シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

サレジオ学院中学校

2023年06月掲載

サレジオ学院中学校の社会におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

3.関心を高める工夫で、生徒が主体的に取り組む授業

インタビュー3/3

「鎌倉社会科教室」も遠足から探究学習に

澁谷先生(入試広報委員長/卒業生) 社会科の作問の仕方を聞いていて、中2で実施している「鎌倉社会科教室」と入試の作問が似ているなと思いました。私はサレジオ学院の卒業生で私の頃も同様の行事はありましたが、当時は観光気分で出かけていました。しかし、こうした入試問題をつくる社会科ですから、現在はただの観光はさせていません(笑)。鎌倉に行くにあたってグループを作り、鎌倉をテーマに地理、歴史、公民、いずれの分野から切り口を見つけて、自分たちで答えを見つけに行くということをやっています。最終的には調べたことをまとめて、プレゼンテーションを行います。

そういうことを楽しめる子が入学していると思います。社会は暗記じゃない。知識を活用しながら、自分たちで新たなものを探していく、というコンセプトを理解する子が選ばれる入試になっていると、我が事ながら聞いていて感じました。

入試問題と「鎌倉社会科教室」の変化はどちらが先ですか。

吉見先生 今の高校2年生から「学習」に変わったので、ほとんど同じタイミングです。きっかけは大学入試改革でした。我々も考えなければいけない、という話が学内で出て、「融合」「合教科」「主体的な学び」などがキーワードとしてあがり、社会科もその波に乗って、「鎌倉社会科教室」を「遠足」から「学習」に変えました。

入試広報委員長/澁谷 博之先生

入試広報委員長/澁谷 博之先生

自分で学べるように意欲を高める授業を

授業も変わってきていますか。

吉見先生 そうですね。教室に電子黒板が設置され、生徒がパソコンを持って授業に臨むこともあります。地理の授業ではパソコンが必須といえます。本校ではChromeBookを使っているのですが、ChromeBookがないと授業にならない授業も増えてきたと思います。私の公民の授業でも、ニュースやいろいろな資料を投影しながら授業をすることが増えました。ICTの充実により、我々としてはいろいろなコンテンツが使えるようになったので、興味を引きつける引き出しはこれまで以上に増えていると思います。

知識は、意欲があれば自分で学んでくれると思いますので、とくに低学年の中学1年生くらいのうちは、面白いと感じられることをいかに出して学習意欲を上げるかを心がけています。歴史の分野でいうと、意欲の豊かな生徒がわりといますから、受験勉強や小学校の授業で覚えたことについて、教員が知識の背景や因果関係のようなことを話していくと、それは面白い!となり、だんだんはまっていくケースが少なくありません。もちろん興味を持てるような資料を出すこともあります。そういういろいろな取っ掛かりを作って、いずれ自分で学べるように意欲を高めていきたいと考えています。

サレジオ学院中学校 図書室

サレジオ学院中学校 図書室

生徒の反応を手がかりにネタを用意する

授業の中で、生徒さんのほうから「これってこういうこと?」というような、自由な発言も増えていますか。

吉見先生 私の授業でいうと、資料を見せる機会やバリエーションが増えましたので、見せた時に「わあ!」という声が結構聞こえてきます。それに手応えを感じたり、その後のやりとりの中で、こんなことも聞いてみよう、と思ったり、こういう説明だとかなり食いつくんだ、と確信したりして(生徒の興味関心がどこにあるのかを)探って、内容をより深めていくことはあります。

最近は生徒の興味が多岐に渡るため、授業で1つのことを例にあげて、みんなでワッと盛り上がるというようなことが難しくなっているという話も聞きます。

吉見先生 たしかにそうですね。ニュースを見なくなっているなどと聞きますが、生徒はなんだかんだいって興味を持とうとはしてくれているなと思います。そうした共通のテーマを見つけて、「実はあれはね…」と深掘りしていきます。

澁谷先生 私は教育実習もここでやらせていただきましたが、何よりもありがたかったのは先生方がフラットに接してくださるということでした。子どもたちに寄り添うためにはどういうことをすればよいのかを、常に模索していると感じています。

