出題校にインタビュー!
東邦大学付属東邦中学校
2024年03月掲載
東邦大学付属東邦中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
3.生徒が苦手とすることをしっかりサポートするのが教員の使命
インタビュー3/3
数学科の先生として、将来的に社会に出るまでにこういう力をつけてもらいたいといったものはありますか?
土田先生 数学的な道筋、数学の問題で言えば解へ向かう道筋をつけることは身につけておいてほしいです。必要なことは議論しつつ、必要のないことをそぎ落として一番スマートな回答を目指す。最適解に向かっていく中で、必要のないことは誰しもができればやりたくないわけで、いろんな経験をしながら最短ルートで目標に向かえるようになってほしいですね。
クラスには数学が人より得意な子もいると思いますが、そういった生徒には普段どのように接しているのでしょう?
土田先生 クラスに生徒が40人いる中、学年に1人か2人のハイレベルの生徒に焦点を当てた授業をしていくことになれば、他の生徒はおいていかざるを得ないこととなってしまうので、授業に関していうと最大公約数的なところで妥協しなければならない部分も当然あります。
その分数学が得意な生徒には、講習などで補足したり教員から個々に声をかけてみたりしています。常日頃からそういう子だけに目をかけて伸ばしていくのは正直難しい部分がありますが、本校は伝統的に「自分探し学習」を提唱しているので、できる子はどんどん進んで学んでいきますし、教員にも積極的に質問しにきてくれます。ですから、できる子が時間を持て余してしまうことはなく、自分で課題を見つけていく中、うまく我々教員を使ってさらに学びを高めている子がほとんどです。
御校の卒業生からよく「自分探し」という言葉を聞くのですが、何か御校の学びの根底にあるものなのでしょうか?
岡田先生 「自分探し」は本校での学びのテーマをあらわすキーワードとしてながらく掲げられてきました。いろいろな解釈ができる言葉であるとは思いますが、中高生である「今の自分」というよりも「将来の自分」を見つけ出そうとする姿勢を求める言葉であると考えています。
将来の自分の可能性をこう広げたいという生徒に対し、それを自分の力で歩んでいくようにサポートしていくことが私たち教員の役割だと思います。本人の苦手意識や食わず嫌いが邪魔をする時もありますしね。
もちろん、本校はもともと個性豊かな生徒さんが集う学校ですので、友達を見て「こんな考え方もあるんだ」という発見や気づきを得て自分の可能性を探せる日常があります。「自分探し」という言葉は、実は「他者理解」が根底にあるのではとも思っています。
広報部長/岡田 美秀先生
脈々と受け継がれる建学の精神「自然・生命・人間」
健学の精神で掲げられている言葉「自然・生命・人間」についても少し教えてください。
岡田先生 3つの言葉どれも抽象度の高い言葉ですよね。はっきりとしたイメージが捉えにくい理念であるかもしれませんが、「広い世界観」を唱えるものであることは確かです。具体的な生徒像や人物像は謳わずに、ただこの「広い世界観」だけ。生徒ひとりひとりは何者であってもいいと読みとることもできるのではないでしょうか。まさに本校の伸びやかな校風をつくり出す建学の理念であるとも感じています。
ただ、「自然とは何か 生命とは何か 人間とは何か」と問うことのできる人物像が求められる理念であるとも言えます。様々な科学的視点から多角的にアプローチできる人物像です。多少苦手意識があることでも一生懸命取り組もうとするお子さんに入ってきてもらいたいですね。
最後に東邦中学を目指す生徒に対してぜひメッセージをお願い致します。
岡田先生 中学受験は重要な節目ではありますが、まだまだ学びの途中でもあります。学びにゴールはありません。中学生になってからの方が深い学問の世界が待ちかまえています。探究心旺盛な方々が集う学校であり続けたいですね。「なぜ?」「どうして?」を大切にできる方々のご入学をお待ちしています。
入試問題にもそのメッセージは込められています。本校の入試はどれも4科で実施していますが、得意な科目は興味や関心をどんどん広げて、そして、苦手な科目でも基礎を大切にしながら日々の学習に励んでください。皆様のご入学をおまちしております。
東邦大学付属東邦中学校 建学理念
インタビュー3/3