シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

獨協埼玉中学校

2024年09月掲載

獨協埼玉中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.地理・歴史・公民どれかに偏ることがないように入試問題はほぼ均等に出題

インタビュー2/3

問題全体の話になりますが、獨協埼玉中学校の社会科としてはどのように入試問題を考えていらっしゃいますか?

今井先生 出題数は毎回3題構成でして、地理、歴史、公民の順番はずっと変わっていません。公民の問題数として少ないですが、ほぼ同じ配点で3分野出題しています。これは学校の姿勢として歴代の校長も言っていますが、特定の科目に偏ることがないよう学習に取り組んでもらいたいという想いからです。

つまり、学校の理念が入試問題につながっているということですね。
あと、毎年政治分野で特に現代社会や世界の問題点を提起されていると思いますが、何かテーマを決める上で気にされていることなどはありますか?

今井先生 分野ごとでいうと、地理においては地形図の問題に特徴があって、その年々で地理の問題作成者が関心のある土地について出題をしています。また歴史については、カードの問題だったりリード文からの出題だったり、年表形式だったりと形式の問題が大きいですね。

田口先生 公民は一番色が出しやすいのですが、人権問題なんかはきちんと出さないといけないと思っていますし、平和問題や憲法の基本の精神に関わるものなどは、なるべくその内容に主眼を置いて出題しようと考えています。

入試対策部/今井 祐毅先生

入試対策部/今井 祐毅先生

地形図の問題は実際に現地に出向いて撮影してくることも

地形図の問題に特徴があって毎年出題されているとのことですが、読解力や資料を読み取る部分を大事にしているからこそ地形図にフォーカスしているのでしょうか?

今井先生 もちろんそれもありますが、2020年頃からの大学入試改革によって、資料をたくさん読みこなさなければいけない問題や、文章量が多いものを読ませる問題が出てくるようになりました。本校ではかなり前から地形図に関して出題していますが、そういった問題を意識して出しています。

問題に使用している写真は現地に行って撮っているのですか?

今井先生 基本は実地調査を行っているので、ほとんどの場所では写真撮影を行っていますが、どうしても行けない場合は、別ルートで取得した写真を使用することもあります。

入試の採点を行っていて、ここが合否の境目だなと感じる部分って何かありますか?

今井先生 本校の社会科は問題数も多いですし分野も多岐にわたるので、知っているものから確実に解いていった受験生のほうが得点は高いと感じています。逆に第一問目の地理の問題から順々にやっていった子のほうが、力を発揮できず得点が伸びないといったケースも見られます。

獨協埼玉中学校 掲示物

獨協埼玉中学校 掲示物

インタビュー2/3

獨協埼玉中学校
獨協埼玉中学校1881(明治14)年にドイツを主としたヨーロッパ文化を学ぶことを目的とした獨逸学協会としてスタートし、以後120年間のうちに獨協大学、獨協医科大学、姫路獨協大学、獨協中学・高校を有する総合学園に発展。獨協埼玉高校は1980(昭和55)年に開校。2001(平成13)年に待望の中学校が開校した。
都内と違い、まだまだ多くの自然が残る環境のなか、約8万m2の広大な校地をもつ。300mトラック、サッカー・ラグビー場、図書館棟、和室棟などがある。中学開校に伴い、中学の校舎を新築。普通教室のほか、カリキュラムで使い分ける選択教室が8教室、250名収容の多目的ホールや、各階の談話コーナーのほか、弁当、パンや飲み物を販売する売店や販売機も備えている。
教育方針は、自ら考え、判断し、行動することのできる若者を育てる。中学では、様々な体験を通じて、自分の目でみて確認する「帰納法的手法」を重視している。
併設大はあるが、他大学進学へのウエートが大きい。英語は中1では週6時間、そのうち2時間は外国人教師による授業で、1クラス2分割の少人数制。指名制・希望制の補習が放課後あり、定期考査後や、学期末にも特別補習を実施する。中3で卒業論文発表に取り組む。毎日10分間の朝学習では、読書、学習チェックの2つの内容で行われる。高校の英・数は学年により習熟度別・少人数授業を行っており、伝統のドイツ語は高1から自由選択科目となる。外部進学生とは高2より基本的に混合クラス。
中学のクラブの活動日は週4日で、完全下校を中1は5時半に設定。運動部は陸上、軟式野球部など12、文化部は吹奏楽、演劇部など6、文芸、囲碁・将棋など6つの同好会がある。授業のほか体、心を鍛える総合学習プログラムがあり、中1では地域の農家の協力を得て稲を育てるネイチャーステージ、中2では将来の進路や就業について調べるキャリアステージや、2泊3日アメリカン・カウンセラーと生活する「英語ですごす3日間」を体験するイングリッシュキャンプ、中3では福祉体験などを行うボランティアステージなどが用意されている。学校行事は、文化祭、修学旅行、マラソン大会など多彩。希望者対象に中3はニュージーランド、高校はシンガポール語学研修、ニュージーランドターム留学、オーストラリア・ドイツとの国際交流がある。