シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

今月の額面広告に掲載されている問題はこれだ!

広尾学園中学校

2023年08月掲載

広尾学園中学校【社会】

2023年 広尾学園中学校入試問題より

(問)みなさんは「応援消費」という言葉を知っていますか。これは、「物やサービスなどを購入する消費活動を通じて、対象となる人や組織を応援すること」を指しています。例えば、自分の地元への愛からその地域の名産品を購入することや好きな推(お)しのアイドルのグッズを買うことも応援消費の一つです。実際に日本で大きな自然災害があった時に、全国の人がその地域の特産物をたくさん購入したこともありましたし、コロナで苦しんでいる飲食店からネットを通じて商品をお取り寄せした、などという話もありました。これらも応援消費にあたります。また、特定の地域に税を納めて返礼品をもらうことのできる「ふるさと納税制度」もこの応援消費であると言われています。
現在、注目を集める応援消費ですが、困っている人を助けるための手段として「寄付」という行為も昔から行われています。寄付は、「社会のための事業や組織に募金などを通じてお金を渡す仕組み」です。困っている組織や人に、物などを介してではなく直接お金を渡すことができる点で優れた援助の仕組みと言えます。
では、応援消費が寄付と比べて優れているのはどのような点でしょうか。優れている点を2つ、それぞれ理由を含めて解答欄に書きなさい。

(注)「応援消費」「寄付」の意味や種類には幅(はば)がありますが、今回の問題では上の文章において説明した内容に基づいて、解答して下さい。

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには各中学の「こんなチカラを持った子どもを育てたい」というメッセージが込められています。
では、この広尾学園中学校の社会の入試問題には、どういうメッセージが込められていたのか、解答・解説と、日能研がこの問題を選んだ理由を見てみましょう。(出題意図とインタビューの公開日については更新情報をご確認ください。)

解答と解説

日能研による解答と解説

解答例
  • 寄付ではお金自体を渡すのでそれがどのように使われるのか(最終的に誰にわたるか)わかりにくいが、応援消費は商品やサービスに出すため、お金が回る対象がはっきりしている点。
  • 寄付はお金を渡すだけだが、応援消費は消費することができるため、楽しんで支払うことができる点。
  • 寄付は使い道を選べないが、応援消費は自分で使い道を決めることができるため、お金を出した側に選択の幅がある点。
  • 寄付はお金を上げるだけであるが、応援消費は経済活動に払うお金のため、その産業の経済活動が再生する点。
解説

対象となる人・地域のために、何かしたいという自分の気持ちをお金に託して届ける、という点は、「応援消費」も「寄付」も共通しています。しかし、「応援消費」と「寄付」では、お金を渡すという行為が、物やサービスを購入することを介しておこなわれることであるのか、直接お金を渡すものであるのかという違いがあります。

お金の流れを想像したときに、「寄付」はお金自体を渡しますが、そのお金が最終的に誰にわたり、どのように使われるのかという点がわかりにくかったり、選べなかったりということがあります。一方で、「応援消費」の場合は、購入する商品やサービスを支援したい側が選ぶことができます。また、「寄付」はお金を渡すという行為で完結するものですが、「応援消費」は商品やサービスに対してお金を払うため、支援する側には購入して商品やサービスを手に入れる楽しみがあると言えますし、商品やサービスの需要が生まれることで、支援される側も含めた経済活動そのものが刺激されるとも言えます。

日能研がこの問題を選んだ理由

この問題の文章では、「物やサービスを購入する」という消費活動が、その対象の人や組織の「応援」になる(「応援消費」)、ということがテーマとなっています。「寄付」と「応援消費」の比較について、「寄付」については募金活動などでなじみがあるかもしれませんが、「応援消費」という言葉自体は、受験生にとってはなじみのないものかもしれません。しかし、問題の文章の中に挙げられている具体例を通して、消費活動が応援になるということを読み取ることができるでしょう。

この問題は「応援消費」と「寄付」を比較し、「応援消費」が「寄付」と比べて優れている点を、複数の視点から説明するものです。受験生はこの問題に取り組む中で、「消費」という行為を通して、お金の流れがどのような経済活動を生み、その先にどのような人とのつながりがあるから「応援」となるのかを、文章も手がかりとしながら具体的に考えることにチャレンジしたことでしょう。また、このような問いかけは、経済について、大きな視野と多角的な視点を持って見渡すきっかけにもなると感じました。

このような理由から、日能研はこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにいたしました。