今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!
普連土学園中学校
2024年06月掲載
2024年 普連土学園中学校入試問題より
- 問題文のテキストを表示する
日本語には、単語の前や後にことばを加えることで、ニュアンスや状態を詳(くわ)しく説明できる「接頭語」「接尾(び)語」というものがあります。
(問)次の①〜⑤の単語の前に加えられる接頭語を後の語群から選んで、下の説明文に合う言葉を作り、すべてひらがなで答えなさい。
(例)
むずかしい(難しい)【「わずかに、少しだけ」の意味を加える】
こ+むずかしい→(答え)こむずかしい
- ①こころ(心)【「本当の」「完全な」の意味を加える】
- ②そこ(底)【ものごとを強調する】
- ③ふとい(太い)【「並でない」の意味を加える】
- ④ほそい(細い)【程度や状態を強める】
- ⑤かぞく(家族)【尊敬の気持ちを加える】
<語群>
おかごずどどんま
中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この普連土学園中学校の国語の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)
解答と解説
日能研による解答と解説
解答
- ①まごころ
- ②どんぞこ
- ③ずぶとい
- ④かぼそい
- ⑤ごかぞく
解説
- ➀「本当の」「完全な」という意味を持つ接頭語、「ま」を「こころ」に加え、「まごころ」という言葉を作ります。「まうえ」や「まよなか」などでも使われています。
- ➁ものごとを強調する接頭語、「どん」を「そこ」に加え、「どんぞこ」という言葉を作ります。「どん」は「どまんなか」などの「ど」をさらに強めた言葉とされており、「どんづまり」などの言葉でも使われています。
- ➂「並でない」の意味を加える接頭語、「ず」を「ふとい」に加え、「ずぶとい」という言葉を作ります。「ずぬける」などの言葉でも使われています。
- ④程度や状態を強める接頭語、「か」を「ほそい」に加え、「かぼそい」という言葉を作ります。「かよわい」などの言葉でも使われています。
- ⑤敬意を加える接頭語、「ご」を「かぞく」に加え、「ごかぞく」という言葉を作ります。
「ごりょうしん」や「ごあんない」など、たくさんの言葉で使われています。
- 日能研がこの問題を選んだ理由
単語の前に加えることで、ニュアンスの違いを生み出したり、状態を詳しく説明したりする「接頭語」に関する問題です。【 】の中に示された意味を持つ接頭語を加えて、言葉を答えていきます。
大人にとっては、ふだんからよく使っている言葉であるがゆえに、その一部が「接頭語」であることを意識していないものもあるかもしれません。「ご家族」の「ご」や「ずぶとい」の「ず」などはその一例と言えるのではないでしょうか。一方で、子どもたちにとっては、「そういう言葉だ」と覚える対象になってしまっているものや、なじみのない言葉がふくまれているかもしれません。「どん底」という言葉は小学生ならば一度はふれたことがあると思われますが、それが「どん」と「底」を合わせた言葉であることは、この入試問題を通して初めて出あい、言葉の面白さを感じながら試験に臨んだ、という子どもも少なくないのではないでしょうか。
学校側から示される「接頭語」の意味を読み、ひらがな1文字や2文字の部分にこめられた意味の豊かさを、大人も子どもも考えたり感じたりできる問題です。「わかりやすさ」「明確さ」が大切にされる世の中において、「ニュアンス」というものに目を向け、言葉を丁寧に選ぶこと、言葉を大切に使うこととはどういうことなのか、一緒に考えてみようという、学校からのメッセージが感じられます。
このような理由から、日能研ではこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにしました。