シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

城西川越中学校

2024年07月掲載

城西川越中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.入試問題は「このような生徒に来てほしい」という学校からのメッセージ

インタビュー2/3

続いて、社会科全体の構成に関して教えてください。

須田先生 普段の授業の中で大学入試に向けた指導をしていく際に、入試問題とは「こういうことができる」とか「こういうことがわかる」「こういうことを考えられる」生徒に来てもらいたいという学校側のメッセージだということを踏まえた受験指導を行っています。

そういった点を意識して作問することが我々のコンセプトとしてありますので、資料の読み取り問題などは必ず出題するようにしています。特に地理の場合だと地図やグラフ、歴史だと昔の人が書いた文献資料を出題したりと、視覚的な資料の読み取り等も意識していますね。入学後の授業でもそういった部分はかなり意識しています。

また、公民に関しては時事的なところから比較的出題するようにしています。小学生の場合、地理や歴史は学校でもある程度時間を取っていると思いますが、公民はそれらに比べると学習時間が少ないのが現実です。そのような背景を踏まえつつ、政治などについて聞きつつも社会課題などへの興味・関心を持ってもらいたいと思い、時事問題は出し続けています。

社会科主任/須田 信之先生

社会科主任/須田 信之先生

基礎学力として国語や算数は非常に大事

須田先生 本校の入試問題の作問においては基礎学力をとても大事にしていますが、なかでも国語と算数は特に大事であると捉えています。国語力に関しては「文章を読み取っていく力」、算数においては「図の読み取り」などは重要です。

梅川先生 分野によって傾向が違うところはあります。歴史は基本的な言葉を中心としてしっかり書けるかどうか、選べるかどうかといった問題が中心です。一方公民は、中学受験でそんなに深く知識を身につける分野でもありませんので一定の知識は確認しますが、あとは国語力や文章を読む力があれば解けるようにしています。

過去にはイギリスの政治体制を本文の中で説明した上で、日本の政治体制との共通点や違いを正誤で判断する問題を出したこともありました。他にも安全保障理事会でどうすれば可決できるのかについてのルールについて記載されており、このケースは可決できるのか?と判断する問題を出題したこともあります。もちろん受験生の中にはそんな言葉を聞いたことすらない子もいると思うのですが、このような問題は事前に知識があるかどうかというよりも、学んだことを理解して応用していけるかどうかが重要で、そういった力も当然ながら見ています。

あと、毎年最後の問題は記述問題が多いです。こちらで答えに誘導していくような問題よりも、今回のように「支持する」「支持しない」といった選択をさせて、選んだ選択肢に合う適切な理由を書くといった出題スタイルは過去にも何回か行っています。

城西川越中学校 図書館

城西川越中学校 図書館

共学とは違う男子校ならではの授業風景

男子校とはいえこの出生率のようなテーマについて授業で話すこともあると思います。中学生・高校生では実際どのような反応があるのですか?

梅川先生 男子校だからというのもあると思いますが、特に中学生だとあまりこちらから「答えて」と言わなくても生徒側から答えが返ってくることが多いので、地理、歴史、公民いずれも生徒とのやり取りをしながら授業を進めることを常に心掛けています。

たとえば、男性・女性の問題だと同級生に女子がいないわけで、意見がある一方に片寄ったりすることはないのですか?

本名先生 中学生・高校生ぐらいの段階では、まだそんなに男性側だけの目線だけで考えているわけでもなく、「そういった問題があるんだ」といった感じで結構俯瞰して見ているところがあるように感じます。

須田先生 今は小学校でも生徒を「さん」付けで呼んでいますし、我々が思っている以上に今の子たちの方が平等な関係の中で育ってきています。ですからあまり先入観もないと思いますね。

城西川越中学校 食堂

城西川越中学校 食堂

学校説明会などを通じて一度は学校に来て見てほしい

生徒を見ていて、昔と比べて「変わってきたな」と感じることはありますか?

