シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

光英VERITAS中学校

2024年05月掲載

光英VERITAS中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.身の回りの数を算数的に見てみよう

インタビュー1/3

日常の中に算数・数学のネタがある

村越先生 私は身の回りから算数・数学につながるような作問を心がけています。例えば、自宅から学校までの道のりでは何回か信号に引っかかります。たまたま全く引っかからない日があったら、それはどれくらい珍しいことなのかを考えるのは、まさに算数・数学(最小公倍数や確率)を考えることになります。何気ない日常の中に算数・数学のネタが至るところにあります。この問題は自宅でカレンダーを眺めていて思いつきました。
普段から入試問題の題材になるものはないかとアンテナを張っていて、旅先で観光オブジェを見かけたら、「この形から、立体図形の問題が作れないか?」と発想します。そんなふうに周りを眺めると日常が楽しくなります。受験生にもそうした見方ができるようになってほしいなという思いから、この問題を作りました。

数学科/村越 靖弘先生

数学科/村越 靖弘先生

正答率7%の難問。難しい問題を出す意味とは

この問題の出来具合はいかがでしたか。

村越先生 正答率は7%でした。かなり難しかったと思いますが、難易度が高いチャレンジ問題なので、正答率が低いのは予想通りでした。
中には“たまたま”正解したケースがあったかもしれません。無答が少なかったのは、自信が無かったとしても何かしら書いておこう、……という意欲の表れではないでしょうか。誤答の傾向は特になく、さまざまでした。

難しい問題をあえて出す意図を教えていただけますか。

村越先生 試験時間内にこの問題を解ききれる受験生は少ないだろうと思っていました。それでも「おもしろそうだな」と思ってくれるのではないか。やってみよう、試行錯誤してみようとする力も問うています。
入試問題は持ち帰りできるので、「こんな問題が出たよ」と家族と話したり、再度チャレンジしたりしてくれたらうれしいですね。難しくても受験生にとって気になる問題になるよう意識しています。

光英VERITAS中学校 校舎内

光英VERITAS中学校 校舎内

場合分けをして考える「整理する力」が大切

この問題が解けるお子さんはどんな力があるとお考えですか。

村越先生 試行錯誤する力や、日ごろから物事を算数的・数学的に見ようとする力があるお子さんは解けたのではないでしょうか。
もう一つ付け加えるなら「整理する力」でしょうか。この問題は場合分けをして解いていく問題です。1月の場合、2月の場合、……というように場合分けをして整理して考えていくので、抜けがなく順番通り数えられる力が必要です。
整理する力を言い換えると、ゴールから逆算して考える「物事を見通す力」でしょうか。この問題を365日すべて考えたらきりがありません。月は12月まで、3倍だから4月までを考えればいい、5月以降は考える必要がない、同様に日も10日までと気づけることが大事です。

当てはまる数を試しながら途中で規則性に気づけるかどうか。闇雲ではなく、ということですね。

光英VERITAS中学校 礼法室

光英VERITAS中学校 礼法室

インタビュー1/3

光英VERITAS中学校
光英VERITAS中学校1933年4月10日、川並香順・孝子夫妻が東京市大森区新井宿(現・東京都大田区)に、「聖徳家政学院」と「新井宿幼稚園」設立。当時、社会福祉や民生の仕事に取り組んでいた川並香順先生は、社会的に軽視され、その内容も形式的でしかなかった女子教育・幼児教育に改革の必要性を強く感じていた。その後1983年に現在の地に開校し、2021年に中学校、高等学校を共学化、校名を光英VERITAS中学校・⾼等学校に改称した。
建学の精神である「和」を教育理念とし、この「和」を「独自性を発揮し協力し合うことで共に成長する人間になる」とする新たな解釈のもと、人間教育を基盤としながら常に先進的な教育に取り組む。「答えを求める学びから問いを持つ学びへの変革」を合言葉に、「地球規模で考え、人・社会・自然に貢献する次世代リーダー」を育成。探究的な学びを軸とする「VERITASトルネードラーニング(学校教育全体で取り組む連鎖的探求学習)」によって自己省察力、構想力、課題克服力等を高め、地球的課題解決に貢献する人材を育成しその成果を発信していく。
とにかく教育に関する施設が大変充実している。教育理念に通じる礼法室は2つ完備。小笠原流礼法の授業を通して、日本文化も深く学ぶことができます。「洗心の間」で心を落ち着けてから礼法の授業に臨む。秋には、庭園の紅葉が目を楽しませてくれる。図書館の蔵書は約65,000冊。Wi-Fi完備で自習やグループ学習もできる。「奏楽堂」は木のぬくもりに満ちた空間。コンサートや集会を行う。250mトラック、野球練習場があり、特に天然芝のゴルフ練習場は一見の価値あり。体育室も3室あり、特に第1体育室は、公式バスケットボールコート2面を優に取れる広々とした空間。全校集会や行事でも使用している。ソーラーパネルで水温を管理する温水プールも完備。
2020年秋に改装オープンした「カフェテリア」は、生徒が自分の食べたいメニューを選んでトレーにとって座席に座るスタイルの食堂だ。おにぎりやパン類を販売する売店もあり、教室に持ち帰って食べることもできる。2000人以上収容可能な広大なスペースで、精算はすべて交通系ICカードを利用しており、直接現金に触れることがないので衛生面でも安心。食に関する様々な情報を掲示板やテーブル上に提示し、世界の食文化や栄養バランス、食材の知識やフードロスをはじめとする食品を取り巻く環境問題についても学べる場になっている。