シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

駒場東邦中学校

2023年12月掲載

駒場東邦中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.基礎知識が備わっていることが前提

インタビュー2/3

文章記述は因果関係を明確に示す

2023年度入試は19問中、文章記述問題が4問出されています。小学6年生の段階で、社会科の文章記述力としてどんな力を求めていますか。

先生 因果関係が明確であることです。そこが曖昧だと次のステップに進めません。小学校で習う知識を土台に、条件に基づいて「○○だから××になる」というように、第三者が読んで理解できるような文章を心がけましょう。
ただ、それは実際には難しいことで、高校生でも語句(用語)で答えてしまって文章化できていません。高校生が徹底できないことを小学生ができるとは思っていません。それでも文章化しようとする姿勢が見える答案はきちんと評価するように配慮しています。

設問文の「~を参照して」「~と関連づけて」という文言に、因果関係を意識してほしいという意図が感じられます。

駒場東邦中学校 掲示物

駒場東邦中学校 掲示物

定型文そのままの解答が目立つ

受験生の文章記述の答案を見て気になることはありますか。

先生 これまでの傾向として、どこかで見たことがある定型文をそのまま書いている解答が見られました。「こう聞かれたら、こう答える」というような定型的な解答はしてほしくないので、根拠や因果関係を明確にするように作問しています。
模範解答を真似て文章記述の練習をしているのだと思いますが、同じテーマでも聞く角度が違えば解答は変わります。定型的な文章ではちぐはぐな答えになり、点数をあげられません。

駒場東邦中学校 図書室

駒場東邦中学校 図書室

基礎知識が備わってスタートラインに立てる

知識の習得と活用のバランスをどのように考えていますか。

先生 小学校で習う基本的な知識はしっかり身につけましょう。こちらは小学校の教科書で学べる「基礎知識はある」前提で作問しています。その上で、持っている知識をどれだけ活用できるかを試します。
入試問題で問えることは限られています。過去問で同じ事柄を取り上げていても違う角度から聞いています。一つの物事もいろいろな見方ができます。グラフで見るのと、地図や写真、イラストで見るとではまた違うことが見えてきます。一つの物事もいろいろな見方ができることに気づいてほしいという思いはあります。

大きな枠組みの中で知識のつながりを意識する

先生 必要な用語は暗記しなければなりませんが、単に覚えるだけでなく、用語が意味することを理解できなければ活用できません。意味がわかれば他の用語との関連性も見えてきます。そうすれば知識が有機的につながってきて、社会で起こっている出来事や歴史の一時代を立体的にとらえることができると思います。
そうはいっても小学生が持つ知識は限定的なので、そこまで期待するのはさすがに厳しいものがあります。高3でようやくできるかなというのが率直な印象です。

小学6年生の段階では、小学校で習った知識が大きな枠組みの中でどのように関連しているのか、イメージできるようであってほしいですね。例えば明治時代という大きな枠組みの中で、人物や出来事・事件が、歴史の展開の中にどのように配置されているか、教科書を読んで文脈をとらえられるといいなと思います。

駒場東邦中学校 掲示物

駒場東邦中学校 掲示物

リード文は受験生へのメッセージ

先生 2023年度入試のリード文には下線部がありません。リード文がなくても問題は出せるという考えもあるかもしれませんが、リード文は入試問題を解く上でどんなことを考えてもらいたいのか、本校のメッセージとして絶対に必要だと考えています。

2023年度入試は「人間の争いと歴史」がテーマです。争いは人間の歴史と切り離せません。このリード文は、「だからこそ、わたしたちは多くのことを学び、考え、理想を掲げて、諦めずに対話を続けてゆくことが大切なのではないでしょうか。」という一文で締めくくっています。本校に入学したら、いろいろなことを学び、考え、理想を思い描けるようになってもらいたいというメッセージを受けとめてくれたらうれしいです。
戦争・紛争は悲劇を生む一方、科学や技術の発展をともなうことも確かです。宇宙開発などの技術革新は軍事利用から誕生しているものが少なくありません。争いによってもたらされる別の側面にも目を向ける必要があります。

インタビュー2/3

駒場東邦中学校
駒場東邦中学校1957(昭和32)年4月、東邦大学の理事長であった額田豊博士が、当時の名門・都立日比谷高校校長の菊地龍道先生を招き、公立校ではできなかった夢を実現させるため、現在地に中・高を開校。71年に高校募集を停止し、完全中高一貫教育の体制が確立した。2017(平成29)年に創立60周年を迎えた。
神奈川、東京のどちらからも通学至便で、東大教養学部にも程近い都内有数の文教地区に位置。300名収容の講堂、6万9千冊の蔵書を誇る図書室、9室の理科実験室、室内温水プール、トレーニング室、柔道場、剣道場、CALL教室など申し分ない環境が整っている。職員室前のロビーには生徒が気軽に質問や相談をできるよう、机やイスを設置している。
先生、生徒、父母の三者相互の理解と信頼に基づく教育を軸に、知・徳・体の調和のとれた、科学的精神と自主独立の精神をもった時代のリーダーを育てることを目指す。年間を通じて行事も多く、とくにスポーツ行事などでは、先輩が後輩の面倒をよく見る「駒東気質」を培う。中1では柔道・剣道の両方を、中2・中3はどちらかを履修することになっている。
2004年から中学校では1クラス40名、6クラス編成に。「自ら考え、自ら行動する」習慣を身につけながら、各教科でバランスのとれた能力を身につけることが目標。英・数・理では特に少人数教育による理解の徹底と実習の充実をはかっている。中1・中2の英語と理科実験は分割授業。数学は中2(TT)・中3(習熟度別分割)・高1と高2(均等分割)の少人数制授業を行う。英語は、深い読解力をつけるために中3~高3までサイドリーダーの時間を導入。さらに高3ではネイティブ指導のもと自分の考えを英語で表現するコンプリヘンシブ・クラスなど独特の指導も展開している。文系・理系に分かれるのは高3になってから。中学生は指名制、高校生は希望制の夏期講習を実施する。
濃紺の前ホック型詰襟は、いまや駒東のトレードマーク。伝統的に先輩・後輩の仲がよく、5月中旬の体育祭では全校生徒が4色の組に分かれ、各色、高3生の指導の下、一丸となって競い合う。9月の文化祭は、多くの参加団体と高校生約200名で構成される文化祭実行委員会によって、一年かけて準備される。中学では林間学校、鎌倉見学、奈良、京都研究旅と探究活動が充実しており、高校の修学旅行は生徒によって毎年行き先が決められる。クラブは文化部16、体育部16、同好会15があり、兼部している生徒も多い。中学サッカー部・軟式野球部・アーチェリー部・囲碁部・陸上部・化学部・模擬国連同好会などは関東大会や全国大会に出場。アメリカ・台湾への短期交換留学制度もある。