シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

開智中学校

2024年04月掲載

開智中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.卒業後も、探究心を持った人に育ち続ける

インタビュー3/3

卒業後も探究心をもって学び続ける人に育ってほしい

中高の理科を通して、どんな人に育ってほしいですか。どんな力をつけて卒業してほしいですか。

久保先生 僕たちには、生涯学び続けることができる力を育ててあげたい、という思いがあります。大学に進学後も、探究は続いていくと思うからです。東京大学で芋の研究をしている卒業生は、いつも「世界の食糧問題を救うのは芋だ」と言っています。世界中を回って芋の研究をしています。僕らも大学までいろいろ勉強しましたが、仕事をし始めると、まだまだたくさん勉強することがある、と感じます。いろいろなことを学びながら、自分の仕事を築いていくと思うので、知りたい、という気持ち(意欲)や、知りたいと思った時に、それを知ることができるスキルを育てることが僕たちの仕事なのだろうと思っています。ですので、卒業後はぜひ自分が興味を持ったものをとことん追求していく、探求者に育ってほしいと思います。

開智中学校 実験室

開智中学校 実験室

好きなことをたくさんやってきてほしい

来年の入試に向けて、一生懸命学んでいる子どもたちと、その保護者に大事にしてほしいことなど、メッセージがあればお聞かせください。

久保先生 本校としては、自分の好きなことを持つというのが最終目標だと思っていますので、好きなことをたくさんやって入って来てもらいたいなと思っています。実験にしても、本当にそうなるのかな?と思いますよね。本当にそうなった時に、やはり新鮮な驚きがあって、生徒たちは素直に表現してくれます。例えば中1の理科は、「光の性質」から始まるのですが、塾で学んだことが、実際に実験してみたら同じようになった、と喜ぶ生徒がすごく多いです。

塾ではどうしてもテキスト中心の学習になりますからね。中学校に入って実証することができたら、勉強してきてよかったな、と思うのではないでしょうか。

久保先生 やってみたら、実はそうならなかった、という実験もあるんですよね。それはそれでおもしろいのです。授業中に、生徒に自由を与えるとすごく盛り上がります。例えば、「光の性質」で最初に学ぶ「反射」では、分度器を使って、2つの反射角が等しいかどうかを確かめます。その際に、「本当にいつでも等しいのかな」と聞くと、生徒が「えっ!?」となります。そこで「この教室内にあるものは何でも使っていいから、自分で確かめてごらん」と言うと、「曲がっているものは違うんじゃない」などと考えて、チャレンジしていくのです。

開智中学校 実験プリント

開智中学校 実験プリント

インタビュー3/3

開智中学校
開智中学校1997年に岩槻に開校して以来、「平和で豊かな社会を作ることに貢献できる、創造型・発信型の国際的リーダーの育成」を教育理念とし、探究型の学びを中心とした新しい学習のあり方を模索し推進している。
岩槻キャンパスの自然豊かな敷地にある一貫部棟校舎は中央に5階までの吹き抜けがあり、開放的な空間となっている。その一階部分にはテーブルが複数置かれ、生徒たちが自習やミーティングなどで使用している。蔵書3万冊を超える図書室、広大なグラウンド、バスケコート二面がとれる体育館のほか、ステージ発表や講演などが行われるホールが複数あり、自習室にはブース式の学習スペースが140席程度用意されている。昼食は中2まで弁当持参だが、希望者には給食弁当もある。中3からは食堂などが利用できる。
入学時に入学者自身が自らの志望に応じてIT(目標の大学が決まっている人のコース),MD(医療従事者を目指す人のコース),GB(グローバルな仕事を志望する人のコース),FD(志望をこれから考えたい人のコース)の4つのコースのいずれかを選択する。加えて、全員がS特待生で構成される「創発クラス」を2024年度入学から設置。創発クラスでは数学の特別授業「ガウス数学チーム」など各教科でより発展的な授業を展開する。この4コース制と創発クラスは高1までで、高2からは志望大学別のクラス編成となり、医学部を目指す医系クラスも設置される。高2からは放課後の特別講座が開始され、生徒の多くが塾や予備校に頼ることなく難関大学への進学を目指す。さらに国際バカロレアのディプロマ・プログラムの候補校ともなっており、2025年4月以降はこの資格を利用しての海外有名大学への進学も視野に入る。
開智の教育の核となる探究活動は、中1から生徒全員が個人のテーマを決め、疑問・仮説・検証・結論のサイクルを何度も繰り返し、考察を深めていく。毎年行われる探究発表会ではポスター発表、スライド発表など様々な方法で生徒全員が発表を行う。フィールドワークは、中1は磯、中2は森で「はかる」「くらべる」をテーマにグループワークを行う。中3は関西をフィールドとして地域調査を行う。高1では首都圏で個人の探究テーマに関わる調査を実施し、高2ではイギリスの大学で現地の大学生を相手に探究の成果を発表する。中2~高1の希望者対象にオーストラリア・アメリカ・シンガポールなどへの語学研修もある。
生徒の自主性を重んじる校風で、生徒主体で作られた委員会や部活動もある。それ以外でも生徒の自主的な活動が活発で、SDGsなどの活動も盛ん。部活動は運動部18、文化部12、同好会1。ディベート部や文芸部かるた部門などは全国レベルでの活躍もある。