シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

富士見中学校

2023年12月掲載

富士見中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.問題に立ち向かい、解けた時に感じる算数の楽しさを感じてほしい

インタビュー3/3

4年前から算数1科の入試を導入

算数1科の入試を実施していると思います。やはりその入試で突破した生徒さんが、数学をリードしている印象ですか。

中野先生 算数1科の入試を始めて4年になります。今の段階では1科入試で合格した生徒が数学のリーダーになりがち、という傾向は特に見られません。ただ、その生徒たちが高校生になって、抽象的な数学を学ぶようになった時にどう伸びるか。それはこれからなので、注目しています。

先ほど、先生により教え方が異なるということでしたが、生徒さんの受け止め方で感じる部分があれば教えてください。

中野先生 最低限のベースとなるところは、その学年を担当する教員で共有していると思います。ただ、授業の進め方や解法などについては、それぞれの教員のアレンジがあり、そこは結構自由にしていると思います。
以前は授業見学を行っていました。2022年度は、学期末に教科会(週1回)の中で授業や教員によるグループ活動の成果報告などを話して、共有しました。

富士見中学校 センターホール

富士見中学校 センターホール

失敗をしても自分でリカバーできる女性になってほしい

先生方は生徒さんにどのような大人になってほしいと思っていますか。

中野先生 私は、失敗しても、その失敗を自分でリカバーできる女性になってほしいと思っています。算数や数学で答えを間違えてしまっても、「どうしてうまくいかなかったのだろう」「これを変えたらうまくいくかな」などと自分の解法を振り返って、考え直して、ゴールにたどりつける女性になってほしいです。

そのために工夫していることはありますか。

中野先生 中学1年生の最初の授業で、「間違えない人はいない」「間違えても問題ない」ということを伝えています。誰かが間違えたことは、他の誰かも間違えています。授業で間違えてくれれば、なぜ間違えたのか、をみんなで考えることができるので、良い間違いをしてくれるとありがたいです。

よく、高校生になると反応が薄い、という話を聞きますが、貴校ではいかがですか。

栗谷先生 たしかに中1は問題を板書して、質問すると、多くの生徒が答えてくれますが、学年が上がるにつれて反応は薄くなります。

中野先生 そうですね。質問をしに来る生徒はたくさんいますが、教室での発言は少なくなる傾向はありますね。

栗谷先生 授業の中で質問してくれる生徒がいると、進展させやすいですよね。誰も発言してくれなくなると一方的な授業になりがちになるので、そういう雰囲気を感じたらグループワークを取り入れて、わからないことを出し合って解決していくということをしています。生徒同士で話してもわからないところがあれば、こちらに質問をしてくるという流れをつくれるように意識しています。

富士見中学校 和室

富士見中学校 和室

数学力は物事の本質をとらえる力につながる

栗谷先生は生徒さんにどのような女性に育ってほしいと思っていますか。

栗谷先生 社会問題にしても、身近な現実的な問題にしても、本質をとらえることが大切です。私は、数学の問題を解くのと同じイメージを持っていて、数学の力をもって問題や課題に臨めば、本質をとらえることができるのではないかと考えています。そのためには数学が得意とまではいかなくても、好きであってほしいのです。

なるほど。数学は本質をとらえる学問ということですね。

栗谷先生 今日の授業では「平方数の和」がテーマでした。1の2乗+2の2乗+3の2乗+4の2乗+5の2乗はいくつになるか、ということを学習したのですが、少し工夫をするとおもしろい計算ができます。そうした具体的なところから、1からnまでにしたらどうなるか、というように一般化していくと、かなり本質的な部分をつかむことになるのではないかと思います。
数学を学習しながらそんなことを思っている人はなかなかいないと思います。思わなくてもいいと思うのですが、社会へ出た時に、こういう本質的なところを見るということを考えて意識できればいいと思います。
数学の定理は何百年、何千年、という月日をかけて明らかになってきたものなので、それをすんなり受け入れることができる人はほとんどいません。腑に落ちるまでに時間がかかっても普通だと思いますので、それでいいのかなと思っています。