本名先生 普通に時代の流れというのもありますが、今の生徒は非常に礼儀正しいですね。

須田先生 学校のコンセプトも募集の際にしっかり出していく中で、一度は学校を見てから自分に合っているかを判断して決めてもらいたいと思っています。特に中学の場合、男の子の精神年齢に合わせながら6年かけて教育していきますので、そういった部分を求めたい生徒が集まってきている感じですね。

本名先生 本校を第一志望として考えてくれる子が増えてきていると感じる中、学校説明会にはやはり足を運んでみていただきたいです。説明会では、のんびりしていて穏やかな子が多い傾向であると説明しますし、そういう子たちが集まってきた結果純度が高まっている印象ですね。とにかく広々していてのびのびできる学校です。

梅川先生 あまり他人のことをとやかく言う子はいないと感じます。いろんな個性を持つ生徒がいるものの、人を排除したり人の趣味をけなしたりということはありません。

社会科で実践している行事などはありますか?

須田先生 社会科だけというわけではなく学校全体の取り組みとなりますが、五感で学ぶことは大事にしていることもあって、鎌倉に行ったり京都や奈良に行ったりすることもあります。また、美術ではゲルニカの絵を描いたりもします。学校全体としていろいろなことを自分で直接見る、触れるということを大事にしています。

高校部長/本名 俊之先生

高校部長/本名 俊之先生

インタビュー2/3

城西川越中学校
城西川越中学校高校が1972(昭和47)年に城西大学付属川越高等学校として開校。1992(平成4)年に中学が城西川越中学校として開校したが、校名からもわかるように城西大学付属となっていない。これは中高一貫の進学校として邁進していくという学校側の決意の表れである。
創立以来、画一的な教育を避け、個人の特徴を見つけ、精神的に豊かな人間の育成を目指している。その理念をくむ現在の教育方針は、「心豊かな人間の育成」と「個性・学力の伸長」となっている。生活指導は「力まかせ」ではなく「心で接する」ため、先生と生徒の信頼関係は厚い。まじめで誇張のない学校の姿勢、勉学と運動のための緑多い広い空間、掃除が行き届いた清潔な校舎など、学校の方針は着実に生徒に浸透していることがうかがえる。
校地は入間川に接し、河川敷にサッカー場、野球場、陸上競技場の他に、テニスコート6面など施設・設備が整っている。また、隣接する「けやきくん農場」では、ジャガイモ、大根の栽培や、田植えを体験することができる。食堂は2023年6月にリニューアルし、生徒が家庭科の授業でアイデアを出した、新メニュー城西丼が人気とか。
難関大学に現役合格できる「ゆるぎない学力」を養成する。毎週の小テスト、昼休みや放課後の個別指導など、丁寧な指導が学校の自慢。個人の学力に応じ、オリジナル副教材やプリントも多用。基本となる英・数・国の時間数を多くとり、英会話は中1から1クラスを3つに分け、それぞれにネイティブの先生が指導する少人数制。夏・冬休みには、講習会も開かれる。高校2年から文系・理系コースに分かれ、外進生とは高校3年の選択授業で混合。卒業生の多くは難関・上位大学へと進学し、活躍が目覚しい。
クラブ活動の参加は任意だが、加入率は毎年100%となっている。中学校の運動部は8、文化部は9のクラブがあり、特にサッカー、ラグビー、テニス、バスケットボール、野球などが盛んで、ユニークなロボット部もある。また、地域貢献にも力を入れ、学校行事だけでなくボランティア活動などを通して、人間性を育む。全国大会優勝実績もある和太鼓部もボランティア活動の一環としてスタートしたもの。
スピーチコンテストや、毎月最低1冊の本を読んで感想文を書く「今月の1冊」など、教科とも関連した取り組みも行われている。林間学校、アメリカンサマーキャンプ、体育祭、京都・奈良方面の研修旅行などのほか、中学3年ではオーストラリアのアデレードへの海外研修も実施している。高等学校では中長期留学制度もあり、グローバル教育も充実している。制服はビンテージネイビーのボタン詰襟タイプ。