女子学院中等科1931(昭和6)年、スペインを発祥とするカトリック・メルセス宣教修道女会によって、かけがえのない自分に目覚めた女性を育てることを目的として、光塩高等女学校が設立される。47年に現在の校名に改称、高等科・中等科・初等科を設置。55年、幼稚園を設立した。2001年(平成13)に高校募集停止。
人間はすべて「世の光、地の塩」であるという真理が校名に刻まれているように、かけがえのない「自分」の存在に目覚め、惜しみなく己を他人のために開くことのできる人間に成長することを願う。年に数回個人面談があり、フランクに日頃思っていることを話し合う機会を設けており、教師と生徒、生徒同士、教職員同士の相互の「信頼感」に支えられた温かく密なコミュニケーションの雰囲気がある。生徒の真に主体的で、調和のとれた人格の発達を目指している。
白とレンガ模様を基調とした校舎は、施設拡充を積極的にはかったもの。地下には聖堂、体育館がある。校内は清楚で落ち着いた雰囲気。
1学年5~6名の教師が担当する共同担任制を採用している。一人ひとりの学力を伸ばすことを大切に考え、中学の英・数や、高校の英・数・理などでは習熟度別授業を実施。高2からは授業の5割を選択科目とし、生徒がそれぞれ自分の進路にあわせた時間割を組めるようにしている。小テストがこまめに行われ、漢字とスペリングは月2回、中1・中2の計算小テストは月2~3回ある。英語の教科書は『NEW TREASURE』を使用。4技能(読む・聞く・書く・話す)をバランスよく学び、国際的にも十分通用する英語力の習得を目指す。自分で考え、分析する力の養成も重視し、国語や社会では「書く」機会を多く作り、中等科の国語、高2の教養演習ではクリティカル・シンキングも取り入れている。難関大学への実績も好調で、理数系進学者は4割。
高3まで、週1時間、倫理の時間を設けている。クリスマスやミサなど、宗教的な行事のほかに文化祭、林間学校、中・高が合同で行う体育祭、弁論大会などの学校行事があり、すべて学年単位で取り組み、学年ごとの結束が強い。創立当初から奉仕の精神を大切にし、ボランティア活動も盛んで、11月の親睦会はバザーとしての意味あいも強い。クラブ活動は体育系7、文化系11あり、中高合同で活動し、学業と両立できるように、通常の1週間の活動日は2日以内だが、約9割の生徒が参加している。