シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

駒場東邦中学校

2023年12月掲載

駒場東邦中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

1.ウクライナ問題に触れないわけにはいかない

インタビュー1/3

未来を担う子どもたちも考えてほしい国際問題

先生 2023年度入試は、ロシアのウクライナ侵攻について触れないわけにはいかない、というのが出発点でした。ウクライナの問題は授業でも説明に悩む難しい問題です。一方で、一度扱えば生徒は真剣にとりくみ、議論できる機会を求めていたのだなと感じます。このように答えが1つではない話題は、生徒に振っていっしょに考えるのがよいと思っています。生徒の意見を聞いて、こちらが気づかされることもあります。
一筋縄ではいかない難しい問題だからこそ、小学生がどのように考えるか突っ込んで聞いてみようと思い、この問題を作問しました。

先生 今年はウクライナ関連のニュースが日々報道され、秋以降はパレスチナ問題が連日取り上げられている状況です。遠い異国の出来事ですが無関心ではいられません。私たちは傍観者としてただ見ているだけでいいのか、それではいけないと、みんなが認識しなければならない問題だと思います。
この問題を巡って国際社会は意見が割れています。私たちはどのようにこの問題をとらえればいいのか、将来こうした問題に直面する子どもたちも含め、みんなで考えてもらいたいと思っています。

駒場東邦中学校 校舎

駒場東邦中学校 校舎

ゼミのようなテーマを入試問題に落とし込む

外交と軍縮・軍拡という難しい問題を小学生に解いてもらうために、どんなことを意識し、工夫されましたか。

先生 大学のゼミのように、一定の人数が集まって話し合うには取り上げたくなるテーマですが、入試問題にどうやって落とし込んで点数化するか、繰り返し議論しました。特に小学生が考えやすいように表現をシンプルにすると、どうしても誤解や不正確なところが出てきてしまいます。最終的には両国の選択の組み合わせと結果を表にして、知識の有無ではなく、表から読み取って考える問題にできたと思います。
この問題は「表から読みとれること」を聞いていますから、正解するには情報を読み取る力が必要です。解答のスタートとなる資料の読解は大切です。本校の入試問題のほとんどは何かしら資料を提示しています。与えられた資料から何が読み取れるか、そして、それを根拠に論理的に考える思考力が試されます。

駒場東邦中学校 校舎

駒場東邦中学校 校舎

核の抑止力という次の問題を考えるヒントに

この問題の出来具合はいかがでしたか。

先生 ある程度想定はしていましたがとてもよくできていました。
現実的な国家間の争いについて考えてもらいたかったので、核の抑止力について聞いた次の問題の解答につなげる意味で、この問題はベースとして正答率は高くてもいいと考えていました。

ちなみに、核の抑止力に関する文章記述問題の取り組み具合はいかがでしたか。

先生 採点した手応えはとてもよかったです。「この問いにはこの答え」というインプットされた定型文句が並ぶことはなく、的外れな、観点がずれた解答はほとんど見られませんでした。
リード文や設問文から読み取ったことを自分なりに考え、それを何とかして伝えようとする形跡が見られ、非常に頼もしく感じました。受験生には粘り強く問題に取り組む姿勢を大事にしてもらいたいと考えています。

駒場東邦中学校 掲示物

駒場東邦中学校 掲示物

インタビュー1/3

駒場東邦中学校
駒場東邦中学校1957(昭和32)年4月、東邦大学の理事長であった額田豊博士が、当時の名門・都立日比谷高校校長の菊地龍道先生を招き、公立校ではできなかった夢を実現させるため、現在地に中・高を開校。71年に高校募集を停止し、完全中高一貫教育の体制が確立した。2017(平成29)年に創立60周年を迎えた。
神奈川、東京のどちらからも通学至便で、東大教養学部にも程近い都内有数の文教地区に位置。300名収容の講堂、6万9千冊の蔵書を誇る図書室、9室の理科実験室、室内温水プール、トレーニング室、柔道場、剣道場、CALL教室など申し分ない環境が整っている。職員室前のロビーには生徒が気軽に質問や相談をできるよう、机やイスを設置している。
先生、生徒、父母の三者相互の理解と信頼に基づく教育を軸に、知・徳・体の調和のとれた、科学的精神と自主独立の精神をもった時代のリーダーを育てることを目指す。年間を通じて行事も多く、とくにスポーツ行事などでは、先輩が後輩の面倒をよく見る「駒東気質」を培う。中1では柔道・剣道の両方を、中2・中3はどちらかを履修することになっている。
2004年から中学校では1クラス40名、6クラス編成に。「自ら考え、自ら行動する」習慣を身につけながら、各教科でバランスのとれた能力を身につけることが目標。英・数・理では特に少人数教育による理解の徹底と実習の充実をはかっている。中1・中2の英語と理科実験は分割授業。数学は中2(TT)・中3(習熟度別分割)・高1と高2(均等分割)の少人数制授業を行う。英語は、深い読解力をつけるために中3~高3までサイドリーダーの時間を導入。さらに高3ではネイティブ指導のもと自分の考えを英語で表現するコンプリヘンシブ・クラスなど独特の指導も展開している。文系・理系に分かれるのは高3になってから。中学生は指名制、高校生は希望制の夏期講習を実施する。
濃紺の前ホック型詰襟は、いまや駒東のトレードマーク。伝統的に先輩・後輩の仲がよく、5月中旬の体育祭では全校生徒が4色の組に分かれ、各色、高3生の指導の下、一丸となって競い合う。9月の文化祭は、多くの参加団体と高校生約200名で構成される文化祭実行委員会によって、一年かけて準備される。中学では林間学校、鎌倉見学、奈良、京都研究旅と探究活動が充実しており、高校の修学旅行は生徒によって毎年行き先が決められる。クラブは文化部16、体育部16、同好会15があり、兼部している生徒も多い。中学サッカー部・軟式野球部・アーチェリー部・囲碁部・陸上部・化学部・模擬国連同好会などは関東大会や全国大会に出場。アメリカ・台湾への短期交換留学制度もある。