シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

横浜雙葉中学校

2024年06月掲載

横浜雙葉中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.入試は小学校の学びの中で解ける問題を出題

インタビュー2/3

次に横浜雙葉中学校の理科の入試問題全体の構成についてお聞かせください。

白兼先生 理科の出題はまんべんなく物・化・生・地4分野から出題されていて、小学校の学習内容を逸脱しないよう、あくまで小学校の学びの中で取り組むことができる問題を出題するようにしています。
最近だと大問1は生物の問題が多いですね。次に化学の問題、そして地学、物理といった具合に展開していきます。ページ割りの関係や最初に取り組む問題として適当かどうかとかいう点を考慮して作成しますが、特に決めているわけではありません。

今回の設問が含まれた大問3ですが、最初に提示されている図1をもとに考えていけば問題が解ける作りになっていると思います。生徒はどれくらい図1を頼りに取り組んでいけたのかは気になりました。

白兼先生 実際には後半に行くほど正解率が低くなっているわけではなく、問題中の図を使って考えたり自分の知っている知識を応用して考えたりと、受験生もさまざまな方法を駆使して難しい問題にもアプローチしてくれていたと思います。
最後まで解答しなかった受験生はそれほど多くなかったと思います。むしろ大問3の1の白夜なような問題のほうが書けていない児童が多かった印象です。

横浜雙葉中学校 理科室(物理室)

横浜雙葉中学校 理科室(物理室)

記述ではスケッチ問題も出題

記述問題も毎年出されていると思いますが、今回大問1のメダカに関しての問題の中に記述がありました。こちらは先生方が望まれた回答は書けていましたか?

白兼先生 問題はヒレの大きさや切れ込みなどの特徴的な違いを解答できるかを確認したいものでしたが、多くの受験生がよく特徴をとらえて書けていたと思います。

実際の中学の授業でも生徒に教えていることですが、スケッチについては画力や見たものを忠実に模写することだけでなく、相手に伝えたいポイントをいかに明確にかいているかといった点を重視しています。

子供たちはスケッチすることにあまり慣れていなかったりすると思います。この手の問題を出題したりするととんでもない絵が出てきたりすることもありますが、この問題を記述で問う面白さもあるんだなと感じました。

横浜雙葉中学校 掲示物

横浜雙葉中学校 掲示物

インタビュー2/3

横浜雙葉中学校
横浜雙葉中学校1872(明治5)年、創始者である幼きイエス会のマザー・マチルドが来日、横浜で教育活動を開始した。1900年に横浜紅蘭女学校を開校。その後、1951(昭和26)年に雙葉、1958年に横浜雙葉と校名を変更して現在に至る。2000(平成12)年には創立100周年を迎えた。
「徳においては純真に 義務においては堅実に」を校訓に、一人ひとりが自分を積極的に表現し、他の人と心を開いてかかわり、能力や資質を磨いて社会に役立てようとする「開かれた人」の育成を心がける。そのために「開かれた学校」を目指し、21世紀をたくましく生きるための知性と精神を伸ばす教育が行われている。
横浜港を見下ろす中区山手町のなかでも、最も異国情緒あふれる一角に位置する。隣接の修道院跡地に、聖堂・視聴覚室などを備えた高校校舎と特別教室があるが、2003年には図書館やITワークショップなど、最新の情報技術やグローバル教育に対応した新校舎が完成。
45分×7時間授業で、主要教科は、男子の難関進学校なみに内容が濃く、進度が速い。特に英語はテキストの『プログレス』を軸に、中1から少人数の週6時間の授業や、外国人教師による英会話の授業など、非常に意欲的。数学は中1から数量と図形に分ける。中3から英・数は習熟度別編成となる。2期制なので、1年間は42週と公立中学の3学期制・35週より多い。定期テストは年4回だが、「小テスト」は随時各教科で行い、進度が遅れぎみの生徒には指名による補習も行う。高2から文系・理系に分かれ、幅広い選択制で進路に柔軟に対応。毎年東大に合格者を出すほか、難関私大にも多数の合格者を出している。医療系への進学者が多い。中3~高2の希望者にフランス語講座がある。
学校週5日制。年間を通じて朝の祈りやさまざまなミサ、講演会などといった宗教行事も多い。文化祭をはじめ多くの活動が、運営される生徒会を中心に計画される。クラブ活動は、文化部が20、運動部5のほか、聖歌隊、ボランティアを行うTHE EYESという団体がある。テニス部、新聞部は全国大会にも出場する実績を誇る。しつけに厳しいといわれるが、教師たちは服装や持ち物検査は行わず、生徒たちが自分でけじめをつけて行動するよう求める。制服はジャンパースカート。2002年から夏の準制服が登場。ブラウスは白と青、スカートは紺とチェックの2タイプずつで、組み合わせ自在。2023年からは、スラックスも導入され、動きやすいと生徒にも好評。中3から高2の希望者が韓国、シンガポール、マレーシア、アメリカ、オーストラリアなどを訪れ交流するプログラムが続けられている。