シカクいアタマをマルくする。~未来へのチカラ~

中学入試問題は、子どもたちの“未来へ学び進むチカラ”を試しています。
そこには「こんなチカラを持った子どもを育てたい」という各中学のメッセージが込められています。
この「シカクいアタマをマルくする。」中学入試問題の新シリーズでは、そんな子どもたちの“未来へのチカラ”を問う入試問題から、その出題意図(アドミッション・ポリシー)と、子どもたちへのメッセージを探っていきたいと思います!

出題校にインタビュー!

攻玉社中学校

2023年06月掲載

攻玉社中学校の算数におけるアドミッション・ポリシーを聞いてみました。

2.オールジャンルで構成された問題を出題

インタビュー2/3

次に全体の構成について、数学科として考えられていることはありますか?

立崎先生 算数➀はオールジャンルですね。速さ計算や食塩水、図形(平面・立体)などまんべんなく出題しています。ただし、短答式なので一問に深くかかるのではなく、オムニバスで解けるようにしています。➀のほうではタイムリーな話題などを含めつつ、ニュートン算のような入試の定番問題が見れるようにはなっています。

藤田先生 一方の算数②のほうは大問3題の応用問題で構成され、少しひねった問題や深く掘り下げた問題になっています。こちらは思考力が必要な問題となります。

立崎先生 途中に記述があるので、算数➀と算数②は対照的です。前半の➀は短い問題を即座に解く形式、後半の②はプロセスも含めてじっくり解いていきましょう、といった形式で分けています。

藤田先生 ②で問題が合わなかった子でも➀ではまんべんなく出題しているので、算数の総合的な力が図れるような問題構成にはなっていると思います。

数学科/藤田 修一先生

数学科/藤田 修一先生

空欄回答でなければできる限り採点を考慮

②の出来はいかがでしたか?イメージ通りでしたか?

立崎先生 平均が5割、合格者で6割ぐらいだと思います。一部記述問題があったりしますが、小学生が書くことなので部分点はあげたりと、かなり好意的に採点はしていたつもりです。

藤田先生 答案も空欄でさえなければ、こちらに伝えたい意図をできるだけ汲み取って採点していました。解答としては、言葉で書いてくる子もいますし、あと図や式で説明してくる子もいました。それでも意図が伝われば点数をあげています。

攻玉社中学校 校内

攻玉社中学校 校内

「面白い」と思ってもらえる問題を作りたい

特別選抜用の問題作成には、数学科として力が入るのではないですか?

立崎先生 単純に受験テクニックだけであればシンプルに作れると思うのですが、たとえば攻玉社を受けない子に対しても問題を見た時にインパクトを感じるもの、あとは解いて子どもが面白いと思えるもの、さらに大人が見ても面白いと思えるものがあるといいなと思って作成しています。私が数学科に問題を作成して提出する時も、「こう来たのか」と周りに興味を持ってもらえる問題にしたいと思っていて、面白さは残しておくようにしてます。

入試問題は、先生方が問題を作成して持ち寄って検討するのですか?

藤田先生 今は問題作成グループがありまして、年度の中でも何回か入試があるのでチームで作成しています。入試の当日だけでなく過去問としても受験生は解いていくものなので、「ここの入試は面白い」と思われるような問題をみんなに解いてもらいたいという思いはあります。

受験のための学習において、こういう過去問をやって「楽しい」と思える問題に出会えるといいですね。

論証や証明が嫌いな子が増えている

ちなみに特別進学で入学してくる生徒は、いかがですか?

立崎先生 半分ぐらいは数学に邁進する感じですが、残りの半分は、中には文系に行く生徒もいますね。やはり小学校の時の算数の先生と中学の数学の先生とでは違いますし、高校の数学になるとそこに地道さが入ってきますので、丁寧な計算が苦手で直観に頼る生徒は、数学はある程度できたとしても、文系を選択するケースも出てきます。

論証や証明が嫌いな生徒は、「正しさを他人に伝えるように説明して」と言うと「えー」ってなりますね。三角形の合同の証明などをやらせてみると、算数か数学が好きな生徒は論理的にいけるのですが、直観的に答えを求める生徒は数学が嫌いになる場合もあります。たまに保護者の方が「受験のときは算数ができたのに、なんで今数学がこんなにできないんでしょう?」と相談に来られることもあります。地道な部分まで楽しんでもらえるかはその先の取り組み方も影響してきます。

攻玉社中学校 掲示物

攻玉社中学校 掲示物

インタビュー2/3

攻玉社中学校
攻玉社中学校1863(文久3)年、蘭学者の近藤真琴が創立。89(明治22)年、海軍予備科を設置。海軍軍人の養成など頂点を極めたエリート教育はつとに有名。1947(昭和22)年、学制改革により新制攻玉社中が発足。66年より中高一貫校となり、英才開発教育体制が整う。90(平成2)年に高校募集廃止。
校地はそれほど広くないが、室内温水プール、コンピュータ使用のLL教室、目的別理科実験室、地下に柔・剣道場を備えた地上4階建ての2号館など施設は充実している。03年には、1500名収容の講堂兼体育館や図書室、生徒ホールなどを完備する新校舎が完成した。自然光を取り入れた吹き抜けた回廊式の構造で、屋上は庭園になっている。雨水の利用など環境にも配慮。明るい学校生活が送れる。
道徳教育を教育の基礎とし、詩経の「他山ノ石以テ玉ヲ攻(みが)クベシ」に由来する「攻玉」の2文字を理想に掲げる。自主性を尊重し、体力・気力の強化をはかり、6年一貫英才開発教育を推進。校名から受ける硬派でスパルタ的なイメージとは違い、生徒はいたってのびやかで、先生と生徒の距離が極めて近く、一体感のある面倒見のよさが感じられる。帰国生のための国際学級がある。
英・数・国の時間数が多く、中3で高校の内容に入る。中3と高1は選抜クラスを1クラス設け、成績により進級時に入れ替えを行う。成績不振者には指名制補習、希望者には特別講座、英語は2005年から『トレジャー』を使用し、中1から外国人教師による英会話が週1時間。中3では自由題材の卒業論文に1年間取り組む。高2から文系・理系に分かれ、それぞれに国公立大志望クラスを設置。希望制の特別講座・指名制の補習・補講などバックアップ体制も充実。
中学生の約95%がいずれかにクラブに所属している。バスケットボール、サッカー、野球、テニス、バレーボール部は人気が高く、50名以上の部員がいる。学校行事は多彩で、英語暗誦大会、芸術鑑賞、中学自由研究発表会などの文化的な行事のほか、中学生は16km、高校生は20kmを歩く耐久歩行大会、夏の臨海・林間学校、スキー教室など体育的行事も多い。中3では希望者制海外ホームステイも実施。中1~中3の国際学級に所属する帰国生とは行事やクラブ活動などで接し、海外への視野を広げる一助になっている。