出題校にインタビュー!
淑徳与野中学校
2023年09月掲載
淑徳与野中学校の国語におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。
3.美しい日本語を身に付ける&言葉を大事にする
インタビュー3/3
淑徳与野の国語教員として、生徒には将来どんな人間に育っていってほしいと考えていますか?
小澤先生 私は「言葉を大事にしなさい」と言い続けています。日本語を使うときには美しい日本語を使ってほしいです。ここでいう美しい日本語とは、言葉遣いもそうですが自分の思っていることを相手にきちんと伝えるような日本語のことで、どういう表現をどういうふうに選んだら本当に言いたいことが言えるのか、その部分に強くこだわりを持ちたいです。
黒田先生 私は論理的思考力を育てたいとずっと思っていました。若い頃本校にディベートを導入し、今でもディベート部の顧問をやっています。私が見るに、本校の生徒はきちんと勉強するしまじめな子が本当に多いんですね。そういう中で、もっとダイナミックにものを考えられるような発想力や表現力は身に付けさせたいなと思っています。国語の力って自分の表現力にかかっていると思うので、そこは鍛えたいという想いが原点としてあります。
この学校が仏教主義というものを原点としているので、人に対する優しさや思いやりの気持ちなどを見失わないようにしつつも、言葉によって人と対峙する際に、自分自身できちんと表現できる強さは持ってもらいたいと思っています。
副校長・国語科/黒田 貴先生
記述問題を攻略するためのコツ
これから受験を目指す子に向けて、記述問題の正答率を高めるためにはどのようなことが効果的だとお考えですか?
小澤先生 問題本文の中には必ず手がかりがあるので、「これとこれが使えるな」と選べることがまず大事なんですが、ぎくしゃくした答えしか作れない子って、その手がかりを単にそのままくっつけて答えることが多いです。抜き出して並べているだけなのでつながりが悪いんですね。ですから、なめらかにつながるように形を変えなければなりません。それができないと、「要素としては入っているけれど、変な日本語になってしまい減点された」といったことになってしまいます。
そうならないためには、要素を噛み砕いて、主語と述語、係り受けなどがきちんとした文章にできればよいわけです。たとえば、本校の中1や中2の生徒には、「模範解答の例文を参考にしなさい」とよく言っています。模範解答の日本語は基本的に整っているので、きちんとした形の文を書くための一つのやり方としてお薦めしたいです。
二度と同じ問題は出ませんが、「こういうふうに文章をまとめるんだな」ということが学べます。普段中1や中2の生徒の文章を見ていると修飾関係などがかなりめちゃくちゃなことも多いのですが、そういう部分は修正できると思いますよ。
池上先生 国語の文章は、確かに二度と同じ問題はほとんど出ませんが、そもそも誤答であったり、部分点しかもらえないのであれば、日本語がつながるように書き直すことを延々と行うしかないと考えます。
その際、書き直したものを人に見せることが非常に大事で、いくら自分の書いた精度の高くない文章と模範解答の美しい日本語を見比べていても一生自分ではできるようになりません。中学生や高校生でも、同じ問題のやり直しは嫌がります。でも、わかってもいないのに問題の量をこなしても何も進歩しないので、ひとつひとつの記述を大人が見てマルと言われるレベルにまで書き直すことを一定期間続ければ記述は安定すると思います。
淑徳与野中学校 進路情報センター
さまざまな体験をして語彙力を高める
最後に、これから御校を受験しようと考えている受験生に対し、こんな能力を身に付けてきて欲しいといったメッセージなどをいただけると幸いです。
小澤先生 国語力以前にいろいろな経験をしてほしいですね。読書を通じた間接経験でもいいですし、直接経験でもいいのですが、本文に書かれている内容については知識もたくさんあることを感じるのに、それを活かせていないように感じています。
語彙が乏しい子どもの中には、生活体験が乏しい場合もあると思います。全てをセットしてあげる生活の中では、危険なこともさせないし、友達とのトラブルも前もって排除するようにしているんじゃないかと思うんです。
たとえば、けんかをしたことがないという生徒がけんかをテーマとした小説を読んでも、書かれている人の気持ちは理解できないでしょう。体験の裏付けがないと、小説だけでなく評論文も読めないですから、いいことも悪いことも子どものうちに経験して学んでいくことが必要だと思います。国語力において本を読んでいる人が強いのは、自分の体験が少なくても本を読めば間接体験ができて、「なるほど、そういうことか!」とわかるからだと思います。
淑徳与野中学校 教室
受験生には快適な環境を与えすぎない
黒田先生 自分だけの世界に凝り固まらないよう、いろんな人の話を聞いてほしいです。国語力って結局そこなのかな、と思います。そうすると人の書いた文章も読めるようになるし、思い込みで読まなくなっていけると思います。
池上先生 保護者の方には、お子さんのために快適な環境を整えすぎないでくださいと伝えたいですね。小学生の後半から中学受験に向かう以上、どうしても保護者の方が手取り足取り支える必要があり、心配でお子さんの手を離せなくなりがちです。その結果、子どももそうされるのが当たり前になり、中学生になった後も勉強方法から進路選択まで保護者の方が口出ししてくることに疑問をもたず、むしろそれに頼るようになり、自分自身で考えなくなってしまいます。
まずは小学校のうちから環境を整えすぎず、ご家庭の文化とは違うものに触れられる機会を作ってあげてほしいですね。さまざまな友だちと関わることで、想像力も働き、他者との交渉力も育つので、ぜひそのようにお子さんに接してほしいですね。
インタビュー3/3