出題校にインタビュー!
駒場東邦中学校
2023年12月掲載
駒場東邦中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
3.高校生までは理想を掲げてほしい
インタビュー3/3
困難に立ち向かい前進する力を育みたい
先生 争いは今なお世界のあちらこちらで起こっています。ウクライナの問題もパレスチナの問題も、むなしさを感じずにはいられません。未来を担う子どもたちは、争いごとが絶えない世界とどのように向き合っていけばいいでしょうか。
もちろん平和な世界が望ましいのですが、この先も“平和な世界”の実現は、とても難しいことだと思います。けれど、そこで立ち止まるのではなく、どうすれば今より前に進むことができるか、よりよい世界にできるか、模索することが大切です。
私は高校生までは、正義や平和といった人類共通の普遍的な理想(夢)を思い描くべきではないかと思っています。授業でもそのことを意識しています。実現は困難だけれど、理想に向かって諦めずに進んでいくために、どうすればみんなで手を携えることができるか、そのためにどんな課題を解決しなければならないか、考え、行動できるようになってほしいと思います。
駒場東邦中学校 教室
生徒同士が話し合う場を積極的に設ける
理想を思い描けるように、どんな授業をされているのですか。
先生 公民・公共の授業では、いろいろな切り口で現実社会の課題を取り上げてグループで話し合い、自分たちの考えを発表してもらっています。
生徒はふだん、モヤモヤしたものを抱えていても友人と真面目な話を面と向かってするのはしづらいように感じているようです。そこはこちらが話題を振って、話し合いができる機会を設けるように心がけています。
最近では、エネルギーのベストミックスについて、政党を模してマニフェストの形で自分たちの考えを提示して、党首同士や教室全体で議論する公開討論会の授業を行いました。ついヒートアップして野次が飛び交うこともありますが、学校というみんなが学ぶ場で行うからこそ、ただ大人の真似をするのではなく、「よりよい議論の形を追求してみよう」と話しています。
生徒は話し合いが熱を帯びてくると、自分の印象で語りがちです。その根拠は何か、引用先は何か、なぜそう考えるのか、お互いに突っ込み合えるようでなければなりません。根拠のもととなる資料やデータときちんと“対話する”ことも社会科を学ぶ上で大切だと思っています。入試問題を地理・歴史・公民の分野ごとではなく分野融合で出題しているのも、そうしたねらいがあります。
駒場東邦中学校 掲示物
社会問題との距離が縮まる経験を積ませたい
中高6年間でどんなことを学んでほしいと思っていますか。
先生 リード文の最後の一文は、諦めずに対話していこうというメッセージを込めています。社会問題を解決するに当たっては、小学生も、中学生も、高校生も、大人と同等であり話し合うメンバーだと思っているので、一緒に考えてほしいと思います。
そのためには、物事を「自分ごと化」できるようであってほしいですね。関心のあることは、待っていても降ってはきません。自分ごと化するにはそれなりの知識や習慣が必要です。私は公民を教えていますが、地理や歴史と連携しながら知識の基礎づくりをしつつ、社会問題に向き合いながら自分ごと化できるように促しています。
現実にある問題を知り、実際に現場で体験したり、活動に携わっている人たちとの出会いがあったりすると、自分と社会問題との距離が縮まって社会と関わることが楽しくなると思います。やり甲斐にもなるでしょう。
成功体験の手応えや失敗体験での学び、みんなで話し合って「楽しかった」ということでもいい、そうした経験を中学・高校でどれだけ積み重ねることができるかで、卒業後が違ってくると信じて生徒に接しています。中高時代に話し合った経験があれば、社会人になったとき、課題解決の際に「話し合ってみよう」などのアクションを起こせると思います。
「対話」は駒東の文化。行事の多さも特徴
中学教頭 ここまでの社会科の話にあるように、本校は生徒同士、教員同士、また生徒と教員が日常的によく話し合って物事を決めています。決定までに時間はかかりますが、妥協せず、よいものにしようとベストを尽くしています。
対話は駒東の文化だと思います。教員は入試問題の作問にあたり何度も議論を重ねます。文化祭や体育祭も、幹部生徒や実行委員の生徒と教員が時間をかけて話し合いを重ねて方針を決定しています。
また、本校は行事が多いのが特徴です。学校全体の行事のほかに学年のイベントも多数企画されており、学年が上がるにしたがって学年の結束が強くなっていきます。
それだけに、これまでの3年間、コロナ禍で学校行事が思うようにできなかったことは、少なからず生徒諸君に影響を与えているかもしれません。現在、生徒諸君が行事やイベントでのびのびと夢中になって活動している様子を見ると、中学入学時から行事や部活動などが制限なく当たり前にできることは貴重なことだと改めて感じます。
コロナ禍を経験してきた生徒たちが、学校生活を通して、仲間と共に何かをすることに前向きになり、他者と協働する機会を数多く経験して、一段と成長してもらいたい。そのために、これからも我々教員もとことん生徒たちに付き合っていきます。
駒場東邦中学校 グラウンド
インタビュー3/3
1957(昭和32)年4月、東邦大学の理事長であった額田豊博士が、当時の名門・都立日比谷高校校長の菊地龍道先生を招き、公立校ではできなかった夢を実現させるため、現在地に中・高を開校。71年に高校募集を停止し、完全中高一貫教育の体制が確立した。2017(平成29)年に創立60周年を迎えた。