シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

広尾学園中学校

2023年08月掲載

広尾学園中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.資料の活用問題を積極的に出題

インタビュー2/3

配点は3分野均等、経済分野の問題も出題

町田先生 本校の社会科の入試問題は、大問1~3で地理・歴史・公民の問題を、大問4に論述問題2題という構成です。大学入学共通テストの傾向に倣い、選択問題の選択肢の文章は少し長めにしています。
重箱の隅をつつくような知識問題ではなく、資料を活用する問題を積極的に出しています。地理の問題なら地形図や統計データなど、さまざまな資料、しかも初見の資料をもとに考える力を試しています。身につけた知識と資料を結びつけて応用できるようにしてほしいですね。論述問題は個人の行為が社会全体にどんな影響を与えるのかを考える問題を多く出しています。過去問を通じて社会に目を向ける視点を学んでもらいたいと思います。
なお、配点は各分野均等です。中学受験では出題頻度があまり高くない公民の経済分野の問題も出題しています。この問題では経済の視点の解答が想定以上に多く、しっかり準備してきていると感じました。

広尾学園中学校 掲示物

広尾学園中学校 掲示物

文章記述は主語と目的語を明確に書く

毎年、論述問題を出題されていて、受験生の解答で何か気になる点はありますか。

町田先生 小学生が書く文章なので仕方がない部分はありますが、主語や目的語がない文章が目立ちます。何となくは伝わりますが、それを正解にしてしまうと誤答を間違いにできなくなるので、主語や目的語がなければ減点や無得点となります。
この問題も「寄付は」「応援消費は」と書いていないために、わかりにくい解答が非常に多くありました。入試傾向説明会などの場でも、論述問題の解答は第三者の大人に見てもらうことをお勧めしています。
入学した中学1年生に社会科入試の出来具合を聞くと、「簡単だった」「楽勝だった」と自信満々に答えます。けれど、合格者の正答率は平均で約60%です。論述問題は自分では「できた」と思っても、実は受験生の手応えほど得点できていないのではないでしょうか。しっかり得点できるように、主語や目的語はきちんと書くように徹底してほしいと思います。

広尾学園中学校 エントランス

広尾学園中学校 エントランス

歴史は一連の流れをストーリーとして把握する

貴校は解答形式も多様です。例えば歴史の問題は単なる並べ替えではなく、2つの資料(国際連盟脱退の通告、日独伊三国同盟)の間に起きた出来事の説明文を選択肢(6択)からすべて選ぶ問題です。

町田先生 歴史を一連の流れとして理解しているかどうかを見ましたが、正答率は29%と低かったですね。年号と出来事の名称の機械的な暗記で終わらせてほしくありません。第一次世界大戦後から太平洋戦争までの一連の流れを、「こうだから、こうなった」というストーリーとして把握してもらいたいですね。
社会科の学習は「なぜだろう?」と興味を持ったら、歴史の資料集や地図帳をどんどん調べて、「こんなおもしろいことがあるんだ」と学びを広げてほしいと思います。こちらとしても、小学生が社会科に興味を持つきっかけになるような問題づくりを心がけています。

広尾学園中学校 掲示物

広尾学園中学校 掲示物

リード文は新たな知識を獲得できる場でもある

残念ながら、中にはリード文をきちんと読まずに問題を解く受験生もいます。

町田先生 例えば、2023年度入試の歴史問題のリード文は馬の歴史を取り上げましたが、おそらく受験生は下線部だけを見て解いているでしょうね。
歴史は単なる用語の暗記ではなく、いろいろなつながりがあって「歴史」になっています。そのことをどうにかして伝えようと思ってリード文を作っています。入試が終わってからでも改めて読んでみて、「こんなことがあるんだ」という新たな発見があればいいなと思っています。

インタビュー2/3

広尾学園中学校
広尾学園中学校1918年、板垣退助(伯爵内務大臣)、夫人絹子たちを中心に大日本婦人慈善会により、順心女学校が創設された。2006年度の特進コース(中学、高校)設置、学習支援センターの始動によって、本格的な進学校への道を歩みだす。2007年度の共学化、それにともなう校名変更、インターナショナルコースの設置と大きな話題を呼んだ。現在は、国公立・難関私大をめざす「本科コース」、国内外の医系・理系大をめざす「医進・サイエンスコース」、トップレベルの国際人をめざす「インターナショナルコース」の3コース制をとっている。
9階建ての校舎は、最新設備を完備し、豊かな教育環境を提供している。エントランスを入ると右手に見えるカフェレストラン。昼食時、休み時間、放課後、生徒たちの明るい笑い声で賑わう。また、晴れの日はけやきの下でオープンカフェも楽しめる。校舎6階に化学、生物、物理、それぞれ3つのサイエンスラボが並んでおり、研究室レベルの最新設備を備えた環境で、中学・高校の授業の枠にとらわれない実験を体験することが出来る。
基礎学力定着の要として、生徒一人ひとりの学習進度に対応して実施される小テストが「P.L.T.」。朝のP.L.T.が終わると答案は学習支援センターに運ばれ、翌日、テスト結果に基づいた不得意分野の解消と学力定着のための課題が作成される。苦手分野を克服し、確実な基礎学力を身につける。週の終わりには1週間の成績表を生徒各自に配布し、週ごとに学習理解度を確認する。
英語では、「聞く・話す(プレゼンテーションする)・対話する・読む・書く」の5技能をバランスよく身につけるため、「英語は実技教科」という意識を持ち、英語を実際使うことを重視している。年に5回行うスピーキング試験(中学1年~高校2年)、P.L.T.(Practical Listening Test)、授業中の英語発表などの機会を通し、生徒たちは使える英語を身につける。インターナショナルコースでは英語でプレゼンテーションも行う。また、生徒たちの英語力を測る客観的な判断材料として毎年3月にGTEC for STUDENTSを実施している。
勉強だけではなく、部活動も活発だ。広尾学園の教育理念である「自律と共生」の力を身につけるために、部活動に打ち込むことを奨励されている。ダンス部、吹奏楽部、チアリーディング部、ディベート部などは、全国大会・関東大会のレベルだ。