あきらめないことが一番大切

小学生が算数を学ぶ上でのアドバイスをお願いできますか。

中野先生 問題を解いていて、間違えた時に、そこであきらめないことが一番大切だと思います。誰もが間違えるので、間違えたことを気にする必要はありません。そこからが重要で、(1)解説などを読んで理解する、(2)もう少し簡単なレベルの同じような問題を解いてみる、(3)誰かに教えてもらいながら一つひとつ納得する、など自分に合う方法で、あきらめずに立ち向かってほしいです。そうすると、問題が解けた時に少し楽しさを感じるのではないかなと思います。

栗谷先生 できる喜び、気づく喜び、というのを味わってほしいです。それができれば算数をそんなに嫌いにならないのではないかと思います。ですから、周囲の大人はできた時にしっかりほめてあげる、あるいは算数ができる喜び、気づく喜びを味わえるように促してあげてほしいです。

中野先生 1つの公式は、1つのことにだけ使える訳ではありません。いろいろなものに使えて便利なので、それを楽しんでほしいです。

栗谷先生 中学受験に向けた学習は、受験だけではなく、入学後にももちろん使えます。数列などは中学受験のほうが難しいかもしれません。「等差数列」などは皆、知っていますから、授業をしていて「教えることは何もない」と感じる時もあります。「1から100まで足しなさい」と言えば、足し算の仕方を説明してくれます。そういうことができるのは中学受験を乗り越えてきたからだと思います。今、学んでいる算数が先につながる、という気持ちをもって学べば、頑張る力が湧いてくるのではないでしょうか。

富士見中学校 校舎内

富士見中学校 校舎内

インタビュー3/3

富士見中学校
富士見中学校1924(大正13)年に富士見高等女学校として発足。40(昭和15)年に財団法人山崎学園が経営を引き継ぎ、47(昭和22)年に富士見中学校、48(昭和23)年に高等学校を設立。山崎学園は、山種グループの総帥・山崎種二(初代理事長)が教育事業に進出するために設立。
「社会に貢献できる自立した女性の育成」を教育目標に掲げ、創設者・山崎種二の精神を受け継いだ学びを展開している。24年度より、米・金融・芸術の3分野を柱とする教育プロジェクトをスタート。実体験を通して課題解決力や発信力を磨き、未来を切り拓く力を育成。
「米」では、中1生が全員田植えから商品化・販売まで行う「コメ探究」に挑戦。農業の現場に触れ、現代の社会が抱える問題を学ぶ。中2生は都市型農業の発信地でもある地域の練馬区を舞台とした「ねりま探究」をお粉い、持続可能な食の在り方を探究していく。
「金融」教育は女子にこそ必要と考え、自分でお金をマネジメントするだけではなく、自他の幸福のためにお金を活用できる人を育成していく。そのためにファイナンシャルセンターを新設し、専門職による指導体制を整え、先進的な教育を実施。
「芸術」では、学校が所蔵する400点以上の美術品を教材に本物に触れる授業が展開。実際に日本画制作も行う。
池袋から西武池袋線で15分の中村橋駅から徒歩数分の環境にある。現在の校地には、中高校舎、体育館のほか地下温水プール、高3自習室、学習ホールなどを備えた50周年記念館、550名収容の山崎記念講堂、百人一首なども行われる茶室・和室などがある。各教室は冷暖房完備で校内はすべて無線LAN。図書館 ”Learning Hub”(略してL-Hub/エルハブ)は別棟となっており、“学びの核”として授業でも頻繁に使われる。
さらに、海外研修や留学、海外大学進学を支援するグローバルセンター、週6回スクールカウンセラーが常駐する「お話の部屋」、看護師の配置など、安全で安心な学習環境も整備。6年間を通じ、学びも生活も全力で取り組める環境となっている。
ほぼ全員が大学進学を希望し、24年度は90%が大学へと進学。国公立早慶上智ICU理科大GMARCHといった難関大学への進学率は50%を超える。大学との教育提携も進み、現在では東京理科大学、日本女子大学以外に、25年度は北里大学との連携も実現。特に理科大との連携プログラムは豊富にあり、自然科学系に進学する生徒は40%を超える。
自主性が重んじられ、校則は生徒会総務を中心に学校と話し合いを進めながら変化している。生徒会活動やクラブ活動が活発。中1のクラブ活動参加率は100%以上。また、全ての教員がクラブ顧問を務めている。特に人気があるダンス部は全国大会などで活躍。専門の器具を設置し活動する体操競技部や、温水プールがあるため水泳部は一年中活動ができる。