シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

城西川越中学校

2024年07月掲載

城西川越中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.情報を正しく使いこなせて自分で判断できる子を育てていきたい

インタビュー3/3

先生から見て、これからどんな力を子どもたちに付けていきたいと思っていますか?

須田先生 新たな力となるとデジタルの部分が発達してきているのを当然我々も感じています。情報を使いこなしたりAIを駆使したりするのが当たり前の時代では、それを使いこなすことよりも正しい情報を自分で判断することができるようにしていきたいですね。

今の子どもたちは昔よりも過酷で自分で判断しないといけないことがより多くなっていると感じています。そういった点で今は何も考えずに言葉を発してしまってもどんどん広がってしまう時代なので、気を付けさせるような教育をしていかなければいけないとは感じています。

城西川越中学校 校是

城西川越中学校 校是

他人の意見や良質な情報に触れる機会を増やす

情報に溢れているからこそ自分で判断する力は大事です。昔より情報があふれている今だからこそ、自分で判断できるようにするために普段からこのような授業を展開しているといったものは何かありますか?

須田先生 たとえば、それぞれの子が言っていることを聞くことによって自分以外の考えや知識が入ってくるようになります。そうした機会をたくさん設けるようにはしています。

梅川先生 今の子はテレビをあまり見ないので、話題のニュースでも意外と知らない子は多いです。ですから、話題になっているニュースについては、公民以外の機会でも触れるようにしています。学校で日経新聞を生徒も読めるようにと、お試しアカウントを作ったりしていて、いくつかおすすめ記事を掲示して「今こういったことが問題になっているよ」と紹介したりしています。

城西川越中学校 掲示物

城西川越中学校 掲示物

のびのびとした校風の中で育まれる個性を広げていく教育を実践

学校としてこういう男子に育ってほしいといったものはありますか?

須田先生 少し抽象的になりますが、型にはめた子を育てるという感じではなく、それぞれ持っている個性を伸ばしてあげたい、広げてあげたいという想いはあります。狭めていくよりかは広げてあげようと。広げた上でそれぞれの個性を尊重し合ったり共感し合ったり、そういった部分の心を育てたいという目標はあります。それは学校全体としてだけでなく、教科の中でもそういう視点を持って生徒に接しています。

入学したての頃はいろんな人を知って共感し、多様な部分を尊重し合うといったことを求めつつ、その中で自分自身と向き合いながら自律や自学といったステップを踏んでいきます。その過程で生徒の中にそれぞれの男らしさやたくましさが生まれてくればいいですね。

田口先生 本校は、本当に「のびのび色々なことをやろうよ」といった校風を持つ学校です。その中で「いっぱい失敗していい」と生徒に言っています。失敗の中から、自分には無理だということを知る機会も、とても大事だと思います。のびのびしながらいろんなことにチャレンジした経験は、自分の強みや特徴を知る機会となります。こういう人間だから将来こんなことをやっていきたい、といったものが見つけられるような中高6年間にしてもらいたいと思います。

自分らしく、自分ができることを最大限に活かせる目標を見つけ、その後押しをしていくことが我々の使命です。それが大学受験に向けてだったり大学で学ぶことだったりとなります。自分が活きる職業につながる学びを得られる6年間を過ごしてほしいと思います。

その過程ではもちろんプログラミング学習などもしますが、本校しかできないことも多く取り入れています。たとえば、凧揚げをしたり田植えをしたりすることです。

凧揚げなんて今の子たちは和紙を触ったこともありませんし、竹ひごを使ったこともない子もたくさんいます。そんな子たちと一緒に凧を作り、自分で作った凧が上がる経験をするなか、どうして凧は上がるんだろう?といった疑問がその後の勉強につながっていくことになるので、実体験は非常に大事だなと感じます。

また田植えに関しても、都会の学校だと田植えを手伝ったあとの工程はすべて農家の方にお願いして、稲刈りして出来上がった米を送ってもらって食べて終わりといった流れなのではないでしょうか。しかし本校の場合、水の張り具合を見に行ったり雑草を取ったり、鎌で稲刈りをしてみたりといった途中の過程もすべて体験できます。ここでしかできないことが日々広がっており、そのような体験ができる環境があります。

