今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!
城西川越中学校
2024年07月掲載
2024年 城西川越中学校入試問題より
- 問題文のテキストを表示する
(問)「男性の育児休業取得率が上昇すれば、出生率は上昇する」という主張を、あなたは支持しますか、それとも支持しませんか。解答欄の「支持する」もしくは「支持しない」のどちらかを丸で囲った上で、その理由を述べなさい。
中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この城西川越中学校の社会の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)
解答と解説
日能研による解答と解説
解答例
支持する
(理由)男性が育児により参加するようになれば、出産・育児に対して前向きになる夫婦が増えると思うから。
解説
この問題の前に、2つの図が示されています。図1は「育児休業取得率の推移」、図2は「第1子出生年別にみた第1子出産前後の妻の就業変化」をあらわしたものです(出典は厚生労働省)。図1からは、男性の育児休業取得率が上昇していることが読み取れます。図2からは、第1子出生年が2010~2014年になって初めて、出産後に就業を継続する人の率が出産退職する人の率を上回るようになったことが読み取れます。これらのことを合わせて考えると、夫と妻が協力して育児をおこなうことで、仕事と育児の両立の負担が軽減され、出生率の上昇が期待できると考えられます。
また、「支持しない」を選んだ場合でも、その理由が妥当であれば正解となります。
- 日能研がこの問題を選んだ理由
日本の人口にしめる子どもの割合は年々低下しています。少子化問題に対して、政府は子育て支援の整備や保育サービスの充実など、さまざま対策を講じています。そうした対策の1つとして、現内閣は男性の子育て参加を促す働き方改革を打ち出し、男性の育児休業取得率を2025年度に50%、2030年度に85%とする目標を立てました。政府の目標通りに男性の育児休業取得率が上昇するとは限りませんし、男性の育児休業取得率が上昇しても出生率は上がらないかもしれません。つまり、この問題の中で仮定されている「男性の育児休業取得率が上昇すれば、出生率は上昇する」という主張は、現時点では正解かどうかわかりません。この主張に「支持する」か「支持しないか」は人それぞれで、大事なのは「なぜそう考えたのか」です。
この問題では、「男性の育児休業取得率」と「出生率」の間にどのような関係があるのかを自ら考えるという点で、ことがらどうしのつながりを論理的に把握する力が試されています。また、今の日本が抱える問題点について考え、将来、未知の課題に出あったときにそれを解決するための視点を育んでいこうというメッセージが感じられました。
このような理由から、日能研ではこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにしました。