シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

神奈川学園中学校

2024年07月掲載

神奈川学園中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.数学でも、活動・実験を取り入れた授業を展開

インタビュー2/3

次に学校の話について、本校の数学の授業の特徴について教えてください。

須山先生 特徴としては2つあると思っています。まず一つ目は、習熟度授業が比較的早く始まる点です。中学2年生から高校1年生までは習熟度別の授業を行っており、高校2年生からは進路別の授業を行います。中学2年生以降は個に促した授業を受けることができます。定期テストなどの点数でαクラス、βクラスに分かれます。

これは何人ぐらいのクラス構成なのですか?

秋間先生 今、中2は35人クラスで、αは10人強、残りがβクラスになっています。クラス全体の1/3ぐらいがαクラスです。

須山先生 成績上位者が集まるαクラスは、活動や授業においても要求レベルを変えています。一方でβクラスは、どちらかというと肯定感が持てずにいる可能性が高いこともあり、反復練習をより多く行うなど生徒の力に合わせて学習の定着がより見込める授業形態を考えています。

高校2年からの進路別授業となると生徒たちの意識も高くなります。一方で、その時点で自分がどこに向かって勉強すればいいのかわからない場合もあります。高校3年生の始めまでは通常授業で、その後入試問題の演習に入るのですが、少人数だからこそ一人一人が今どこでどのように勉強に困っていて、どうサポートすることで伸びるかを見ていけるのは本校のよい部分だと思っています。

もう一つの特徴は、活動や実験をたくさん入れている点にあります。活動や実験を通じ、感覚的な視点を持ってもらえるような材料を与えるための授業を行っています。たとえば「公式はこれだ」というのは簡単ですが、その公式がなぜ成り立っているかを説明するのが難しいわけです。その部分については模型を使って確認してもらい、公式に導いていくような授業を展開することもあります。「垂体が1/3っていうけれど本当なのか?」といった疑問について模型を使って説明することもありました。

実際に手を動かしたり視覚化できる教材を教科オリジナルで作り使っています。また、生徒たちは各自Chromebookを持っているので、グラフソフトなどを使って実際にグラフの特徴を見てみてもらったりすることもあります。

藤澤先生 教員間で、「この単元でこういうのをやりました」といった活動をみんなで見られるようにドキュメントをデータ化して共有していますので、「他の先生はどんなことやっているんだろう?」と思ったらそのドキュメントを見ればよいですし、なるべくお互いが「今度こういったことをやります」といったことはメールするなど、情報共有をし学び合うことは意識的に行っています。

このような活動や実験の時間は、1年間の数学の学習時間のどのぐらいの割合を占めているのですか?

須山先生 希望としては学期に1回はやりたいと思っています。ただし、全ての単元に入れ込むことはよいとは思っていません。生徒にとってここでやるのが最適だと思えるタイミングでやりたいと考えています。

誰かが持ってきたアイデアをブラッシュアップさせながら、実行するタイミングをいつにするか考えながら学習時間に組み込んでいます。ブラッシュアップすると学習難易度が上がってしまうのですが、生徒は「難しいけど楽しい」って思ってくれているのでうれしく感じます。

こういった模型教材を使ったり実験したりするといった授業は昔からあるのでしょうか?

藤澤先生 意識的に進めているのはこの10年ぐらいです。現実事象や手を動かすことが必要であるといった考えの中で授業を行っていますし、こういう活動が得意な教員が本校の中に複数いて、「これやってみたら?」といろいろとネタを持ってきてくれ実践しています。

数学科主任/秋間 瑛里菜先生

数学科主任/秋間 瑛里菜先生

インタビュー2/3

神奈川学園中学校
神奈川学園中学校1914(大正3)年に、前身である横濱実科女学校が開校。建学の理念である「女子に自ら判断する力を与ふること」「女子に生活の力量を与ふること」を背景に「自立した生き方」を実現する教育をめざしています。
2000(平成12)年からスタートした「21世紀教育プラン」のもと、学力・人間力の向上を目標にさまざまな改革を実行。2008年からのセカンドステージでは、教育プランを深化するために週6日制、先取り学習を本格的に導入。改革の成果は年々表れ、早慶上智・MARCHなどへの進学実績が大躍進しています。2011年には高校募集を停止、改革はサードステージに入りました。サードステージでは学力の育成のほか、全員参加の海外研修など、行事改革も行いました。
5教科では、オリジナルテキストを使用。特進クラスを作らないことも特色。高2・高3では大幅な選択科目制となり、大学進学を強力にサポート。「理科実験100」「国内FW」「探究」など、興味深い取り組みもたくさんあります。「人と出会い、社会と出会う」という基本方針のもと、中学では2人担任制や入学直後のエンカウンター、プロジェクトアドベンチャーを実施。中3の海外研修ではホームステイや現地校の授業も受講。クラブでは、バトントワリング、そう曲が全国レベルで、コーラス部や新体操も活躍。