出題校にインタビュー!
富士見中学校
2023年12月掲載
富士見中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
2.算数から数学に変わっても、算数で学んだことは無駄にならない。
インタビュー2/3
授業では生徒同士の教え合いを意識
数学の授業で特徴的なところがあれば教えてください。
中野先生 すべての授業で行っているかというとそうではありませんが、生徒同士で教え合う、学び合うことを目的に、グループワークやペアワークを取り入れることがとても多いと思います。例えば、多角的なとらえ方ができる問題は、グループワークのほうがいろいろな意見に触れることができるので、気づきがあります。教員一人ひとりが、生徒にとってプラスになる方法を選びながら取り入れていると思います。
栗谷先生 そうですね。単元によっては導入部分を説明しなければいけないものもあります。定理の証明など、1時間まるまる説明に使うものもあります。授業の組み立ては、何を教えるかによって異なりますが、私は、前回の授業で習ったこの定義を使えば解けそうだな、という問題を扱う時などに、「この問題をやってごらん」と生徒に投げて、生徒たちだけで解く場面を作っています。まずは一人で考えさせて、5分くらい経ったらグループを作って、アイデアを出し合い、答えを出す、というような流れになる時もあります。
中野先生 数学科には、自分の意見や考え方を言葉で表現する力を養うために、黒板に書かせたり、グループワークを取り入れたりする先生が多いような気がします。高校生になると自発的に友だちと教え合ったり、数学の教員に質問したりする姿がよく見られます。教員と生徒の距離は近いほうなのではないかと思います。
数学科/中野 由美子先生
問題を読みながら手を動かそう
先生方が授業で大切にしていることを教えてください。
中野先生 中学校の一次関数などでは、どうしてこの式が出てきたのか。どのような理由があるのか、という問いかけをしながら、それを書かせる指導をしています。小学校の時に線分図や面積図などを書くように教わっているはずなのですが、中学生になると書かなくなります。文章から一生懸命、式を作ろうとするので、「図やグラフにはヒントが詰まっているから、それを面倒くさがらずに書いて」と話しています。
栗谷先生 問題から式を直接作れるならそれでもいいと思いますが、文章を眺めているだけでは情報を整理することは難しいと思います。
中野先生 中学校で学ぶ数学も、小学校で学んできたものと大きな違いはありません。ですから数学はそんなに難しいものではないよ、という感覚で学んでほしいと思っています。今まで学習してきたものを捨ててしまうのはもったいないので、それを活用するのも手だと思います。高校生の数列で「間の数は植木算だよね」と言うと、「ああ、やったね」という感じで嬉しがってくれます。
栗谷先生 中学受験で覚えていた公式を、高校生になって実はこういう意味だったのか、とわかった時も、生徒たちは喜びます。単に長方形の面積を2で割っただけか、と。そういうことに感動する生徒もいます。
富士見中学校 校舎内
算数が苦手だから数学も苦手と決めつけないで
中野先生 私は中学受験経験者です。小学生の時、算数はそんなに得意ではなかったのですが、数学になっても苦手がそのまま続いたかというと、そうではありませんでした。数学に触れて、方程式は便利だなと感じるようになるとおもしろくなって、数学が得意になっていきました。
中1の段階で、算数が苦手だから数学も苦手、と決めてしまう生徒がいますが、それは違うと思います。算数は苦手でも、数学は一から学んでいくので、本校の生徒の中にも私と同じように、入学後に数学が得意になっている生徒がいます。算数で学んだことが使える、という意味ではつながっていますが、算数が苦手だった人は「算数と数学は別もの」と考えて、中学校に入学したら一旦リセットし、一から学習していく、という考え方で臨むというのも一つの方法だと思います。
数学が苦手な生徒は初動で立ち止まる
数学に苦手意識をもつ生徒さんは多いですか。
中野先生 昔ほどは感じないですね。楽しく問題を解いている生徒が多いです。
苦手意識を持っている生徒さんには、どのような対応をされていますか。
中野先生 中学生を教えていると、3年生あたりから徐々にわからないことが増えてきます。友だち同士で教え合うことで解決できることもありますが、図など、1つ手がかりになるものを与えてあげると、そこから手を動かす生徒はいます。
数学が苦手な生徒は、初動で立ち止まる傾向があるので、初動につながる手助けをしてあげると、少し答えに近づくということがあります。ですからこちらから何かを与えるというよりも、「どうする?」「何を書こうか」と問いかけています。グループワークでも、そこを意識しています。
栗谷先生 寄り添う、という感覚です。最近、「ファシリテートする」という言い方をよくしますが、講義をして教え込むというよりは、生徒たちが自分たちで考えたり、発想したりする手助けをする、誘導する。そういう気持ちで授業をするほうがいいのかなと、最近は思っています。
富士見中学校 生徒作品
友だちの力を借りて課題を乗り越えていく
栗谷先生 女子は特定の生徒だけに何かをさせるということを、あまり望んでいないような気がします。課題のようなものも、みんなで取り組むほうがいいようです。4人くらいのグループを組ませて、ヒントを与えながら進めていきます。机間巡視をしながら、丁寧に進めていくことを心がけています。
中野先生 ペアワークで問題を解いている時に「あそこがわかっているから行って聞いてごらん」と言うと、席を離れて聞きに行く生徒もいます。数学が得意な生徒が出張先になります。一生懸命教えてくれて、教えてもらった生徒は「わかりやすい」と言って戻ってきます。
栗谷先生 そうですね。席の移動をしてもいいことになっているので、それもいいのかなと思います。
中野先生 けじめのある自由さであればいいと思います。
栗谷先生 目的をもって動く生徒は不用意には動きませんから。生徒個々に線引きがあるので、クラスの中の秩序が保たれているのだと思います。
インタビュー2/3
1924(大正13)年に富士見高等女学校として発足。40(昭和15)年に財団法人山崎学園が経営を引き継ぎ、47(昭和22)年に富士見中学校、48(昭和23)年に高等学校を設立。山崎学園は、山種グループの総帥・山崎種二(初代理事長)が教育事業に進出するために設立。