出題校にインタビュー!
明治大学付属明治中学校
2024年01月掲載
明治大学付属明治中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
2.大学に向けた学び、社会に向けた経験を大切にする、明確な教育方針が魅力
インタビュー2/3
授業でも自分の言葉で伝える機会が多い
授業の特色についてお話いただけますか。
金田先生 指導する教員によって、授業のやり方はいろいろあると思うのですが、生徒が発表する機会を設けている教員はわりと多いと思います。授業のなかで、グループで作業をしたり、書いたものをスピーチさせたりします。私も文章を読んでおしまいではなく、なんらかの形で自分の言葉で表現をする、ということをなるべく取り入れようと工夫しています。
どのくらい書くのですか。
金田先生 教員によりまちまちですが、私は原稿用紙2、3枚からですね。『坊っちゃん』の続編を書いてみよう」とか、「浦島太郎を小説にしてみよう」とか。そのような感じで投げかけます。素材があるので、生徒たちはそんなに悩みません。小説なので「誰の視点で書くかに注目して書いてみましょう」などと言うと、かなりおもしろいものが出てくることがあります。
教科書以外の教材も使っていますか。
内田先生 副教材として、教科書以外のテキストを使用している教員もいますし、自分でプリントを作る教員もいます。教科書の内容はしっかりやらなければいけませんが、自分の色を出したい、あるいは生徒に伝えたいメッセージがある時などに、そういう独自教材を使うことが多いです。そういう意味では、この作品で何を伝えるか、ということを意識している教員が多いと思います。
明治大学付属明治中学校 掲示物
大学受験を見据えた演習はなし
進学校とは違う学びができるのではないかと思います。付属校の特色という意味ではいかがですか。
内田先生 大学受験を見据えた演習は設けていません。受験にとらわれることなく、大学で学ぶ上で必要な力をじっくりつけていくことができるカリキュラムなので、高3でも1つの作品を精読したり、グループを作り、お互いに意見を出し合い、考えを深めたり、発表したりしています。各教員が「国語を楽しんでもらいたい」という気持ちを強くもって、授業に臨んでいると思います。
私が担当した2022年度の高3の現代文では、教科書に載っている森鴎外の『舞姫』を題材に、各自の解釈をグループごとにまとめさせて、全体で共有し、それぞれの解釈に対して「それはおもしろい」とか、「これは違うだろう」とか、意見を戦わせて、最後に私がそれらを回収してまとめるという授業を行っていました。比較的時間に余裕があるので、話が盛り上がれば「その続きを来週やろう」という形で、それぞれが納得するところまでひたすら読み続けました。
文学的な作品をとことん読み尽くす
内田先生 高3なので、語彙力にしても発表の仕方にしても、ある程度身についているので白熱するんですよね。「なぜ豊太郎はこのルートで下宿先に戻ったのだろう」というところにずっとこだわっている生徒がいたり、論文を示して主張や解説を発表する生徒がいたり。自主的に朝の読書会を行う動きもありました。なかには大学のゼミのような授業が成立しているクラスもあって、おもしろかったです。
どのくらいの時間をかけて行いましたか。
内田先生 『舞姫』に関しては定期試験の合間で行ったので、2ヵ月弱くらいです。『こころ』は文庫本を買ってもらい、上→中→下、また上巻に戻って…と、それも結構長いことやりました。中学生でそういう授業を行うのは難しいのですが、中学時代に土台作りをして、高校で発展的な授業をするという感じです。
それぞれの先生が、そのような工夫を凝らした授業をしているということですね。
金田先生 そうですね。もちろん「◯◯先生がおもしろい授業をやっている」と聞くと、「見に行ってみよう」ということがあったり、その授業で使っているプリントを共有したりと、お互いに刺激をもらうこともあるのですが、基本的には教員によってやり方が違うので、ヒントの1つとして自分の授業に活かすという感じです。
明治大学付属明治中学校 図書館
明治大学の推薦権を保持したまま国公立大学受験が可能
他大学を受験する生徒さんに対してはどのように対応されていますか。
内田先生 学校として受験対策用のコースを設けているわけではないので、自分で予備校に通う生徒が多いです。普段の授業にしっかり取り組んでくれていれば、受験にも対応できる力はつくはずだと信じて行っています。