社会科には生徒の興味を上手に引き出すが教員が多い

社会科としては、子どもたちにどんな人に育ってほしいですか。どのような力をつけてあげたいと考えていますか。

吉見先生 興味を持って自らやってみようという意欲を育てたいですね。私としてはそれが一番です。最初は我々のほうから興味関心の源を与えます。公民は暗記するところがあっても、中学で公民を学んで意外と面白かったと思ってくれて、そこから自身の手で、前向きに学びを広げてくれたら嬉しいです。

澁谷先生 私が本校の社会科の教員を見ていて思うのは、自分たちの好きなことを子どもたちにも面白がってもらいたいと思っている教員ばかりだな、ということです。

例えば吉見などは、「裁判の傍聴に行きたい人?」と声をかけて、手配して、裁判の傍聴に生徒を連れて行きます。それは法曹関係に進んでほしい、ということではなく、シンプルに興味をもってほしいからです。一歩を踏み出してもらうための仕掛けです。

地理の3人の教員が学期に1回、持ち回りで、行きたい場所に生徒をつれて行く、ということもしています。先日は江の島の地形を見に行きました。コロナ禍でなかなかそういうところに行けなかったため、多くの生徒が参加しました。

手前味噌ですが、本校の社会科の教員は、興味を引き出すのがうまいなと感じます。いろいろな引き出しがあります。地理の教員はGoogle Earthなどがなければ授業ができないくらい活用していますが、それだけでなく実際に地形を見に行く、ということをします。そういうところが本校の社会科教員の面白いところだと思います。

サレジオ学院中学校 体育館

サレジオ学院中学校 体育館

インタビュー3/3

サレジオ学院中学校
サレジオ学院中学校ドン・ボスコ(1815年北イタリア生)が設立したサレジオ修道会が、1960(昭和35)年に目黒サレジオ中学校を創立。75年に川崎市鷺沼へ移転。91(平成3)年にはサレジオ学院へ改称。95年に港北ニュータウンに新築移転を果たす。大阪星光学院もサレジオ会により創立された姉妹校。
港北ニュータウン内に位置し、校地は約4万8千平方メートルの広さに及ぶ。そのなかにグラウンド、テニスコート、体育館、サブ・グラウンドを配するなど、校地の大半以上を充実したスポーツ用地が占め、大きな魅力のひとつとなっている。ほかにチャペル、ドン・ボスコシアター、サレジオホール(食堂)などの施設がある。
少人数の家庭的な雰囲気のなか、キリスト教精神に基づく情操教育を実践。週1時間の宗教の授業(中1は2時間)「朝のはなしの放送(人生の道しるべの話)」「カテキスタ(倫理・宗教教育を担当する人)」によるカウンセリング、生徒が自分らしく、いきいきと過ごせるコミュニケーションルームの設置などを通じて豊かな人間形成を目指す。
中学では学習姿勢を養うことを重点におくが、高3ですべての教科で演習中心の授業ができるようなカリキュラムを構成。英語は『New Treasure』を使用。中学の英会話も2分割授業を行うティームティーチングと、フィリピンと回線を結んで行うオンライン英会話を実施。高1までは4クラス編成、高2から文理分けし、6クラス編成として1クラスの人数を減らし、きめ細かな指導をする。補習は中学では英・数を中心に必要に応じて実施。夏期・春期講習は指名制・希望制で行い、高2・高3では約1週間の勉強合宿もある。大学受験も学校の授業だけで十分対応できる体制を整えている。夜9:00まで使用できる自習室がある。
サレジオ学院の基本方針「アッシステンツァ(ともに居ること)」のもとで明るく家庭的な校風が築かれてきた。学校行事は多彩で、四季折々のプログラムが用意されている。特に感謝祭、慰霊祭、クリスマスの集いは学校の個性が表れる。そのほか林間学校(中1)、スキー教室(中2)、研修旅行(中3卒業後、全員、イタリア)、フィリピンの語学研修(高校、希望制)、文化祭、秋季校外学習、マラソン大会など。クラブ活動は文化部6、体育部9、同好会5あり、活動は週3日。中学テニス部は2年連続全国優勝の快挙を成し遂げた強豪だ。独特なカテキスタは、サレジオ会員を中心とする先生のグループで、宗教の時間などを通じて生徒の心のケアに対応している。