シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

和洋国府台女子中学校

2024年01月掲載

和洋国府台女子中学校の理科におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.大問5題のうち2題が会話形式

インタビュー2/3

文章全体をきちんと読むことを心がけよう

貴校の入試問題を見ると、リード文が会話形式の問題が5題中2題あるなど、読解力が試されていると感じます。受験生の読解力についてはどのように思われていますか。

天野先生 理科であっても国語的な読解力は基本となる力だと思っています。生徒を見ると、定期テストで問題集と似たような問題を出すと問題集通りの解答が見られることがあります。設問文もきちんと読まなければいけません。

会話文はその中に問題を解くヒントがあったりします。文章を読まないと答えられない問題も出しています。この問題は前置き文をきちんと読まないと正解できません。文中の下線部の周りだけを見て解くのではなく、全体をしっかり読んで解いてもらいたいですし、そうした出題を心がけています。
探究の授業に力を入れるようになり、教員が一方的に教えるのではなく、ペアワークやグループワークを積極的に取り入れて、生徒同士が学び合うようにしています。理科の授業でも生徒が前に出て発表することも重視しています。こうした授業が会話形式の入試問題に反映されているのだと思います。

和洋国府台女子中学校 掲示物

和洋国府台女子中学校 掲示物

算数的な計算力も身につけてもらいたい

天野先生 実験・観察を行うときには算数的な計算力も必要ですから、基本的な計算力も入試問題を作る上で大切にしています。
算数の計算力がないと理科の計算もつまずく傾向がありますね。本校の理科の入試問題の計算はちょっと面倒くさくて、何回か段階を踏む必要があり、途中でつまずくと答えにたどり着けません。リアルな数字、きれいに割り切れない数字を用いているので、少し手間がかかります。

化学ではモル計算がありますが、計算が即終わる生徒がいる一方、時間がかかってしまう生徒と両極端になっています。計算力の大事さを痛感します。

頭の中のことを視覚化する作図問題

作図問題も出していますね。

天野先生 出来具合は問題によります。2023年度入試はプロペラモーターと備長炭電池のつなげ方をかいてもらいました。電池には正極と負極があって、正極になるもの、負極になるものに導線をつなぐところがポイントです。それがわかっていない、あるいはわかっていてもポイントだという意識がなく、中途半端な線を引いていて採点に困るような答案がありました。
2022年度は水上置換を作図してもらいましたが、水上置換の問題なのに、気体を集める集気びんの中に既に気体が入っている図をかいた受験生がいました。頭ではわかっているのでしょうが、それを正確に答案に表現することができていないのかなと感じました。
どんなポイントを押さえれば過不足なく相手がきちんと理解できるか、作図問題は文章記述問題とは違うアウトプットの力を試す問題になっています。

和洋国府台女子中学校 掲示物

和洋国府台女子中学校 掲示物

文章記述は余計なことを書くと視点がブレる

文章記述問題の受験生の取り組み具合はいかがですか。また、理科として求めている文章記述力とはどのようなものですか。

天野先生 受験生は何かしら書こうとしてくれています。採点のポイントになるのは、まずキーワードを押さえているかどうかです。ただ、キーワードを書いていても「余計なこと」を書いている受験生が結構います。
余計なことが科学的に正しければ正解にできますが、余計なことを書いたことで科学的に正しくない文章になってしまったり、設問の意図から外れたことに言及してしまったりという解答は減点の対象になります。文章記述問題の採点は判断に迷う解答が多い印象です。
設問文を読んで、解答のポイントとなるところはどこなのか整理して解答するようにしましょう。

どんなことに気をつければいいでしょうか。

天野先生 自分の解答を読み返すといっても、表現として適切かどうか客観的に判断するのは小学6年生では難しいかもしれません。塾の先生や学校の先生、親御さん、友達に読んでもらって、自分の記述が第三者から見てどう見えるのかフィードバックしてもらうと、読み手に伝わる文章に近づけるのではないかと思います。

和洋国府台女子中学校 礼法室

和洋国府台女子中学校 礼法室

インタビュー2/3

和洋国府台女子中学校
411_和洋国府台女子中学校明治30年(1897年)和洋裁縫女学院を麹町区飯田町3-22(現在の千代田区富士見町富士見小学校前)が創設され、明治34年9月27日私立学校令により、私立和洋裁縫女学校と改称された。以後この日が創立記念となっている。「凜として生きる」を教育目標として明朗和順の徳性を涵養し、実験学習を重んじる学習と、徹底した生活指導に意を注ぎ、有為な日本女性を育成することを目的としている。
江戸川を望む緑美しい高台に広がる中・高・大連携キャンパスでは、講義や実習など様々な交流が行われ、和洋ならではの貴重な学びが展開される。最新設備が充実した校舎内には、季節の花などで優しい雰囲気を醸し出す。図書館は幅広い分野の書籍、約8万冊を所蔵する開架式。自習スペースとして利用される。体育館は2つのアリーナやトレーニングスペース、学生ホール(食堂)などを備える。体育館2階プレイルームは壁一面が鏡張りとなっており、ダンスの授業や部活動で使われる。体育館の1階には1年を通して泳げる温水プールがあり、水泳の授業や部活動に使われている。
英語の「和洋ラウンドシステム」では、同じ教科書を異なるアプローチで繰り返し学び定着を図る。英会話は、ネイティブの先生から少人数で学ぶ。隔年でイギリスとイタリアを訪れる海外文化研修では、異文化に触れ向上心を刺激する。理科の授業では、中学3年間で100項目の実験・フィールドワークを中心に行う「五感を駆使するサイエンス教育」を実践する。日常の生活に結び付いた探究の中で、生きた学力を身に着ける。
2023年度入学生より、新制服。伝統のセーラーのイメージは残しつつ、グレーのジャケットを採用。セーターなどのアイテムと合わせて、気温や生徒の個性に合わせた着こなしができるスタイルだ。セーラーブラウスは長袖、半袖があり、透湿性に優れた素材で快適に過ごせる。ジャケットスタイルに合う、スラックスも用意。白または紺のポロシャツとチェックのスカートを組み合わせた涼しげな盛夏服も採用された。