学校行事として行う「本の紹介文」「作文」コンクール
国語科として大学と連携していることはありますか。
内田先生 文学部が「読書感想文コンクール」を行っているので、そちらに作品を出しています。生徒の作品を対外的に認めてもらう一つの機会として、任意で生徒から作品を募って応募しています。毎年何人かは賞をいただいています。
金田先生 毎年、課題図書が10冊くらい出て、そのなかから1冊読んで応募するというものです。生徒が任意で応募するのですが、受賞者が出ればやはり嬉しいですよね。
国語科での学びが、他教科を学ぶ土台になっているという認識はありますか。
金田先生 書くことについて重視している、ということで言うと、中1では「本の紹介文コンクール」、中2では「作文コンクール」を実施しています。これらは国語科ではなく学校の行事として学内で行われています。
「本の紹介文コンクール」は単に本の感想を述べるのではなく、本の紹介と、その本を読んだことにより、自分の考えがどのように発展したかを書きます。「作文コンクール」は、名称こそ「作文」ですが、意見文を書きます。新書の内容をもとにして、身近な社会問題や環境問題について考え、自分の意見を客観的に根拠をもって発信できるか、を審査するコンテストです。国語にとどまらず、社会や理科の分野にまで踏み込んでいくので、そういう行事を学校として行っているということに意義を感じます。「自分の意見を発信する」ということを重視している学校だと思います。
内田先生 担任がクラスの窓口になります。担任が生徒の原稿を集めて、目を通して、さらに上役の教員が読んで絞っていくという流れです。原稿用紙の使い方などは国語の授業で話をしています。いろいろな教員がかかわって行っています。
明治大学付属明治中学校 生徒作品
上手な発表に感心し、よいところを取り入れて成長中
小学校の作文(感想)から小論文(考え)へ、書く力をつけていくためのステップを意識していますか。
内田先生 国語科として体系立てたものを創り出しているわけではありませんが、最終的に英語の発表がありますし、高3で留学する生徒もいます。大学に行けばゼミで意見を求められます。そこを見据えて逆算すると、どの時期に何をやるべきか、ということが見えてきます。中学生のうちから基礎力をつけていかなければいけないということで、今の取り組みになっています。
授業のなかで主張の仕方を学ぶ機会はありますか。
内田先生 何も教えずにはできないので、その時々で教員が対応しています。ただ、生徒同士で学ぶことも多いです。上手な生徒がいて、そういう子は目立つので、自ずと真似をして次第にうまくなっていきます。
この文章もまさに主張の展開ですよね。そのあたりに入試と授業のつながりを感じますね。
内田先生 我々もいろいろなテーマで生徒に提示をするので、視野を広くもってほしいと思っています。今年度、私は中1と中3、2つの学年の授業を担当しています。中学校の入口と出口ですが、どちらにもそういう雰囲気があります。中1は子どもらしく、「おもしろい」「かわいい」など感覚的な発言をしがちですが、中3はもう少し論理的な、と言いますか。「今のスピーチはこうこうこういう理由でよかった」と言えるようになります。
肯定的な反応があると、言われた側は嬉しいので、次も頑張ろうという気持ちになりますし、発言していいんだという空気感が生まれます。そこは我々も大事にしているところです。
金田先生 誰かが発表した時に無言で終わらないのはいいですよね。生徒が自発的に拍手をしたり、声をかけたりします。私も生徒に発表させた時に、一言、何かを言おうと思っています。例えば俳句を作って、みんなの前で読み上げた際には、「わーっ」と生徒たちが喜び、私はコメントを言います。
生徒自身もだんだんわかってくるのですが、自分と違う意見は×ということではありません。自分とは違う意見を言う人がいても、それ自体が◯か×かではなくて、自分の意見をはっきり言えたということが大切なのだということを、普段から促しているところです。
明治大学付属明治中学校 図書館
インタビュー2/3
1912年に旧制明治中学校として神田駿河台の明治大学構内で開校した。戦後は、1947年の新制明治中学校、1948年の新制明治高等学校の発足に伴い、推薦制度による大学までの一貫教育の方針が確立された。2008年に調布市へ移転し、共学化。