シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

明治大学付属明治中学校

2024年01月掲載

明治大学付属明治中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.難しい語彙が並ぶ長文を理解しながら読める力をつけよう

インタビュー1/3

受験生が身近に感じられるテーマを重視

まずはこの問題の出題意図からお話いただけますか。

金田先生 今回は環境がテーマの文章(岡本裕一朗著『十二歳からの現代思想』)でした。近年の題材選びの傾向としては、受験生が身近に感じられるテーマの文章が多いように思います。例えば「スマートフォンやネットワーク」「人づきあいの悩み」「自分の心との向き合い方」「読書」など、テーマは多岐に渡ります。テーマが身近であることにより、受験生にとっては難しい文章ながらも、向き合うことができるであろうと考えています。

今回の文章は哲学的な内容ですよね。

金田先生 過去にも「日本語」や「美術学」「生きることについて」など、哲学的なテーマも扱っています。

文章が長いですよね。1万字以上あるのでは?

金田先生 そうですね。結果的にそうなりました。文章問題は、1題と決めているわけではありません。1題の年もあれば、2題の年もあります。漢字や慣用句などを問う言葉の問題が大問として独立した形で設けられていることもあり、その年々で柔軟に対応しています。

国語科主任/金田 由美先生

国語科主任/金田 由美先生

今回の問題は筆者の意見を読み取れるかが鍵

例年、記述問題が多いですね。

金田先生 今回の問題に限りませんが、入試は自分の意見を聞かれているわけではありません。筆者の意見を読み取らなければいけません。先入観で読んでしまうと、違う方向にリードされてしまうので、そこは気をつけなければいけないところだと思います。

内田先生 筆者がどういう考えに基づいて書いているか。それを的確に読み取る力を見る問題ですので、文中から言葉を抜き出すだけでなく、その言葉がどういう意味合いで使われているかも含めて書かなければいけません。ですから、筆者の考えに基づいて、適切な言葉を本文から抜き出してまとめられているかが評価のポイントになります。

採点のポイントは必要な要素がどの程度書けているか

記述問題の採点について教えてください。

金田先生 問いかけに対して適切な表現ができているか、というところまで見ていますので、文末表現が適切でなければ減点対象となります。

内田先生 聞かれたことに対して適切な返しができるか、は普段のコミュニケーションでも気にしているところです。

金田先生 ◯か×かではなく、必要な要素がどの程度書けているか、を評価できるように見ています。何か書けば点数がもらえる、ということではなく、答えとして整合性がある、ということが前提になります。

文章のなかで語句を問う意図を教えてください。

金田先生 言葉の知識については、大問として独立して問う時もあれば、大問1の長文のなかで問う時もあります。文章のなかで語句を問うのは、その言葉を知っている、というだけではなく、意味も覚えてほしいと考えているからです。
長文を読む力を問うことに力を入れていますが、それを苦手としている小学生もいると思いますので、説明会では「言葉の知識があれば、確実に点数が取れる問題も出しています。入試が迫ってきたなかでもあきらめずに言葉の勉強をしてください」とお伝えしています。

明治大学付属明治中学校 校舎内

明治大学付属明治中学校 校舎内

字数制限は求められている情報量の目安

記述問題も字数制限がある、ない、あるいは長文を求められるなど条件がいろいろです。意図について教えていただけますか。

金田先生 字数制限は「求められている情報量がそのくらいあるよ」という、受験生に対するメッセージです。ただ、字数を埋めても、そのなかに求められている情報が揃っていなければ正解にはなりません。逆に言えば、求められている情報を文中から拾っていけば、自ずと字数が埋まってくるであろうと考えています。ですから字数制限は、制限であると同時にヒントであると、とらえていただければと思います。

抽象的な表現の部分に傍線が引かれていることが多いと思いますが、それもきちんと読んでほしいというメッセージなのでしょうか。

金田先生 そうですね。抽象的であったり、比喩的であったりする部分を読む際には、本文中のどの部分を言い換えているか、何を言い表そうとしているのか、ということを読み取らなければ、答えにはたどりつけないと思います。

内田先生 これはこういうことを指している、というだけの答えでは、抽象的な表現を別の抽象的な表現に置き換えただけになってしまうと思います。

そうした単なる置き換えの答えはよく見受けられますか。

金田先生 はい。ですから「傍線部の直前だけを見ても答えは見つかりません。文章をしっかり読んで理解することを大切にしてほしい」ということを、説明会でもお話しています。

明治大学付属明治中学校 掲示物

明治大学付属明治中学校 掲示物

段落の関係性や文章の構造をつかもう

子どもたちは傍線部の前後に問題を解く手がかりがあると思いがちですが、接続詞の先、あるいはその先まで展開があるということを踏まえて視野を広げる読み方が必要ということですね。

内田先生 段落の関係性や文章の構造をつかめるとよいと思います。つまり全体を踏まえて、一部分を見ていくということですね。筆者の主張や考えにたどりつくには、それなりのプロセスがあると思うので、ここはしっかり認識しておかなければいけないよ、という部分に気づいてほしいという思いがあります。

金田先生 指示語も、先ほどの「傍線部の周辺だけではないよ」という話につながります。
例えば、直前の部分だけではすべてを示していない。それよりもさらに前にある部分を組み合わせなければ指示語の意味をすべてカバーしきれない、というものもあれば、時に傍線部の後ろに答えがある場合もあるので、受験生のなかには難しさを感じる子がいるかもしれません。

インタビュー1/3

明治大学付属明治中学校
明治大学付属明治中学校1912年に旧制明治中学校として神田駿河台の明治大学構内で開校した。戦後は、1947年の新制明治中学校、1948年の新制明治高等学校の発足に伴い、推薦制度による大学までの一貫教育の方針が確立された。2008年に調布市へ移転し、共学化。
明治大学への内進率は約90%で、国公立大学進学希望者は、明治大学への推薦資格を保持したまま併願可能。私立大学も併願受験の対象となる場合があるが、学部・学科ごとに条件が異なるため、受験には予め明治大学からの許可が必要。7時間目に週1回ずつ英・数の補習講座を設定し、ていねいに基礎力を固めている。高大連携教育にも力を入れており、大学の先生による「高大連携講座」や、長期休みを利用した法曹入門講座などの「高大連携セミナー」、大学の単位として認定される「プレカレッジプログラム」など、付属校としての魅力ある講座も豊富。
1450名収容のホール、2つの体育館、蔵書約7万冊の図書館など、充実した施設がそろっている。英語科教員が1冊ずつ読んで独自のレベル分けをした英語の多読本が約7000冊あり、積極的に活用されている。「質実剛健」「独立自治」という建学精神のもと、紫紺祭(文化祭)、体育祭、東京六大学野球応援、球技大会などの行事や、中学でほぼ100%、高校で90%以上の生徒が加入するクラブ活動も盛んである。