そういったのびのびできる体験から自分のよさや自分らしさを、自分たちで考えながら過ごしていくことはすごく大事だと思います。

最後にこれから城西川越中学校の受験を考えている子に向けてメッセージをお願いします。

田口先生 本校は中学校の定員が85名です。埼玉県中心にある学校と違い、たくさんの人が受験しに来て85名が残るというような学校ではありません。本校ならではの環境を見てもらったり見学会に来てもらったりして、「うちの子ものびのびやらせたいです」「ぜひこの環境で学びたいです」っていう方たちが受験をしてくださっている学校です。

1月の入試が終わってすぐ手続きをしてくださる方が50名ぐらい毎年います。「埼玉では城西川越が第一志望ですが、東京も一回チャレンジします」といって東京で受かったものの本校で入学手続きしてくださる方もかなりいらっしゃいます。

受験人数は少ないですが、第一志望のお子さんがすごく多い学校です。本校の魅力を感じて下さる熱烈なファンがいてくれる学校ですので、気になる方は学校見学会などを通じてぜひ本校に足を運んでみていただければと思います。

教頭/田口 智一先生

教頭/田口 智一先生

インタビュー3/3

城西川越中学校
城西川越中学校高校が1972(昭和47)年に城西大学付属川越高等学校として開校。1992(平成4)年に中学が城西川越中学校として開校したが、校名からもわかるように城西大学付属となっていない。これは中高一貫の進学校として邁進していくという学校側の決意の表れである。
創立以来、画一的な教育を避け、個人の特徴を見つけ、精神的に豊かな人間の育成を目指している。その理念をくむ現在の教育方針は、「心豊かな人間の育成」と「個性・学力の伸長」となっている。生活指導は「力まかせ」ではなく「心で接する」ため、先生と生徒の信頼関係は厚い。まじめで誇張のない学校の姿勢、勉学と運動のための緑多い広い空間、掃除が行き届いた清潔な校舎など、学校の方針は着実に生徒に浸透していることがうかがえる。
校地は入間川に接し、河川敷にサッカー場、野球場、陸上競技場の他に、テニスコート6面など施設・設備が整っている。また、隣接する「けやきくん農場」では、ジャガイモ、大根の栽培や、田植えを体験することができる。食堂は2023年6月にリニューアルし、生徒が家庭科の授業でアイデアを出した、新メニュー城西丼が人気とか。
難関大学に現役合格できる「ゆるぎない学力」を養成する。毎週の小テスト、昼休みや放課後の個別指導など、丁寧な指導が学校の自慢。個人の学力に応じ、オリジナル副教材やプリントも多用。基本となる英・数・国の時間数を多くとり、英会話は中1から1クラスを3つに分け、それぞれにネイティブの先生が指導する少人数制。夏・冬休みには、講習会も開かれる。高校2年から文系・理系コースに分かれ、外進生とは高校3年の選択授業で混合。卒業生の多くは難関・上位大学へと進学し、活躍が目覚しい。
クラブ活動の参加は任意だが、加入率は毎年100%となっている。中学校の運動部は8、文化部は9のクラブがあり、特にサッカー、ラグビー、テニス、バスケットボール、野球などが盛んで、ユニークなロボット部もある。また、地域貢献にも力を入れ、学校行事だけでなくボランティア活動などを通して、人間性を育む。全国大会優勝実績もある和太鼓部もボランティア活動の一環としてスタートしたもの。
スピーチコンテストや、毎月最低1冊の本を読んで感想文を書く「今月の1冊」など、教科とも関連した取り組みも行われている。林間学校、アメリカンサマーキャンプ、体育祭、京都・奈良方面の研修旅行などのほか、中学3年ではオーストラリアのアデレードへの海外研修も実施している。高等学校では中長期留学制度もあり、グローバル教育も充実している。制服はビンテージネイビーのボタン詰襟タイプ。